4月20日ファンの手によるEXOルハンの誕生日祝い広告が北京のバス停に出現

先日アップしたブログ記事で中国における「韓国オッパ」の変遷について触れましたが、K-POPグループも世代交代が進んでいます。現在はEXOの人気が加熱中です。EXOは韓国の大手芸能事務所SMエンターテイメントからデビューしたボーイズグループです。彼らは東方神起、SuperJunior、少女時代、SHINeeなどの後輩グループにあたります。EXOは合計12人ですが、サブユニットであるEXO-KとEXO-Mに6人ずつ分れて活動しています。EXO-KのKは韓国を意味し、EXO-MのMはマンダリン（中国語）を意味します。EXO-Mは6人中4人が中国人です。
中国人メンバー4人は基本的には韓国芸能事務所にプロデュースされ、韓国芸能界で活動していますが、中国では彼らの身分は「中国大陸タレント」にカテゴライズされています。その結果、大手ファンカフェの人気ランキングの「中国大陸タレント」ジャンルで、常に1位から4位をEXO-Mの中国人メンバーが独占する状態になっています。

■大手ファンカフェ百度貼吧の「中国大陸タレント」のランキング。常に1位から4位をEXO-Mの中国人メンバーが独占。2014年3月30日カウントの月刊集計。週別集計も日別集計も似たような順位です。


上のランキングでは1位がタオ、2位がレイ、3位がルハン、4位がクリスになっていますが、会員数に注目すると、ルハンが2316万7704でトップです。ファンの規模的にみて一番人気があるのはルハンだと思います。
百度貼吧のランキングは単純なアクセス数の大小やの会員数の数で測るのではなく、訪問履歴を残すクリック数によって決まります。つまり、ファンカフェの住民がどれだけランキングを意識し力を入れているかによってランクが上下します。

4月20日はルハンの誕生日でした。これに合わせて、ルハンの中国ファンカフェが北京の公共路線バス420番路線にルハンの誕生日を祝う公益広告（非営利広告）を出しました。

広告主としてクレジットされているのは、ファンカフェの百度鹿吧、DeerStation、LynLeeSgの3つです。
公共路線バス420番路線に出したのは、誕生日である4月20日にちなんでいます。北京はルハンの出身地です。ファンが芸能人の誕生日祝いの広告を公共機関のスペースに出すなんてはじめて聞いたのでたまげました。が、ウェブニュースによるとルハンファンがルハンのために公共スペースに広告を出したのは今回が初めてではないらしいです。
中国の都市部では地下鉄が発達していますが、まだまだバス社会です。バス停留所の広告スペースは非常に広告価値の高い媒体です。バス停スペースに非営利広告を出す費用は、12万元（約200万円）と言われています。ルハンファンがファンカフェ上でそれだけのお金を調達したということです。中国のEXOファン層は主に小学生から大学生までの学生層ですが、東方神起やSuperJuniorから降りてきたファン活動のノウハウと経験が豊富なお姉さんファンも相当数いるようです。（SHINeeに比べるとEXOの方が経験豊富なファンがついているなというかんじがします）

このような誕生日祝い広告を韓国や日本でも実施したと言われていますが、日本でも行われているのでしょうか・・？

毎年大量のK-POPボーイズグループがデビューする中、SMエンターテイメントの所属グループはいずれも熱狂的な人気を集めてきました。女の子、女性を熱狂させる独特の何かがあります。演出力、プロモーション力、資金力などに支えられているのも確かですが、SMエンターのグループには独特のアイドルオーラ、スターオーラがあります。SMエンターの歴代グループに脈打つ何かがEXOには色濃く受け継がれていると感じます。

【おまけ】鹿のアルファベット表記はLUHANなので、これをカタカナに直すと「ルハン」になりますが、中国語の発音をカタカナで表わすと、「ルハン」ではなく「ルーハン」です。「鹿」（ルー）が苗字になりますが、やや珍しい苗字です。「」は男性の名前に比較的よく使われる字です。

中国「オッパ3.0時代」に入る。イ・ミンホとキム・スヒョン（星から来たあなた）が大人気

韓国芸能ブームが中国に到来してから15年以上が経ちます。ドラマ、映画、音楽、バラエティ、様々な分野で流行が変遷してきましたが、最近また新しい動きが見られます。2013年後半から2014年に初頭にかけて、俳優のイ・ミンホとキム・スヒョンが非常に注目されています。イ・ミンホはSBSの水木ドラマ「相続者たち」、キム・スヒョンは同じ枠の後続ドラマ「星から来たあなた」で主演し、ものすごく人気を集めました。特に、2013年冬季に放送された「星から来たあなた」は社会現象といえるくらい流行りました。

イ・ミンホとキム・スヒョンは娯楽ニュースだけでなく、新聞や一般ビジネス誌などにもたびたび取り上げられました。「VISTA看天下」という雑誌では2人の人気ぶりについて特集記事が組まれ、その中に「中国における韓流変遷史～オッパ進化論」という記事があったのですが、これがすごく的確でよくまとまっており面白かったです。（※「オッパ」は韓国語で女性が年上の男性を呼びかけるときに用いる言葉ですが、中国メディアでは韓国イケメンスターの総称として使われています）
■「VISTA看天下」2014年2月18日号「韓国美男の中国女性攻略。イミンホVSキムスヒョン」


■韓国オッパ進化論


オッパ1.0時代　1996年～1999年　

代表人物：アンジェウク、チャンドンゴン、カンタ
代表グループ：H.O.T
特徴：強烈なビジュアルと独特の熱い音楽性を持つH.O.Tが1997年に中国に上陸し、多くの若者を魅力する。同時にテレビドラマ「星に願いを」や「モデル」が中国のテレビでも放送され、アンジェウクやチャンドンゴンはお茶の間の「理想の恋人像」を形成する。

オッパ2.0時代　2000年～2005年

代表人物：ソンスンホン、ウォンビン、ペヨンジュン、Rain、ヒョンビョン、キム・ヒチョル
代表グループ：東方神起、SuperJunior
特徴：H.O.Tで掴んだK-POPファンが東方神起とSuperJuniorに受け継がれる。華麗なダンスと中毒性のある神曲で「女性よりも美しい」と形容される美男スターが持てはやされる。一方で、ペヨンジュン、Rainなど従来の審美眼からみれば美男の定義に当てはまらないタイプが、甘い笑顔を武器に人気を呼ぶ。

オッパ3.0時代　2005年～現在

代表人物：イ・ミンホ、キム・スヒョン、G-Dragon
代表グループ：BIGBANG、EXO
特徴：「萌、童顔、美少年」が韓国男性スターの新たな標識となる。これまでのファンの年齢層はタレント本人と同世代が中心であったが、ファンの年齢層が上がり「お姉さんファン」が主体となる。

この雑誌記事の韓国オッパ進化論の結論は、「韓国男性タレントはどんどん前髪が長くなり、足が長くなり、童顔化している。かつてチャンドンゴンやソンスンホンが、つるりとしたおでこを丸出しにしていたのが懐かしい。」と締めくくられています。
※この「オッパ進化論」にはチャングンソクが抜けているのが残念です。当てはまる枠がなかったので省略されたのでしょうか。
中国の旧正月の大晦日には、紅白に該当する伝統的なテレビ番組が放送されます。「CCTV春晩」と呼ばれるもので、調査によると全人口の約60%が大晦日にこの番組見ており、2014年「CCTV春晩」の推定視聴者は8億人と言われています。1月30日に放送されたこの番組に、イ・ミンホが出演しました。イ・ミンホの出演は2014年「CCTV春晩」の最大の目玉で、イ・ミンホが何時何分に登場するかで、SNSが大いに賑わいました。イ・ミンホは台湾男性歌手のハーレム・ユーとの歌コラボで登場したのですが、テレビの前の中国のおじさんたちは、イ・ミンホを見て「同じ人間とは思えないほど足が長い！」と衝撃を受けていました。
旧正月休暇が終わると同時に、街中にはネットモール「タオバオ（淘宝）」（アリババグループ）のスマホアプリの広告が大量に現れました。イ・ミンホがイメージキャラクターを務め、どの地下鉄駅にもイ・ミンホがにっこりと笑うポスターがあり、うっかりポスターの中のイ・ミンホと目が合うと、こっちが恥かしくなるほどの完璧なアイドルスマイルです。
■タオバオ（淘宝）のスマホアプリのプロモーション。3月8日の国際婦人デーに合わせた優待キャンペーン。アプリに登録すると映画、カラオケ、飲食などで優待が受けられるというもの。







「相続者たち」の後続番組「星から来たあなた」（中国名：来自星星的你）は、「相続者たち」を上回る人気でした。主人公（キム・スヒョン）は異星人で、400年前に李王朝時代の韓国に漂着して以来、同じ姿のまま韓国で生き続けているという設定です。本当は異星人で超能力者ですが、現代社会では学生と変わらぬ若さで大学教授をしているという、スパイダーマンと入江直樹（イタズラなキス）を混ぜたようなキャラクターです。トンデモ話なのですが、キムスヒョンが400年も一人で生き続ける孤独と、純粋さを合わせ持つ主人公を上手く演じました。現代劇、ファンタジー、歴史などの多様な要素がミックスされた豪華なドラマです。

最終回の放送は2月27日（木）韓国時間夜10時～11時頃放送でした。しかし、中国のネットで配信が始まるのは深夜2時頃とされていました（※深夜の配信版は字幕がないこともあり）。深夜2時から始まると見終わるのは3時過ぎになるので、翌日の仕事に響きます。そんな中、「社員が心置きなく「星から来たあなた」の最終回を見れるように、2月28日に特別休暇制度を設けた会社がある。」というニュースがネット上で話題になりました。
それは福建省のある化粧品会社の話で、会社の代表のツイッター（ウェイボ）が発信源でしたが、次のようないきさつによるものです。「2月28日に休みを取りたいという社員からの申請を、この数日で既に52通も受取った。前日深夜に韓国ドラマ「星から来たあなた」の最終回が放送されるためだ。社員の多くは90年代生まれの若い世代。彼らの気持ちを尊重し、みんなが心置きなく最終回を見れるように、2月28日は特別休暇制度を実施する。真実の理由を書いて申請すれば、2月28日は半日または1日の有給を与える。」これがネタなのか、やらせなのか、真実なのかはともかく、ドラマの人気ぶりが伺われます。
最終回がネット上で更新されれば、基本的に永久無料で視聴できるので、真夜中に焦って見る必要はないのです。しかし、だからこそ、ネタばれされる前に最終回を一刻も早く見たい思う人は多かったようです。キムスヒョンはドラマ人気の勢いで、上海、北京、広州などでファンミーティング開催したり、中国バラエティ番組に出演しています。
■4月6日はキム・スヒョン（金秀賢）北京ファンミーティング開催。チケットが高騰。


中国では、韓国ドラマだけが特に人気というわけではありません。アメリカドラマ、日本ドラマ、インド映画など比較的幅広く視聴されています。2013年の夏ドラマ「半沢直樹」、アニメ「進撃の巨人」なども、「星から来たあなた」に匹敵するくらい流行っていました。ただし、堺雅人が中国に来てファンミーティングを開いたりバラエティ番組にゲスト出演することはなかったし、中国企業の広告キャラクターになることもありませんでした。それが日本と韓国の違いです。