NHKスペシャル「神の数式」(二夜連続)という番組を見た。
第1回 この世は何からできているのか~天才たちの100年の苦闘~ NHKのサイトはこちら
第2回 宇宙はどこから来たのか~最後の難問に挑む天才たち~ NHKのサイトはこちら
私たちが生きるこの世界、さらには宇宙が、どのようにして形作られているのかを説明する
いわゆる”万物の論理”を表す数式を探し求める物理学者の挑戦を紹介した番組だ。
ナレーションが小倉久寛と上田早苗だったので、多分2007年に放送された
「ポアンカレ予想・100年の格闘~数学者はキノコ狩りの夢を見る~」と同じスタッフによる制作ではないかと思われる。
難しい理論物理学のお話を私たち素人が何となく分かるくらいのレベルで解説しようという試みだ。
まぁ、どんなにやさしく説明されたところで数式の意味などさっぱり分からないが(笑)
それでも、この種の話には何故か心惹かれる。
小学生のころ、夏休みの読書感想文の宿題でニュートンの伝記を読んだ。
その時、ニュートンが自分が発見した自然界の法則を数学で証明しなければならないと苦悩する姿を
とても不思議に思った。
小学生の私には何故数学で証明する必要があるのかさっぱりわからなかったからだ。
この番組の中で物理学者とはそういう人たちなのだと説明するのを聞いていて
ふと小学生のころのあの幼い疑問を思い出した。なつかしくもあり、おかしくもある。
ニュートンンの伝記のせいかどうかは分からないが
私はずっと数学や理論物理学に強い憧憬の念を抱いてきた。
だから、自分に数学的センスがないと自覚した時の衝撃や、
高校生の時に物理が全く理解不能だった時の絶望感はとても言葉にはできないほどだった。
でも、いいんだもん。
自分がやらなくたって。
頑張る天才たちを見ているだけで楽しいから。
この番組で紹介されている物理学の歴史に残る学者たちの中に
2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士がいる。
あの時、共同で受賞した確か小林博士であったと思うが、
南部先生が受賞されたのが嬉しい、
自分たちは南部先生を追いかけて研究してきたのだからと
話していたように記憶している。
小林博士の謙虚な人柄にも感心したが、同じノーベル賞受賞者にそうまで言わしめる南部博士とは
それほど偉大な方なのかと感心した。
この番組を見て、確かに南部博士の存在は傑出したものであることがよく分かった。
ノーベル賞受賞時に報道された博士の代表的な業績である
「自発的対称性の破れ」もこの番組の中で丁寧に解説されている。
あの時、マスコミは風変わりな益川博士の言動にばかり夢中で
南部博士の偉大な研究について十分に紹介しなかったのではなかったか。
困ったものだ。