苔盗人

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このところ鞄にジップロックと新聞紙を一枚、そしてプラスチックのヘラ忍ばせて歩いています。何をか企んでいるかというと、どこかにめぼしい苔はないものか、いいものがあれば採取しようという魂胆です。
大事にしていたつもりですが、盆栽が枯れてしまいました…。常緑樹のピラカンサの葉が茶色く硬くなってしまい瀕死の重症です。やはり、人間の都合で小さな鉢に押し込められた命はなんともはかないものです。苔の様子がおかしいときにもうちょっと早めに手立てを打てば、ここまでの重症には、ならなかったでしょうね。やはり盆栽の根元を覆う苔が水を蓄えたり、小さな鉢の世界での役割は大切なものですね。というわけで、ちょっと手遅れ気味ではありますが、ちょっと苔を探してきょろきょろ歩いています。
さて、そう思って街を歩いているといたるところに苔は生息しています。しかし、都会において、採取できる苔というのは、そう容易くないですね。
私としても採った跡が醜くなるような状態はいやですし、ルールもモラルも破りたくはないものです。他人の家の前のたとえ苔といえども、勝手に持ち去る輩がいたらやはりそれはルール違反でしょうし、たとえそこが誰かの敷地でなくても、やはりモラルに反することが多いように思います。遊歩道などでも、なかなか難しいところがありますね。剥がれ落ちて、ゴミくずのようになっているものなら良いでしょう。また、人様の家の前でも、そこに家の人がいてちゃんと断って了承をもらえばいいでしょう。というわけで、いつ何時そんな絶妙なタイミングに出くわすかもしれないので、とりあえず採取できるよういつでも準備オッケーです。
とある家の食卓で『今日は変なおっさんが家の前の苔をありがたそうに持っていたよ。変わり者がいるもんだね。』なんて、ちょっとした、おかずとして話題にでもあがれば本望なんですが、いまだ苔は採取できず…。
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