あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』第170話感想

2016-07-01 23:55:00 | 食戟のソーマ

 光陰矢のごとし。
 ということで7月です。
 一年の半分が早くも経ってしまいました。



 なんかもう、毎回言ってるような気がしますが・・・。

 すみません、御無沙汰していました!!(><;)

 どうもここ最近仕事が立て込んでいて、体力的にも精神的にも余裕が取れず・・・!
 少なくとも今年の夏いっぱいまで、こんな状態が続きそうなんですよね。
 『ソーマ』のアニメも開始直前というこの時期にこうなってしまうとは、悔しい限り。

 そういえば、今回のアニメ第二期はワンクールとの情報が。
 なんと短い★
 ということは、今回は秋の選抜終了まででしょうかね。
 気になるのは、本戦開始直前のエピソードである第61話も取り扱ってくれるのかという事。
 一見本筋とは関係ない小休止的な話、そして創真&恵派な読者にとって大万歳な話(←)ですが・・・。
 このエピソードは実はかなり重要ですよ。
 これほど熱弁するのは、私が単に創真&恵派だからというだけではありません。
 このエピソードには、この作品の「テーマ」に関することが述べられているほか、何より創真の○○と恵の●●という、二人のキャラクター性における重要なファクターが描かれているのです。
 そしてそれらファクターは、ひょっとしたら今現在進行中の遠月革命編にも関わってくることかもしれないんですよね。
 とにかく、第61話はこの作品の「これから」において重要な基礎固めとなっているストーリーですので、アニメでも絶対取り上げて頂きたいです。
 まあ、幸い小休止的な話だけに、例え原作順ではなくとも途中でいつでも挟める内容ではあるんですけどね。
 もし今回取り上げられなかったならば、第三期で取り上げてくださる筈と思うことにします。
 完全スルーだけは絶対に認めない。それだけですので。(←暗にプレッシャー)



 そして、そんな第61話と結構似ていた話が、ジャンプ28号の『こち亀』でも掲載されていましたね。
 さすがは「知の宝庫」であらせられる秋元先生。
 大変勉強になりました。

 こと感心させられたのが、寿司は元来大衆料理だったという事実。
 これには目からウロコ☆
 元から高級食だったとばかり思っていました。
 (丁度アニメ第二期もこの回から始まりますが)『ソーマ』の第62話を読んだ時も思ったものですが、やはりどれだけ「高級」と謳われている料理でも、元を辿ればそのほとんどが庶民層から生まれたものなのですよね。
 それを改めて再確認させられました。

 そしてもう一つ、大変頷かせられたのが
 “米”の大きなキャパシティ。
 それと、米へのこだわり。
 これはさりげなく。ですが一貫して。
 連載初期からずっと描かれてきたことですが、
 『ソーマ』でもご飯は「土鍋炊き」で作られているんですよね。
 調理性能の優秀さと持ち運びしやすいという利点から「土鍋」という手法が選ばれたのでしょうが、『ソーマ』はさり気ない面で料理への気遣いがよく行き届いている作品だと思います。
 秋の選抜編はもとより、創真が全体的に米を用いた品をよく作るのも、“米”が日本を代表する主食であり、日本人のこだわりであり、そして世界の食材とも融合できる可能性を秘めた食材だからだと思います。



 さて、それでは随分と間が空いてしまっていましたが、『ソーマ』本編の感想へと、いざいってみましょう!





 週刊少年ジャンプ2016年28号掲載
 掲載順第7位
 第170話 【凍っていた想い】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 創真が創った天丼、それは『鶏卵の天ぷら丼』でした。
 ほらやっぱり☆

 ただし。

 冷凍の生卵。

 これは予想外。

 してやられた感がもの凄い。
 その発想にひたすらビックリです。

 発想には驚かされたものの、調理法自体は至ってシンプル☆
 これなら家庭でも手軽に作れそうですね。


 説明はともかく、まずは食べて見ろと勧める創真。
 そんな創真に相変わらずの悪態をつくえりな。
 だ・か・らっ。
 そーゆー文句は食べた後で言え(怒)。
 まー、事前にこういう腹立つ態度を取るという事はどうせ・・・。



 いざえりなが食べようとしていたその時、榊は気になっていた事を口にします。
 創真が以前、1パック106円の激安特売卵を大量買いしていたことを。
 甘いな。
 1パック80円以下からしか激安とは言えないゼ。(でも一人あたりの購入数が限定されていないなら、確かにお買い得と言えるカモ)

 その事に驚愕する一同。
 特に新戸は焦ります。
 何故なら、えりなは幼い頃から高級かつ厳選された食材だけを口にしてきたから。
 この事実は小説版第2弾での新戸のエピソードでも語られていた事ですね。
 ・・・その点については、以前から疑問視していました。
 特にこの後に続いた、新戸の「安物の食材を口にしたら体に変調をきたしてしまうかもしれない」という発言に。

 ・・・あのね?
 なんでそこまで神経質になるわけ?

 そりゃあ、添加物や農薬ギンギンな物だったなら憚られますが・・・。
 安くとも、それだって立派な「食べ物」ですよ?
 たとえ安かろうが、生産者様達が丹精込めて作ってくださった良質な食材なんて、この世にごまんとあります。
 「安物の食材は上流階級の人間の体に合わない」。
 そんな考えはあまりにも愚直かつ生産者の方々に失礼だと思うんですけど?

 新戸はそんなつもりで言ったわけではないのは分かっています。
 分かっていますが・・・。
 この発言には、「“真の美食”以外の食物は“餌”」と断言する薊の思想にも似た「偏見」が感じ取られました。

 それに・・・。
 えりなは人一倍舌が繊細なだけの、“皆と同じ”人間なのですがね。



 危惧するギャラリー達でしたが、時すでに遅し。
 えりなは口に。

 その結果―――

 

 

 

 

 

キターーーーー!!!!!
「完全おはだけ」!!!!!
(Σo(><))

 

 

 

 

 もう反応しまくり。
 感じまくり。

 秋の選抜でのアリス(第66話)に匹敵するはだけ具合だな・・・。(苦笑)




 実は「卵を凍らせる」という手法には、「固体化」「長期保存」という他に、もう一つの利点があったのでした。
 それが
 「風味の濃縮」。

 イメージしやすい料理なだけに、創真の解説に食欲が高まってしゃーない。
 実は私って、半熟卵や生卵が苦手な人間なんですよね。
 なのに食べたくなる不思議。

 しかも安物の卵を使用したのにも立派な理由が・・・!!
 そうなんですよね~。
 高級食材って、そのいずれもが味やコクが強いものばかりなんですよね。
 いわば、食材を“そのまま”食べても充分に美味しい。
 それが高級食材。
 ですが、「料理」となると話はまったく別。
 調理法や他の食材との相性をきちんと考慮し、一皿全体のバランスを大切にしなければなりません。
 それが「料理」であり、料理人の仕事なわけです。
 
 そしてやはり創真が「卵」をメインにした料理を選んだ理由も、私達読者が期待していた通りでした!!
 一見シンプルなアイデア料理に思えたものの、実際は論理的にも精神論的にも見事に成立。

 なにこれ。

 非の打ちどころが無い。



 創真のそんな非の打ちどころのない説明に、一言も文句が出せないえりな。
 代わりに口に出たのは・・・。
 疑問。

 何で!どうして!という言葉が堰を切ったかのように口から出るえりな。
 これまで創真を「否定」することによって封じていた、創真への「疑問」が一気に溢れたわけです。
 これは第167話感想で述べた私の考えが間違いではなかったと捉えていいよね?
 ・・・ね?


 そんなえりなの問いに対する創真の答えは―――

 

 

 

 

 

ここできましたか。

まさかまさかの超原点回帰。

 

 

 

 

 



 第一話を通り越して、なんと読切版の言葉を持ってくるとは・・・!!

 本当に何なんですか今回の完成度。
 半端ない。



 もうこれだけで充分感嘆してしまってるというのに、更に畳み掛けてくる創真。(+附田&佐伯先生)

 ここ、地味に巧いコマ割りになってるんですよ。
 「それになによりも―――」と話す創真と。
 「決まってるさ」と言う城一郎が。
 ページ1枚を挟んだ形でほぼシンメトリー[左右対称]に描かれているんですよね。
 そして次のページで、言葉と姿を完全に重ねさせるというこの巧妙さ。
 もう見事すぎてどう称賛したらいいのやら。



 そして創真と、かつての城一郎が告げた言葉は―――

 

 

「行き着く先が分かってたら楽しくないだろ」

 




 この時のえりなの表情ったら・・・。
 今までで一番まっさらな顔ですね。
 これまでも創真の言葉に刮目させられる場面は何度もありましたが、今回の表情は間違いなくその中でもトップの描写です。
 これは・・・、うん・・・。
 今までのえりなの表情で一番気に入ったかもしれません。



 常識。当たり前。普通。
 普段私達が「当たり前」「当然」と思っている物事は、一種の固定観念なんですよね。
 ですが、そういった先入観に全く囚われず、普通の人が実行に移そうとさえ思わないものに敢えて挑む料理人。
 それが創真であり、城一郎だったと。

 えりなの信条である「完璧」。
 それは大変盤石なものであり、安定しているものです。
 そして。
 「可能性」は全く無いものです。

 ですが、創真の信条はそれとは真逆の「可能性」。
 それは不確かなものであり、保証なんてものはありません。
 結果がどうなるか分からないものを標[しるべ]とするのは、とても怖いものです。不安です。
 でも。
 だからこそ面白いという。





 思い出すえりな。
 自分はどんな料理を作りたかったのかを。

 吹っ切れたかのように、えりなは無言で料理にがっつき始めます。
 これは珍しい。極めて。
 すました顔で料理を食し、冷静に論理的薀蓄を語るという姿が常だったえりな。
 そんな彼女がこれほどまでに「食べる」こと自体に没頭するとは・・・!!
 この姿は創真と闘った時の郁魅やアリスと共通するものがありますね。
 「思うままにかっこめ!」という。


 完食し、箸を置くえりな。
 その瞼には、溶かされた想いが浮かんでいました。



 静かに鉢巻きを解く創真。
 イケメンだなチクショーめ!!!





 おまけに煽り文までもが良い仕事を。(単行本では消えてしまうのが勿体無い)
 それに乗じて、私も〆として言わせてもらいましょう。


 お粗末!!(^^)
 
 

 


 

 

 

 

 

 

リベンジ達成!!!

 

 

 

 

 もうこの日をどれだけ待ち望んでいた事か。
 創真がえりなをケチョンケチョンにしてくれるのを。(※一部語弊あり)



 流石は附田&佐伯先生。
 前回にかけて、これまで張られてきた伏線がどんどん解消されていってましたが、今回はまさにそのピーク。
 よもや読切版での言葉さえも用いてくるとは夢にも思わず。

 そして森崎先生もやはり凄い。
 卵が用いられるであろうというのは大方の読者が察しが付いていた事でしょうが、その予測の虚を見事に突いた「冷凍」という手法。
 その手法が[氷の女王]であるえりなの“氷解”とも関連しているという見事さ。
 加えて、これまた読切版でも用いられていた調理理論がしっかり再利用されているというのですから・・・もう。
 もうもうもう。
 感心しきり。

 今回の話は、附田先生、佐伯先生、森崎先生らの見事な協力によって作り出されたストーリーだったと、普段以上に強く思わされました。

 そうして期待通り、そんな創真の料理にえりなは完全に陥落させられたわけで♪
 今でこそ様々な表現法が開拓されている実食リアクションですが、コスプレなどではなく「おはだけ」だったこともまた、二人の因縁のケリを付ける意味で最適だったと思います。
 やっぱり悪態をつく上から目線な奴は、いっぺんはだけさせなくっちゃね♪(←)

 つい最近の司との勝負でもえりなは「おはだけ」していましたが、「完全おはだけ」ではありませんでしたからね~。
 これほど感慨深いのも、第1話から登場しているというメインヒロインでありながら、これまで一度も「完全おはだけ」はしてこなかったというのが大きかったと思います。
 それが遂に。
 他の誰でもない。
 創真によって。
 ここ大事。とっても大事。

 ですが。
 そんな「完全おはだけ」よりも遥かに感慨深かったのが、えりなが創真の料理を夢中で食べてくれたこと。
 そして涙を浮かべて感慨に浸ってくれたことですね。
 心”のままに料理を食べる。
 これまで一度も見せてこなかったそんな姿を、一気に晒してくれました。
 本当にもう、これだけで「美味しい」と言ってくれたも同然です。(^^)



 創真の料理によって、やっと自分の“原点”が思い出せたえりな。
 これまで彼女はずっと、“完璧でなければならない”という義務的考えで料理を作ってきました。
 でも。
 本来彼女が“作りたい”自発的に望んだ料理は、「完璧」とはある意味対極にある、「自由で可能性に溢れた料理」だったという。

 つまり城一郎の料理に抱いた感動には「温もり」、「完璧な味付け」、「自由さ」、「楽しさ」、「斬新さ」などといった様々な要素があったものの、周囲の重圧や薊の洗脳といった“強制”と都合よく合致していた「完璧さ」だけが記憶に残ってしまったという事なのでしょう。

 それならば、創真と初めて出会った時に食した料理でその“原点”を思い出してもよかったのかもしれませんが、当時のえりなはまだ「己の世界」があまりにも狭いままでしたからね。
 今回ようやく創真の料理に心から向き合えたのは、極星寮の面々との出会いによって「己の世界」が広がった事も貢献していたと思います。



 いや~それにしても・・・。
 やっぱりこの遠月革命編が始まってから創真が作っている品は、いずれもえりなに食べさせるべきと思える料理ばかりですね。
 まず最初に、薊政権への反逆の狼煙となったVS叡山戦では、鳥(鶏)の翼(手羽先)に“羽”を付けるというそのイメージ。
 VS司戦では、市販のお菓子(甘栗)や七輪の使用という調理法。
 そして今回では、卵をわざわざ凍らせるという行動力。
 一見無茶苦茶なように思えたこれらの料理は、そのいずれもがこれ以上ないほど理にかなったものでした。
 それら料理の全てに共通していたのは
 一つの固定観念に囚われない、自由な発想。
 特に「素材は安物で調理法もシンプル」だった今回の料理は、「素材は高級で調理法は雑多」だった叡山戦と丁度対照的と言えましたね。










 毎回この漫画のストーリーと料理面の関連性には唸らせられるのですが、今回のエピソードはここ最近の中でも飛び抜けた完成度を誇っていたと思います。

 おそらくですが・・・。
 今回の創真とえりなのエピソードは、附田先生が連載開始当初から温め続けてきたエピソードだったのではないのでしょうか?
 それぐらい、今回の話は私が以前から望んでいたことに見事に応えてくれていた内容だったんですよね。
 創真の“温もり”によって、えりなの“堅い冷たさ(氷)”が溶かされるという。
 今回描かれていた「心の解放」「氷解」というファクターは、これまでのストーリー中でも何度か描かれてきました。
 その代表例が、初の食戟だったVS郁魅戦や、秋の選抜本戦初戦であったVSアリス戦ですね。
 この二人はえりなのファクターを多く持つキャラクターですし。
 おそらく上記の闘いは元々、えりなとの決着が意識されていた今回のエピソードから派生したストーリーだったのかもしれません。
 加えて、読切の台詞と主旨が同じ発言を創真がしていたことから、VS叡山戦も同様だったのかも。

 この遠月革命編が始まった頃から至る所で感じていた「原点回帰」。
 それは全て今回のためだったのでは。
 これほどまでの「奥の手」をここで披露してくださった附田先生でしたが・・・。

 感服させられたのは、ここに更に言葉が上積みされたこと。

 創真(&城一郎)が言ったこの言葉は、きっと。





 「この作品はこの先も予測不可能に前進していく」という、読者へのメッセージでもあるのでしょう。





 これは完全に私の推測ですが、今回のエピソードはその完成度の高さから見て、附田&佐伯先生が連載開始当時に最終エピソードとして用意していた話だったと思うんです。

 ですが。

 それほどの重要エピソードを、ストーリーがまだまだ半ばであるこの時点で描いてきたということは―――



 ここから先は、少なくとも両先生方が当初に用意していた「到着地点(ゴール)」から変わっていくということではないのでしょうか。



 どこへ行き着くのか。それは両先生方にも分からない。
 それはそれだけ創真達キャラクター一人一人が、そしてこの作品が、当初の予想を遥かに超えて成長したという証。



 ―――出会いこそが、前に進むのに必要なこと―――
 それを秋の選抜編の総括として城一郎に述べさせた附田&佐伯先生。
 ですが両先生方も、これまで多くの貴重な出会いを得てきたと思うんです。
 小説化の際は伊藤先生によって、各キャラクターをそれぞれ深く掘り下げて頂き(特に伊武崎のエピソードには感動させられたと、附田先生もツイッター上で述べておられましたね)、アニメ化ではアニメスタッフの方々から、原作で帳尻が合わなかった部分を丁寧にフォローして頂いたりしました。(OP&EDも大変気に入られておられたご様子)
 そういった多くの出会いによって、創真達だけでなく、両先生方達の“世界”も当初の予測を飛び越えて大きく広がったわけです。

 そして。
 附田&佐伯先生はそんな“予測不能”とこれからも付き合っていく決意なのでしょう。

 何故なら、その方が楽しいから。




 これから先の展開は果たしてどうなるのか。
 両先生方にも分からない、創真の料理人としてのこれから。
 
当初の目標通り、真っ直ぐに『ゆきひら』を継ぐのか。
 それとも、より大きな「世界」に旅立つのか。

 そしてヒロイン達とのこれからも。
 えりなではなく、恵と結ばれることになるのか。
 それとも郁魅や倉瀬になるか。もしくは、いまだに登場していない誰かになるのか。
 はたまた一周回って、えりなに戻るのか。

 
それらも全部ひっくるめて、これからも楽しんでいくつもりです。
 本当に、今回は大満足でした。
 ご馳走様。(^^)

 


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