東京・ウサギSATELLITES

兎についてきた人だけが迷い込む不思議な衛星

踏み込んでます4-大人時間・漫画追記部屋-

2016-12-06 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム

※BLについて綴っております。ネタバレも含みますので、ご注意をば。

※できれば踏み込んでます1を読んでいただけると...ありがたいです。








お次は、ゆくえ萌葱さんの『睨めば恋』

これはですね、、、ガタイが良くて目つきの悪い、腕も立つ不良高校生(なのかな?←そう見られるだけで本人は割と普通な気がする)と、猫に優しい別科の男の子の恋のお話し、なのです...が、が!

また最初に述べてしまうとですね、絡みのシーンにおける役割が逆ではあるまいか??と、猛烈な違和感を抱きながら読みました。

知らずに読み始めた時は、ただただワクワクしながら読んでいました。飄々としているけれど猫に優しいもう1人の主人公に不良君が惚れて、だけど不器用で睨んでしまうところとか、そんな不良君のギャップを見つけたお相手がどんどん惹かれてゆくところとか...。その課程で出てくる‘ゴゴゴゴ’とか‘ギンギンギラギラ’等の表現も面白くて、堅物そうなヤンキー君が絆されていくなんて素敵だわ...と期待値が上がりつつ、いざ想いが通じ合ってラブシーンとなった時のショック。。

「(違うよ…逆だよ…)」

と私は心の中で悲鳴を上げていました。

BLとはこういうのも成り立つ世界なのでしょうかね?今年になって踏み込んで、なんの疑いもなく読んできましたけれど、どう見ても抱くであろう側が抱かれるという現象...ある意味目からウロコでした。

そして多分勝手に決めつけていただけで、どっちがどうかなんてそのカップルにしか分からないことですよね…うん。でも抵抗感を拭うことはできませんでした。2人ともとても好きなキャラなのですけれども。

多分、強いヤンキーはいついかなる時も翻弄されてはならん!という私の(面倒くさい)心の鉄則もあるからでしょうね(ちなみに前記事の秋山くんは妖艶さがあったのでセーフ...ギリギリ)。なんにしても残念でした。

ただ、それはとりあえず横に置いておいて、心にグッとくるエピソードもありました。

2巻のお弁当にまつわるお話しなのですが、飄々としている彼のお家が母子家庭で一家団欒とはほど遠い生活をしているわけですよ。帰宅したら誰もいないしコンビニに1人お弁当を買いに行くとか胸に詰まる描写があって(大人になってからなら気にならずとも)、でもこの子泣かないんですよね。不良の彼が作ってくれたお弁当が(不良君料理上手なのです)喧嘩の巻き添えになって駄目になってしまっても泣かない。それが逆に涙を誘うといいますか、愛情深い(もう母のようだよ)彼ができて良かったね~と思いました。

2巻にはこのお話しの他に不良君を慕う後輩君のお話しも入っていて、好きな人は誰にも触られたくないとか分かりやすくて良い内容でした(逆に1巻の
関連していない単体のお話しの方は無理やりっぽくて駄目でした)。


で、睨めば恋にて登場した不良君の兄(寅之介氏)が主人公のお話し『偲べば恋』なるものもあって、バイクのチームという激しく興味をそそられるものが出てきていたので読んでみることに。。

こちらの方が好みでした。

寅之介氏が若かりし頃バイクのチームリーダーと出会い恋をするというお話しなのですが、同じチームリーダーの女子やらといざこざはあっても妙な当て馬とかなく、何よりチームのカリスマリーダーだった哲也氏が一途で素敵なお話しでした。まあ、リーダーの後ろに乗りたいという設定は実際のところどうなのだろうと思いましたけれども(どちらかというとグリップ握るのは年下でリーダーは後ろに気怠げに乗ってるイメージ)寅之介氏が女々しくはないけれども可愛らしくて自然と読めました。

もう少し詳しく書いていくと、過去と現在が交錯しつつ終始寅之介氏が思い悩んでいる感じ。

その過去で描かれるやりとりに切ないシーンがあって、中でも現在の寅之介氏が思い出すかつての情事シーンはたった3コマですけど若さ故の背徳的な雰囲気が醸し出されていて息が詰まりました。これが別人との思い出とかだったら嫌ですけど、現在も想い合っている2人だからこそ良いシーンなのですよ。この時のラブシーンを詳しく描いたものと大人になってからのラブシーンの対比の流れも良かったです。

とはいえ、思い悩んだ末若かりし頃の寅之介氏はいったん距離を置いてしまいます。でも互いに忘れられなくて呼び戻される形で同じ職場(哲也氏の美容室)で働くように。そこからすぐに恋人になるというわけではなく、更に数年を隔て、ふとしたきっかけで動き出すのも好きな流れでした。

全体としては、バイクチームという男臭い世界観に(実際はレディースとかもあるけど)男性同士の恋愛が織り交ぜられているというのは、私としては不思議だったのですけど、ゆくえ萌葱さんの少し男っぽい絵柄とよくあってるように感じましたね。

ただ『睨めば~』の時もそうなんですけど、人物が凄く格好良く見えるシーンと(若い頃と大人になってからの描きわけはとてもいい)、おや?と思うシーンがあって、素人目から見ても顔と体の比率がどうなのだろう...という時や顔が歪んで見える時があってちょっと気になりました。演出の方でも素敵な(寅之介氏のシュシュが外されて長髪がさらされるとか)シーンもあれば、指をクイクイとさせながら呼び寄せる仕草がイマイチ好きになれなかったりと波がありましたね(自分の好き嫌い的に)。あとは、まあ...ご飯を口いっぱいに頬張る姿は本来萌どころなんでしょうけれど全く萌ないのは多分私に問題があるので...ゴホッ。

ちなみに作者の方があとがきにて「このバイク絶対走らねぇ...」とおっしゃってましたけれど、頑張って書いて下さってるのはちゃんと伝わってきましたし(パソコン使用ではないと思うんだ)格好良く走ってました。なにより一途な2人の話しをありがとうございます!と言いたいですし、こういう2人だけでざわついているお話しが私は好きです。

それと...『睨めば~』的なショックがなかったのも良かったですね。

はい。