AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

緊張性頭痛に対するトリガーポイント治療の整理 その1

2011-09-09 | 頭顔面症状

1.緊張性頭痛の基礎知識 
緊張型頭痛は、1988年までは筋収縮性頭痛と呼ばれていた。頭痛の7~8割を占める。重く締めつけられる感じの頭痛で、頭重とも表現される。発症は不明瞭で、梅雨時の雨のように何日も続く。両側性の頭痛。頭痛薬無効(薬が効いている間だけは軽快)。
精神緊張、抑鬱状態、頭頸部外傷等によるストレス→頭部の筋肉の持続的収縮→筋の循環障害→疼痛物質の発生→さらに筋収縮の惹起という悪循環。

2.緊張性頭痛の筋緊張部位
単純にいえば、後頸部筋の緊張では、頭に重石を載せられているような頭痛となり、 頭蓋周囲筋の緊張では、被帽感(きつい帽子をかぶったような感じ)となるとされる。
ただし後頸部の筋は重層的で種類が多く、また後頸部筋の筋緊張により側頭部や前頭部に放散痛を生じることも多い。とくに側頭部に放散する痛みは、もともと側頭部にある筋(側頭筋や側頭頭頂筋)の緊張と区別しにくい。幸いにして、痛みの発信源と放散痛の関係は、トラベルらにより詳細に検討されているので、既知のトリガーポイント部位と、その放散痛の関係から、一定の法則を導けないかを検討してみた。

3.僧帽筋と胸鎖乳突筋 
1)僧帽筋の肩井あたりのトリガーは放散痛を側頭部胆経の走行領域にもたらす。

2)胸鎖乳突筋僧帽筋のトリガーは、その付着部(完骨)あたりと前額部・眼の周囲に放散痛もたらす。

4.頭板状筋と頸板状筋
僧帽筋のすぐ深層にあるのが、頭板状筋と頸板状筋である。頭部板状筋は、側頸部上部において、僧帽筋と胸鎖乳突筋の間に触知できる。この筋間の後頭骨下縁に風池を取穴する。
     

1)頭板状筋
頭板状筋の関連痛は独特で、下風池付近にトリガーを生じると、頭頂周囲に痛み放散すこる。

2)頸板状筋
頸板状筋は、C3~C4頸椎棘突起の外方2寸ほどの部にトリガーを生じると、側顔面部とくに外眼角部に痛みが放散することが知られている。

5.頭半棘筋と頸半棘筋 
頭板状筋と頸板状筋の深層には頭半棘筋と頸棘筋がある。
頸半棘筋は、後頸部において最も太い筋であり、本筋が緩むと頭の重量を支持できない。本筋の放散痛は、後頸部と前頭部あたりの放散痛をもたらす。
頭半棘筋と頸棘筋の筋腹は、基本的に椎体の幅より外側にはみ出さないその刺針も棘突起から2㎝以内の距離からの深刺になる。 

  

※C1~C5棘突起外方、約1㎝の部にトリガーがある


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