「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

構造検査が終わり、断熱気密施工の準備が進行中です

2017-04-14 19:22:30 | 16町田

町田の平屋は建設性能評価取得のため、4回の現場検査を受けます。今回は2回目の耐力壁設置の検査、耐力壁設置の状況や金物の設置状況の確認です。
監理者としての確認は済んでいるので、手続き的なところもありますが、第三者の目が入るのは大事です。検査機関の検査員とグリーン化事業の採択グループに所属する設計者の2者の検査を受けます。結果は支障なし。次の工程に進めます。


雨に濡れずに車から玄関に行くための庇も出来てきました。庇の出は約1.4mあり、安心感があります。


外壁のタイベックも設置され、設備の為のスリーブも設置も進んでいます。月曜日から断熱気密工事なので迎える準備です。


レンジフードの給気と排気のためのスリーブは防水、気密、耐火を考慮して後の施工も問題ないように設置されています。
自由に曲がるフレキダクトは使用せず、鋼板製のスパイラルダクトを使用します。
木造住宅のレンジフードは外壁のスリーブ位置とレンジフードの取付位置が比較的近く、スパイラルダクトで配管するためには位置出しを設計段階から行っておく必要があります。
レンジフードのスリーブについての昨年の記事



レンジフードのスリーブはカナイの不燃パイプにスパイラルダクトをつなぎ、アルミテープで固定してから外部側から設置します。
下の図は、現場の施工のため描いた詳細図の手順のイラストです。図面を描くソフトで書きました





町田の平屋、家らしくなってきました

2017-04-06 13:07:36 | 16町田

上棟から三週間経過した町田の現場。
大工さん達がインフルエンザにかかり、少しスケジュールから遅れ気味ですが、徐々に家らしくなって来ています。
^_^ほ

今日は外壁の耐震壁の構造用合板貼りとサッシの搬入。サッシは玄関扉と勝手口を除き全て樹脂サッシで、ペアガラスのサッシとトリプルガラスサッシの両方を使っています。

トリプルガラスはガラスが3枚入っていて間の層にアルゴンガスが充填してあるもので厚みはガラスと中間層合わせて42mmあります。ペアガラスはガラスが2枚になっていて厚みは22mm、20mmも差があります。厚みが2倍で断熱性能もトリプルガラスがペアガラスに比べて約2倍の性能があります。

ではなぜ全て性能の良いトリプルガラスにしなかったのか。それはガラスの枚数が増えると太陽の熱を室内に取り入れにくくなるからです。

これからは暖かくなって来ますが、冬場は太陽の熱を有効活用することで室内の温度を暖かく保つことができます。断熱性能の良いトリプルガラスのサッシにして熱を逃げにくくするか、ペアガラスにして断熱性能は少し落ちても太陽の熱を室内に効率よく取り入れた方が良いのかが設計の1つのテーマになります。

この判断は適当にするのではなく、冬場の熱の取り入れと逃げの収支を比較するシミュレーションを行って判断します。今回はペアガラスにした方が冬場の熱の収支が良かったので、一部ペアガラスを採用しました。

このようにどこにどれくらいの大きさでどれくらいの性能の窓を設けるかについての判断は、外観や間取りからだけでなく、室内の熱環境も含めて判断するのが良いと考えています。


いよいよ土台敷き、の前に、、、

2017-03-13 16:51:43 | 16町田

町田市の平屋の現場、今日はいよいよ土台敷き。
の予定でしたが土台の下に挟む気密用の部材が手違いで届いていないため、工務店さんは午前中急遽部材手配の動きでした。

午後2時の現場確認で無事部材があることを確認し、一安心。建て方時に使う断熱材、土台等も確認しました。


断熱材はこの一山を屋根の上に乗せるのに使います。

明日は現場に来れないので明後日の上棟を楽しみに現場を後にしました。

耐圧盤コンクリートの養生状況です

2017-02-14 18:49:41 | 16町田


ドロドロの生コンクリートが固まるためには適度な水分と温度が必要です。この季節は最低気温が2度を下回ることもあるため、前日に打設した耐圧盤のコンクリートが冷えすぎないようにブルーシートで全体を覆って養生しました。

こうすることで、コンクリートが固まる時に発生する熱を逃がさずに適度な温度に保つことができます。寒冷地ではブルーシートではなく断熱材で覆ったり、仮設の小屋のようなもので囲んだりしますが、東京ではなかなか一般的ではありません。

ブルーシートで対応することにしましたが、どの程度保温されているか気になります。手元にスマホに繋げるサーモカメラがあるので朝の熱画像を撮ってみることにしました。


ブルーシートで覆ってある全体の様子です。
十字マークに数字がふってあり写真中のスポットの温度表示と対応しています。
スポット1は左側の赤く表示されている部分で12.7度
スポット2は右側の青く表示されている部分で0.7度です
スポット3は正面のブロック塀で3.5度
スポット4は地面で12.7度
スポット5は鋼製型枠で6.9度です。
時間は10時頃で日が出てきて地面やブルーシートの一部が温まってきている一方、日の当たっていない場所は0.7度のままです。
鋼製型枠は断熱材を挟んでコンクリートに接しているためコンクリートの温度が伝わってきていません。


日陰部分のブルーシートをめくってコンクリートを見たところです。鉄筋は7.9度、コンクリートは13度あります。スポット3は断熱材の上に設置した白蟻避けの板金で7.4度です。
鉄筋は冷えていますが、コンクリート自体は13度程度に温度が保たれています。

この日午前6時には気温がマイナス1度程度に下がったようですが、ブルーシートでコンクリートを保温することができたようです。

コンクリート打設後1週間置いて強度を確認し、次の工程に進みます。

「終の住処の平屋(ZEH)」基礎配筋が完成しました

2017-02-07 14:37:32 | 16町田

今日は「終の住処の平屋(ZEH)」の基礎配筋検査がありました。
基礎配筋検査とは、基礎の鉄筋が完了したところで、図面等との不整合がないかを検査するものです。
監理者としての検査と、瑕疵保険・建設性能評価の検査と両方を行いました。
部分的な手直しはありましたが結果は合格。
「終の住処の平屋(ZEH)」は国土交通省の地域型住宅グリーン化事業の適用を受けた「多摩・産直の家」のため、「多摩・産直すまいづくりの会」に加盟している設計者のインナーチェックもありましたがこちらも問題なし。
※「多摩・産直の家」は多摩産材を50%以上使用、設計者同士のインナーチェックを実施、建設性能評価を取得等のルールを定めています

これで次の工程に進めます。
天候の関係でコンクリート打ちは2/13となるので、配筋検査後の掃除、ごみ取りの後はブルーシートをかけてゴミ、落ち葉、雪が入らないようにしておきます。

(日曜日の雨の際の養生の様子)


基礎配筋は設計上の工夫(鉄筋の重なり、かぶり厚さ等を考慮した詳細図の作成)と、施工者の工夫(断熱材設置と捨てコンの工夫、鉄筋組みの精度)等により、美しいと言っても過言ではないような配筋です。このままコンクリートを打って見えなくなるのがもったいないくらい。

この基礎配筋、通常の住宅とはかなり違います。
場合によって、オーバースペックと感じる人もいるかもしれません。
そこで、この基礎の鉄筋をどのように考えて設計したかを以下に書きます。

まず、私達アーク・ライフで設計している木造住宅は、長期間住み続けてもらえることを目指しています。
そのため、新築時点での間取り(生活に合わせて住みよいように考えます)が、生活に合わなくなったとしても間取りの変更が容易なようにしています。具体的には、耐震壁は建物外周に集約し、内部には構造柱は1本ないし2本程度が立つだけになっていて、間仕切りを撤去しても構造に影響はありません。(構造性能としても耐震等級3という建築基準法で求められる性能の1.5倍の性能を持たせています)

また、床下の点検のために基礎の内部には立ち上がりを極力少なくしています。(立ち上がりは玄関部分だけ)
内部の1~2本の構造柱の下には基礎梁が必要です。この基礎梁は床下点検の邪魔にならないように地面に潜った地中梁となります。
柱間隔2間程度となるので、地中梁の鉄筋の量は比較的多くなります。

この地中梁と外周の基礎の取り合いの部分で、地中梁の鉄筋がきちんと外周の基礎と一体化するためにはある程度の長さ以上鉄筋を呑み込ませる定着が必要です。この定着をきちんととるためには外周にも幅広の地中梁が必要になります。
このように長期的な視点に立って各部分がきちんと機能を発揮するように考えて基礎の配筋を決めています。