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この国のモノづくりは終わったのか?

2012-01-21 17:39:19 | 社会
先日、ある中小のITメーカーの社長にお会いする機会があった。
話好きな方で最後にはいろいろと持論を聞かせていただいた。

その会社では、将来的にベトナムに拠点を持ちたいのだという。
なぜなら、ベトナム人が優秀で勤勉、さらに人件費が安いから。

日本であれば大卒なら初任給に最低20万円は必要となる。
しかし、ベトナムなら日本でいう東大クラスの最高学府出身者が
4万円程度で雇用できる。

そのレベルの学生であれば卒業時には日本語も英語も堪能で、
プログラミング言語もある程度は理解できているので即戦力となりうる。
日本の学生1人分で5人の優秀なエンジニアの卵を雇えるのだ。
社長も本音では「日本人は要らない。
ベトナム人ならいくらでもほしい」といっていた。

日本はこれまでモノづくりの国ということで
技術開発に力を入れ、技術者や労働者を尊重してきた。
そして、どの国にも真似のできない高度経済成長を実現した。

しかし、日本と同等の技術力を持つようになり、かつ人件費は
日本よりもはるかに安い中国や韓国の企業が急成長。

人件費が安いということは製品の単価も抑えられるということ。
当然、価格戦争で日本は太刀打ちできない。
国が豊かになるとさらに教育力が上がり、優秀な技術者が育つ。
また、日本の経済がバブル崩壊で沈んだ後、
引退したりリストラされた技術者の多くが海外に招かれるなど、
技術の流出に歯止めがかからなくなった。

製品の性能では、もはや日本とNIESの国々と大きな差はなくなっている。
これでは日本の経済はますますしぼんでいかざるを得ない。
技術にこだわるあまり、生産性を意識してこなかったツケが
大きくなってしまったように感じる。

もし、日本がこれからもモノづくりにこだわり、
ある程度の利益を生み出そうとするならば、
現在の労働者の給料を半分に、労働時間は倍にしなければ追いつかない。

数年前に問題になった派遣労働者は、日本がモノづくりを維持するために
考え出した“最後の砦”だったといえるかもしれない。

はっきりいってしまえば、日本のメーカーにとって
熟練した技術者や労働者の存在は、逆に足かせとなってしまうのだ。
必要なのは、低賃金でいざとなればすぐに切れる“奴隷”なのだ。

しかし、「人間の使い捨て」的な姿勢に国内で批判が高まったため、
利益追求のために海外へのオフショアなど人件費の安い国々で
工場を構える企業が増加した。これではモノづくりの“クラウド化”だ。

その社長によると、日本の経済はもうどうしようもないレベルだという。
まず、モノづくりについては明るい材料は見出せない。
東日本大震災で復活の兆しも完全に閉ざされた。
経済の復活よりも地域復興を優先させなければならないからだ。
では、どうすればいいのか?

答えは株やFXなどマネーゲームで利益を追求することだという。
モノづくりは海外の国々に任せ、海外の有望な企業に投資を行い、
技術や製品を安く購入し、さらに安い価格で
物価の安い国々に売る。そこから儲けを手に入れる。

これはかつてアメリカが日本に対して行っていたことでもある。
そのアメリカの役割を日本が行い、日本が行っていたことを
中国や韓国に移せばいいのだという。

そこで疑問が浮かぶ。
日本人の国民性として、モノづくりを捨て、
マネーゲームに走ることが本当に可能なのか?ということ。

だが、現在の日本の経済状況では技術者に対して
技術に見合った対価を支払える状況ではない。
国がモノづくりにこだわればこだわるほど、技術者や労働者は逆に
労働条件を悪化させなければならない。

それでも、モノづくりにこだわるのか。
奇跡の復活を遂げるのか、さらなる衰退へと進むのか。
日本の経済は大きな転換点に差し掛かっている。


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