なぜ女の子が戦うアニメが増えたのか？

私はアニメが好きで、2007年の夏以降は大体1クールごとに10本は視聴している。
子どものころからアニメは良く見ていた
（親の家事を邪魔しないよう、見させられていたと言うのが正しい）が、
どちらかといえば深夜アニメが活況を呈するようになった2000年代以降に
より積極的に興味を持って見るようになった。

年間40～50本は見ている計算になるが、特に最近、気になることがある。
バトルものなどで大人の男性や男の子（少年）ではなく、女性、
しかも女の子が戦う作品が増えたということだ。

もちろん、昔にもなかったわけではない。
少女マンガの金字塔である『リボンの騎士』、
バトルヒロインの先駆けである『キューティーハニー』、
また名作『風の谷のナウシカ』、
90年代には『セーラームーンシリーズ』などがあった。

しかし、最近では少女たち（魔法などの特殊能力を持つ）が自らの体を武器に
戦争に参戦する『ストライクウィッチーズ』が大いに人気を博しており、
最近でも“魔法少女”だけが戦う運命にさらされる、という
『魔法少女まどか☆マギカ』が社会現象となったほか、
今クールでも『輪廻のラグランジェ』や『戦姫絶唱シンフォギア 』など
ヒロインが戦いの主役である作品がそろっている。

主人公自体は男の子（多くは高校生）だが、
女性にしか特殊能力が与えられないという世界観の作品が多いため、
たいていはヒロインをサポートするものの、
基本的には傍観者となるか足手まといとなり、
かえってヒロインを窮地に陥れるケースが多い。

性格も、男の子はたいてい優柔不断で情けなく（トラブルに巻き込まれたくない）、
気も優しく繊細で、女の子にリードされるケースが多い。

家事が万能というパターンも多くなった。バトルものではないが、
3年前に放送された『とらドラ！』は主人公の男の子が
見かけは不良っぽいが実は家事が得意で気が利くのに対し、
ヒロインはかわいらしく、根は優しいのだが不器用で、
怒ると凶暴になる、というパターンだった。

一方のヒロインは多種多様。強気であったり、バイオレンスであったり、
女らしさもあったり、天然だったり…。男の子と比べてバラエティに富んでいる。
また、情にも厚く情けない男の子を包み込む“母性”も持ち合わせている。

特に感じるのは、最近の“戦う女の子”が激しく肉体を傷つけ、
ときには血を流しながらも戦い続けるところにある。
昔のバトルヒロインがあくまでも女の子らしさを残すために、
あまり肉体を駆使することなく魔法などの特殊能力で
“スマートに”戦っていたのとは大きな差がある。

いろいろ理由はあると思う。か弱い少女を強い男が守る、という作品では
フェミニストが黙っていないだろう。
また、いわゆる機会均等で、男性ばかりが強くある必要がなくなり、
強く、戦うヒロインが市民権を得たということもある。

さらに、いわゆる萌え文化の開花でどのようなシチュエーションでも
女性を主人公にしなければ受けない、ということもあるのかも知れない。

確かに、戦う女性は美しい。見ていても、
マッチョの男性が活躍する（日本ではマンガでも映画でもマッチョや
アマゾネスみたいなキャラが主人公を張るケースは少ない）作品よりは
かわいらしい女の子が華麗に戦うシーンの方が見ていて楽しい。

それにしても、である。
日本のアニメヒロインは強すぎる。そして男の子は弱すぎる。

果たして、海外はどうなのだろうか。ヒロインが体を張り、
か弱い男の子を守るというパターンは日本だけなのだろうか？
このあたりは、もうちょっと調べてみても面白いかと思う。