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■ 下部温泉 「甲陽館」

<下部温泉「甲陽館」> (身延町(旧 下部町)、時間要問合せ、500円 or 700円、0556-36-0134)
オフィシャルHP

下部温泉「大市館」しか入ったことがなく、大御所「源泉館」と2006年新たに開発された新源泉に入りたくて昨夏いってみました。


【写真 上(左)】 (たぶん)泉源と貯湯槽
【写真 下(右)】 足湯の掲示

新源泉は温泉街から下部川を1kmほど遡った「湯町ほたるの里公園内」に湧出したようで、ここに泉源施設(?)と無料の足湯があります。
(じつはこのときは、富士宮側から林道湯之奥猪之頭線を抜けていったので、奥にあるこの公園が先にでてきました。林道は全面舗装ですが、浮き石多いワインディングなので山道になれた人向き)
木づくりの仮設足湯の利用時間は日の出~日没。利用にあたっての注意書きとともに分析書が掲示されています。お湯はたしかほぼ適温で、イメージは「甲陽館」と大差なかったので省略。(非加水・非加温・非循環・非消毒)


【写真 上(左)】 足湯
【写真 下(右)】 足湯の湯口

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「源泉館」で圧倒的存在感のぬる湯に打ちのめされたあと(笑)、新源泉に入れそうな旅館を物色していると「入浴できます。源泉かけながし」の看板が・・・。
宿名は「甲陽館」。ここはノーマークでした。


【写真 上(左)】 外観
【写真 下(右)】 女湯

帳場できくと「新源泉もつかっている」。さらに、先客がいないので貸し切り利用OKとのことで即突入。料金は500円か700円。(記憶があいまい)
階段をくだると廊下手前に狭い女湯と奥に男湯。女湯は新源泉で循環があるようにも思いました。

男湯は、正面に主浴槽(みかげ石枠平石貼5-6人)と右手に源泉槽(同2人)、左手奥には裸体像の壺から源泉が注がれる飲泉所まであります。
旧源泉らしき飲泉所の水は僅微芒硝味。主浴槽のよこには「しもべ奥の湯高温源泉」の掲示、源泉槽のうえには旧源泉とおぼしき泉質の解説がありました。


【写真 上(左)】 右が源泉槽、左が主浴槽
【写真 下(右)】 飲泉所

主浴槽は、石膏系の白い析出と赤茶変した石の湯口から44℃ほどの加温源泉(?)をかなりの量投入。相当量のオーバーフローに、側面吸湯と、源泉槽とのお湯の行き来が加わって湯づかい詳細不明。
源泉槽は、主浴槽との行き来と側面の穴(上下ふたつ)からの注排湯。下の穴は冷たくてたぶん非加温源泉注入。上の穴は注入と吸湯を繰り返し、ここも湯づかい不明ですが、どちらの浴槽も鮮度感はわるくありません。
カラン4、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜14時で独占(貸切)。


【写真 上(左)】 主浴槽
【写真 下(右)】 主浴槽の湯口

主浴槽(新源泉)のお湯はやや熱めでほぼ無色透明。かすかに白い浮遊物がただよいます。
イオウ系たまご味+微芒硝味にはっきりとした甘イオウ臭が湯面でも感じられます。
キシキシとヌルすべがいりまじる複雑な湯ざわりで、下部としてはやや硬めのお湯ながらよくあたたまり、かなり入りごたえのあるお湯です。イメージは、戸倉・上山田あたりが近いかな?


【写真 上(左)】 源泉槽
【写真 下(右)】 源泉槽の湯口

源泉槽(旧源泉)のお湯は34℃くらいのぬる湯。無色透明で茶色のこまかな浮遊物。ほぼ無臭で僅微芒硝味。こちらもキシキシとヌルすべがありますが、新源泉よりやわらかな浴感。すこぶる入りごこちのいいお湯で、温まり感も強くないので、浴槽に根がはえてしまいます(笑)。イメージは「源泉館」のお湯に近いかも・・・。(さすがにあれほどの神がかり的質感はありませんが・・・)。

それにしてもこの新源泉にはびっくり、イオウ臭やあたたまり感は旧源泉をしのぎ、一浴しただけでは新源泉のほうがよほど温泉らしいです。それに分析上はイオウ成分がほとんどないのに、1km以上も引湯してなお湯面でイオウ臭を保っているのは驚異的。
よほど引湯方法&湯づかいがいいのでは・・・?。
でも気がつくと源泉槽(旧源泉)につかっているので、下部旧源泉の力はやはり底しれぬものがあります。

残念だったのは、量は少ないながら新旧両源泉を混合してしまっていること。
新源泉で旧源泉の加温をしているのかもしれませんが、個人的には旧源泉はもっと低温でもぜんぜん問題なし。
それでも新旧両源泉の入りくらべができるこの浴場は貴重。
宿の人も親切だし、男湯に入れるならばおすすめの一湯かと思います。

<新源泉>
アルカリ性単純温泉 51.0℃、pH=9.32、(445L/min掘削揚湯)、総計=0.845g/kg 、Na^+=152.0mg/kg、Ca^2+=111.9、Cl^-=135.1、SO_4^2-=370.3、CO_3^2-=14.2、陽イオン計=265.3、陰イオン計=520.0、メタけい酸=50.8 <H18.5.12分析> (源泉名:しもべ奥の湯高温源泉)

<旧源泉>
単純温泉(Ca・Na-SO4・HCO3・Cl型) 21.3℃、pH=7.2、510L/min揚水、総計=297.2mg/kg 、Na^+=31.35mg/kg (38.36mval%)、Ca^2+=36.43 (51.17)、Cl^-=30.30 (24.04)、SO_4^2-=87.81 (51.45)、HCO_3^-=52.84 (24.37)、陽イオン計=76.22 (3.553mval)、陰イオン計=171.2 (3.553mval)、メタほう酸=23.64 <S30.9.7分析> (源泉名:下部ホテル)

●新源泉開発の背景はいろいろとあるようですが、新源泉開発によって旧源泉が影響を受けないことを願っています。

〔 2008年4月21日レポ 〕
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