ふきの指定席

「旅立ち その時」

長兄は高校の卒業式を待たずに
2月のまだ寒さが残る早朝 自分で仕事先を見つけ
家を出て行きました
私が小学2年生の時です

兄はとても頭のいい人間で
難関の国立大も大丈夫とのお墨付きの存在でした 
どうしても大学に行ってほしい父親
学校側も説得に必死でした

忘れもしません
進学問題でもめた両者
初めて取っ組み合いの喧嘩になり
父はその勢いで 家を飛び出してしまい
トラックにひかれて瀕死の重傷を負う羽目に
腰の骨を複雑骨折し 半年間寝たきりの状態でした
事故に遭った時
無意識で「トラックの運転手さん」に
「俺が悪いからあんたは逃げろ」と
すでに事故現場に到着していたお巡りさんを
トラックのドライバーさんだと思い込み 
うわごとを言っていたのです

その時
兄はとても冷静に対処し
母は身体の震えがとまらずその場にうずくまるばかり

私はその一部始終を
静かに見ていました
一生心から消える事はありません

「ごめんな」と父に一言残し
兄はそれでも家を出て行きました

それから60年以上の月日が流れ
その兄が13日未明旅立ちました
81年の生涯でした

どんな時も冷静に向き合える私であると思っていましたが
感情がたかぶり滂沱する自分がいました

明日 ほぼ20年ぶりに兄に会いにいきます



 
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