Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

四月大歌舞伎 中村信二郎改め二代目中村錦之助襲名披露 昼の部

2007-04-15 23:17:02 | kabuki
桜はもう散ってしまったけれど、歌舞伎座には梅、桜、菊とたくさんのお花で賑わっていました。えっ、狂言は4本なのにお花が足りないって?まぁ、それは後ほど。

一、當年祝春駒
浅葱と白の市松模様に白梅、紅梅と梅の香りが匂ってきそうな清々しい舞台でした。
役者さんたちも獅童さん、勘太郎さん、七之助さんときりりとした若手による曽我兄弟と舞鶴で気持ちいい。獅童さん(曽我五郎)はとても立派な歌舞伎顔で、五郎の拵えがよく合ってました。勘太郎さん(曽我十郎)の踊りはやわらかで控え目。ちょっとお上品すぎて物足りなく感じてしまう。荒事の勘太郎さんが見たいなぁ。七之助さんの舞鶴がなんだか色っぽくて素敵。見るたびに艶を纏っているみたい。もう少しふっくらとしたらさらに可愛くなるんじゃないかしら。
工藤祐経は歌六さんで、茶道珍斎には種太郎くん。萬屋・中村屋な一幕。

二、頼朝の死
真山青果の新歌舞伎。うーんと、かなり苦手でした。。
頼家(梅玉さん)は父・頼朝の死と己の無力さに悩み、政子(芝翫さん)は政治のために血を流し、重保(歌昇さん)は主を殺めてしまったことで思い悩み、小周防(福助さん)は何も知らずにただ重保を愛するだけ。
役者さんたちはそれぞれ熱演されていて、場面場面の台詞には聞き入ってしまうけど、でも本をただせばぜーんぶ頼朝のスケベ根性が悪いんじゃん。そのために残された者たちがこんな苦悩を背負うなんて理不尽だわ、と現代人の私はそっぽを向いてしまう。
特に頼家!将軍という重責を負って悩むのは分からないでもないけれど、頼朝の死因に拘るよりもっと他にやるべき職務があるだろう、と重保と小周防へ脅したり宥めたり脅したり宥めたり観ていて辟易するほどの駄将軍ぶりに、すっかり冷めてしまう。ま、若くして将軍になってしまった頼家も気の毒だけど、もっと大人になりなさいよ。
と、そんな風に思ったのは梅玉さんの頼家がぴたりとハマっていたからかしら。一時期演じてられた和事より新歌舞伎の方がずっと梅玉さんに合うなぁ、とは思うけれど新歌舞伎はやっぱり好きじゃない。
政子の芝翫さんは存在だけで政子という女を表していたように感じました。そういえば、開演前に歌舞伎座前で芝翫さんをお見かけしたけれど、思ったよりも小柄な方で、舞台に立つ姿が大きく見えるのも芸の内なのかしら。
歌昇さんの重保と福助さんの小周防のバランスも良かったです。小周防はただただ重保が好きなだけの女の子なんですね。頼家に責められてただただ泣くのは鬱陶しかったけど、重保の妻になれると思い込んで嬉しそうに微笑みながら死んでいくのがまた鬱陶しかった。重保が辛すぎるよ。
うーん、私にとっては後味の悪いいやなお話でした。

三、男女道成寺
「頼朝の死」の後は、打って変わって華やかな桜の舞台。歌舞伎座ではまだ桜が満開ですよ。
こちらのお楽しみは何と言っても仁左衛門さんの白拍子桜子。すっごいハンサムでスマートな白拍子でしたよ!
男であることがばれて鬘を取られて狂言師の頭になってしまい、情けない表情の仁左衛門さんがとってもキュート。歌舞伎界のヒュー・グラントよ(ヒュー様の新作「ラブソングができるまで」が観たい今日この頃。特にヒュー様ファンという訳じゃないんだけど…)。
勘三郎さんの花子は町娘らしい弾けるような若さが魅力的。踊りが短いのが残念だったけど、手踊りが素敵でした。
長唄、囃子、浄瑠璃も心地よく、目にも耳にもご馳走をいただいた一幕でした。あ、撒き手拭いはいただけませんでした。3階ですからね(笑)。

四、鬼一法眼三略巻 菊畑
昼の部最後は錦之助襲名披露狂言の菊畑。
錦之助さんの虎蔵、富十郎さんの鬼一法眼、吉右衛門さんの知恵内、時蔵さんの皆鶴姫、歌昇さんの笠原湛海、という配役はこれまでに何度か観た「菊畑」の中でも特に面白いものだったと思います。
中でも、歌昇さんの湛海がよかった。富十郎さん、吉右衛門さんは言うまでもないけれど、これまでのあまり印象に残らなかった湛海を、歌昇さんが若く野心に溢れた敵役を控えめながらも芯を捉えて演じられているように思いました。
しかし、ここでの主人公は虎蔵ですね。
錦之助さんのすっきりと品のいい顔貌は虎蔵のようなお役によく合いますね。所作にもおっとりとした余裕があって、とても素敵でした。
劇中の襲名口上は隼人くんも控えていましたが、お父さんそっくりのハンサムさん。萬屋さんのお顔立ちって、本当にみなさんそっくりさんですよねぇ。お隣さんも「わぁ、そっくり…」と呟かれていましたよ。


2階ロビーには錦之助さん襲名のお祝いの数々が展示されていました。幼少の吉右衛門さん演じる小四郎(顔は見えず)の写真もありました。一代目の錦之助さんのお写真もありましたが、やっぱり素敵です。二代目より少し線が太いように感じられますが、錦之助さんのこれからのご活躍がますます楽しみです!とりあえず、来月は「法界坊」の手代要助がお楽しみ~♪

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2 コメント

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待ってました!歌舞伎座レポ!! (玉さん)
2007-04-17 06:52:26
さすがにアクアさん!
歌舞伎のレポを書かせたら右に出るものがいないくらいに最高です!
まるで自分が歌舞伎座の客席に座っているかのような錯覚にさえ陥ってしまうほどによくわかりました。
夜の部の魚屋宗五郎のレポも楽しみに待っていてもよろしいんでしょうか?
こんばんは、玉さん。 (アクア)
2007-04-18 22:18:29
いつも過分な評価をありがとうございます。
夜の部もなんとかかんとか行きたいんですが、どうなることかまだ分からないんです…。ぜひお伝えできるように頑張りたいと思いますので、期待せずにお待ちくださいね

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