心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

プロコフィエフの名演奏を求めて(1) 上岡敏之~新日本フィルの交響曲第5番

2016年12月07日 | 名演奏を聴いて思ったこと


 12月4日、横浜みなとみらいホールで上岡敏之指揮・新日本フィルハーモニーのコンサートを聴きに行きました。上岡さんが音楽監督に就任してから、新日本フィルの演奏を聴くのは初めてでとても楽しみでした。オール・ロシアプログラムです。

 ・ストラヴィンスキー バレエ音楽「プルチネッラ」
 ・チャイコフスキー バレエ組曲「くるみ割り人形」
 ・プロコフィエフ 交響曲第5番


 プロコフィエフが特に素晴らしかったです。5番がこんなにいい曲だとは、思ってもみませんでした。
 第一楽章の冒頭、フルートでメロディーが提示されると、早くも目の前に新しい地平が広がった気分です。
 5番では、シンフォニーの中にピアノが用いられています。第一楽章で、そのピアノの音がはっきり聴き取れたのは今日が初めてでした。
 ヴァイオリンの伴奏が、螺旋階段のように動くところも興味深かったです。冒頭と同じメロディーがチェロで提示されるところでは、弱音に思わず耳がそば立てられます。
 どの音も雑味がなく澄み切って聴こえるのが印象的でした。
 また、クライマックスの振幅の大きさ、終結に向けて一気に駆け上がる高揚感も最高だったと思います。
 小気味よい第二楽章が終わると、第三楽章は”3×3”の拍子がはっきり聴き取れるところが安心できます。
 大合奏がピタッと合っていること、フォルティッシモにわずかな濁りすらないのにびっくりしました。昨日までは、あらゆる種類の音が”ぶちまけられた”くらいの感じ、それが5番の特徴くらいにしか思っていませんでした。今日は最高の迫力を伴って、意味深く聴こえてきました。
 これほど心の芯に深く響く不協和音が、ほかにあるでしょうか!
 フィナーレは愉しさの極みでした。終結部はこれでもか、これでもかと畳みかけるように盛り上がります。同じ「交響曲第5番」でも、ベートーヴェンの「運命」を彷彿とさせるものがあります。コンサートマスター、崔文洙さんの鬼気迫るヴァイオリン・ソロに圧倒されました。それはただ耳で聴こえるヴァイオリンではなく、ホールの空気を一気に熱く変える力を持ったヴァイオリンの音だったのです。
 音楽は人生を変えることができると思います。一艇のヴァイオリンはそれほどの力を持っていると思いました。
 演奏会の後、上岡さんのサイン会がありました。終わったばかりの演奏の感動を夢中になって話してしまいました。とても気さくで面白い方だと思いました。

 プロコフィエフの5番は、今までは
 ◆バーンスタイン~イスラエル・フィル (ソニークラシカル SICC1425) や、
 ◆ヤルヴィ~シンシナティ交響楽団 (テラーク CD-80683) を聴いていました。いずれも名演だと思いますが、この演奏を聴いた後では印象が薄まった気がします。みなとみらいホールにはマイクがいくつも設置されていました。今日の演奏がもしCD化されたら真っ先に買うつもりです。

 (つづく)



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