心が満ちる山歩き

美しい自然と、山へ登れる健康な身体に感謝。日本の山ならどこへでも登ります。山のことと、たまに音楽の感想も書いています。

中央アルプス・恵那山(1)

2017年06月14日 | 中央アルプス・南アルプス


恵那山(2,191m)


 前日の午後10時50分に東京駅を出発する夜行バスで名古屋まで行き、中央線の普通電車で中津川駅へ向かいます。中津川駅の改札の中には、庭のような一角があり、ゆったりした駅でした。タクシーは細い一本道をぐんぐん登り、登山口の神坂峠(みさかとうげ)に着きました。車が下って行った後は、ウグイスの鳴き声以外には何も音がしなくなりました。6月だからきっと暑いだろうと思っていたら、全然そんなことはなく、むしろ上着がほしくなるような気温でした。


 登ろうとしている山の標高は2,191m、登山口で既に1,569mもあるので楽そうですが、そんなことはありません。ルート中にはアップダウンが多くあり、単純に600m登ればよいわけではありません。
 まず30分かけて丘のような小さい山を登ると、笹に覆われた気持ちの良いピークに出ました。恵那山も姿を現しました。2週間前に登った櫛形山に似ていますが、より力強い姿でした。
 せっかく100m以上標高を稼いだのに、それ以上に下り、鞍部の鳥越峠へ至ります。


 このコースは眺望が最高でした。こんなに魅力的な景色があるとは想像もしていませんでした。最も目をひくのが木曽の御嶽山で、左右から稜線がすっと立ち上がる姿が最高に美しいです。頂上のすぐ下から、噴煙が真上の方向に、まっすぐ上がっていました。さらに進むと、御嶽山の向こうには乗鞍岳。稜線の角度は御嶽山とほぼ同じでした。格好いい山です。雪は乗鞍の方が多く残っているように見えます。遠くの空には加賀の白山も見えます。
 方角をずらすと、木曽駒ヶ岳から空木岳、南駒ヶ岳へと続く中央アルプスの山々。澄み切った空の下、木曽駒の横に、小さくキリッとした宝剣岳のピークもはっきり分かりました。空木岳は重量感のある山容で、見る方角によって全然違う山に見えると思いました。細かな山ひだの1本1本に雪がしっかり残っていました。


 ~その壮麗な展望についてはとても筆紙には尽されない。その展望の広さは高い隣りの駒ケ岳(中略)の展望に非常に似ている。視界には半円形にたくさんの巨山がそびえ立ち、展開し、その山々はどれもまたどっしりした肩に処女雪の白い衣をつけている。すべてのうちで恐らく一番目だつ山の姿は、真東にそびえる赤石山の優美な姿である。その南の肩から類ない富士の截頭円錐形の山頂が雪を頂き、くっきりと外郭を示して澄みわたった空にそびえている。
 (ウォルター・ウェストン著『日本アルプス 登山と探検』岡村精一訳 平凡社)

 日本アルプスを世界に紹介したウォルター・ウェストンは、明治26年にこの恵那山へ登っています。彼らは天竜川を下り、その後
 「日出づる国の中で一番高い本当の絶頂」(『日本アルプス 登山と探検』より)
 へと達するのです。明治時代にこれだけの行程をなしえるのはとても困難だったはずですが、ウェストンの文章からは精力的な様子がどんどん伝わってきます。


 そして、「すべてのうちで恐らく一番目だつ山の姿は、真東にそびえる赤石山の優美な姿である」というところが面白いです。確かに恵那山の登山道からは南アルプスの山々が眺められ、悪沢岳・赤石岳・聖岳の3,000m峰が同じくらいの間隔で並んでいました。どれも立派な山に違いないのですが、どれも同じくらいというのではなく、赤石岳を筆頭に持ってきているところが新鮮なのです。ウェストンは、遠く離れた場所(恵那山)から、南アルプスの山々をしっかり見ていたのです。こんなに洞察的な紀行が100年以上も前に書かれていたのには本当に驚きます。

 (登頂:2017年6月上旬) (つづく)

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