AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

十二正経走行モデル ver. 2.2

2020-06-21 | 古典概念の現代的解釈

筆者は2011.1.11付で「經絡走行モデル」ブログを発表した。その内容は、經絡走行をトポロジー的に捉えたものであったが、分かりにくい点が多々あった。そこで今回は、經絡走行概念図を示しつつ、実際の部位(あるいは経穴名)を付け加えることで、經絡を利用した針灸臨床を考えるための素材を提供することを考え大幅な改良を行い、何回か改良を行った。 

 

1.三陰三陽の表在経絡 

一般的な経絡図は、表層経絡(正確には絡脈)だけが描かれているのは周知の通りである。十二經絡は、走行別に手の三陰經、手の三陽経、足の三陰経、足の三陽経に分類される。この4種の走行パターンを下記に示した。

 

2.表在經絡と深部經絡

これは初歩的学習としては妥当なものだが、経絡を利用した治療をしようと思えば、まったく不足している。一つの経絡の特徴としては、走行のどこかで該当臓腑につながっていて、臓腑と直接つながっているのは深部經絡であって、上記の図では省略されているからである。 

直接、鍼灸刺激できるのは、上図の表層經絡部分だけだが、鍼灸刺激が表層經絡→深層經絡→臓腑というように伝播されるので、内臓治療が可能となるというのが古典理論になっている。

3.經絡走行モデル図

実際の經絡流注は極めて複雑で信憑性も高いとは言い難い。經絡を考慮した鍼灸治療するにしても、經絡走行を細部まで記憶するのは難しく、それを記憶しなければ治療できないというわけでもない。 

手元には本間祥白著「図解鍼灸実用経穴学」と同氏著「誰でもわかる經絡治療講話」の二冊がある。両書籍とも下図のような經絡走行一覧表が載っている。非常に複雑であることが改めて思い知らされる。(色づけは私自身の勉強のために付加したもの) 

 

だが、始点と終点、深部經絡が臓腑に出入りする部位、浅層經が深層經絡と潜る部位(あるいは深層經絡が浅層經絡に浮き上がる部位)など、要点をきっちりと押さえる一方、細かな走行を省略することにすれば、經絡走行の全体像が見渡せるものとなるだろう。 

①上図で青色が表層經絡で針灸刺激できる部位である。表層經絡は、四肢と体幹ともに流れている、体幹部分の表層經絡は体壁を走行している。黒色は深層經絡で鍼灸刺激できない部位である。深層經絡は体幹深部(=体内)にある。

②經絡で、太線は太線が直經、細線が支脈である。

③四肢末端附近にある経穴は、<絡穴>であり、次経への流入口である。四肢の經絡末端は<井穴>である。 

④手三陰経と足三陽経は直接はつながっているようには図示されていない。これは頭蓋の感覚器官や脳内を複雑に走行していて図示困難なことによる。  


4.經絡走行モデル2

上図はトポロジーの観点から次のように表すこともできる。一巡目(肺-大腸-胃-脾)の流注、二巡目(心-小腸-膀胱-腎)、三巡目(心包-三焦-胆-肝)と、よく似たルートを通るが、走行の細部の違い(とくに足の三陰経の走行)の違いを把握しやすいと思った。
内臓治療に対する鍼灸のやり方は、実線部分を直接刺激し、点線部分につながる臓腑症状をリモート的に改善させることになる。(点線部分は直接刺激できないので)

 



 


 

    


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