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『「ニッポン社会」入門』

2011年12月04日 | 本と雑誌
『「ニッポン社会」入門』 コリン・ジョイス著/谷岡健彦訳 生活人新書


副題は「英国人記者の抱腹レポート」。
14年間日本に暮らしたイギリス人の記者が綴る
日本社会についての愛情とユーモア溢れるレポートです。
(と言っても、記者になったのは日本に来てかららしい)


基本的に、礼儀正しくも率直な筆致で書かれていますから、
ああ、こういうところにイライラするのね、とか、
ああ、こういうところは理解しきれないのね、など、
日本に暮らす外国の方(特にヨーロッパ出身の方)のご苦労がよくわかる本でもあります。
でも、根底に愛情があるし、ユーモアがありますので、読んでいてとても楽しかった。
最終章の辺りは、イギリス料理のおいしさを力説されていましたが、
コリンさんにはぜひ林望さんの『イギリスはおいしい』をお勧めしたいです。
(リンボウ先生曰く、イギリスでは野菜も魚もとにかく煮倒すらしい)
(そして、塩味の調節がなっていない)(だから食卓に塩が置いてある)
でも、コリンさんが絶賛するイギリスのビールやサンドウィッチやカレーは、
本当においしそうで、ぜひ食べてみたい欲求にかられます。


そうそう、「ウナギの漬け物」もとい「ゼリー寄せ」の話が出てきましたが、
この料理を私はNHKの番組で見たことがあります。
テムズ川河畔の伝統的な名物料理で、
でも、若い人はあまり食べなくなってきたんだよ、と
番組に登場した年配の男性は、ちょっと寂しそうに話していました。
(コリンさんも食べたことはないらしい)
見た目としては、ぶつ切りにしたウナギをゼリーで寄せた、という
日本人にはちょっと厳しい感じの料理でしたが、実際のところ味はどうなのでしょう?


一番、感慨深かったのは、
「英国紳士とジャパニーズ・ジェントルマン」の章です。
「彼こそわれらの時代のヒーローなのだ」と賞賛されたある日本人男性の行動に、
いや、さすがにどの日本人も彼と同じように行動するとは限らないよ、
と思いつつも、大変嬉しいものを感じました。


一方、日本のことを記事にしにくい理由については、
いやまったくその通り、と言わざるを得ません。 
小泉首相以降のことは書いていませんが、こうコロコロ首相が替われば、
「首相が替わった」ことすらニュースにならないだろうなあ、と思います。


このことを踏まえたときに、今年の3月、イギリスの新聞の一面に
「がんばれ、日本 がんばれ、東北」
という日本語が、日の丸と共に掲げられたことの大きさが、逆に胸に迫ってきました。
ほとんど何も知らない国のために、あんなに大きなエールを送ってくれたのです。


さ、イギリス、ニッポンと読み進めてきて、次はアメリカだ!(笑)
 
 


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