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■ 明治温泉 「明治温泉旅館」 〔 Pick Up温泉 〕



<明治温泉「明治温泉旅館」>(長野県茅野市奥蓼科、11:00~17:00(要予約)、800円、0266-67-2660)
オフィシャルHP

蓼科の南側、R299メルヘン街道と並行して走る県道191渋ノ湯堀線沿いには、渋の湯、渋御殿湯、渋川、渋辰野館、明治など古くから知られる温泉が点在し、”奥蓼科温泉郷”と呼ばれています。
この県道は渋の湯で行き止まりになるので交通量がすくなく、北八ヶ岳のゆたかな自然とあいまって、いずれも落ちついた佇まいをみせています。

明治温泉はいちばん茅野寄りにあって、名勝、横谷峡の上流、渋川沿いにたたずむ20室の一軒宿です。
温泉じたいは江戸時代からすでに自然湧出し湯治場としてつかわれていたもので、この宿の開業は明治二十一年。


【写真 上(左)】 温泉入口
【写真 下(右)】 玄関

県道から看板にしたがって渓谷に向かう側道をおりていくと、一面の緑のなかに赤屋根の清楚な建物がみえてきます。


【写真 上(左)】 渋川 (おしどり隠しの滝?)
【写真 下(右)】 河床は赤茶に変色しています

宿の前は渋川の流れがちょうどナメ(ちいさな滝が連続するところ)状になっていて、すぐよこには氷柱で有名な”おしどり隠しの滝”があります。
渓谷や周囲の山々と建物の位置関係が絶妙で、すばらしく趣のあるところです。

和風ベースの建物はところどころレトロ入って、調度類も落ちついた大人の宿。
宿のHPに「滞在してまとまった仕事をするのもいいだろう」という作家のコメントがありますが、ほんとうにそんな雰囲気があります。
最近はやたらに”おこもり宿”というキャッチがつかわれますが、ここほどこの言葉がぴったりとくる宿もすくないのでは・・・?。


【写真 上(左)】 積み上げられた薪
【写真 下(右)】 脱衣所

フロントを抜けて階段を下りると男女別の浴場。
男湯には露天はないですが、女湯にはあるよう(?)です。

脱衣所は畳敷きでシックでいい感じ。
内湯は天井がやや低めながら、木づくりの柱壁に黒枠のサッシが映える質感のある浴場でメンテナンスもばっちり。
広い窓から”(たぶん)おしどり隠しの滝”を見下ろせるすばらしいロケ。


【写真 上(左)】 シックな男湯 (手前が内湯、右奥が外湯)
【写真 下(右)】 浴場から渋川

手前に打たせ湯槽(打たせ湯2本、冷たい)、窓側に内湯(石貼10人弱、適温)とその奥に外湯(石貼5-6人、ぬるめ)の3槽。
カラン5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。平日11時で男女湯とも独占。


【写真 上(左)】 男湯の打たせ湯
【写真 下(右)】 女湯の打たせ湯

打たせ湯槽は打たせ湯からの大量投入で湯温は20~22℃ほどか・・・。
投入源泉は当然無色透明ですが、鉄平石造りの壁面や湯底は鉄分による赤茶変ですごいことになっています。
おそらく全量をオーバーフローで、お湯の感じからしてまちがいなく非加温非加水の源泉かけ流しかと思います。


【写真 上(左)】 外湯
【写真 下(右)】 湯底に溜まる酸化鉄

浴槽は赤褐色の析出におおわれ、湯底には赤褐色の沈殿物が大量にたまっています。
この沈殿物はたぶん酸化鉄かと思いますが、イオウを含んでいるのかふつうの酸化鉄より黒味が強いもの。
また、湯の落ち口は白く泡だっていますが、これは遊離炭酸=819.5が関係しているかもしれません。



【写真 上(左)】 打たせ湯のアワ
【写真 下(右)】 内湯

外湯は、木の湯口から40L/minほども投入(湯温は変動)でかなりのオーバーフローがありますが、底面からの自然流下も併用しているかもしれません。
ここも赤褐色の析出と沈殿物あり。

内湯は、木の湯口から適温のお湯を大量投入でオーバーフローなく底面からの自然流下?。



【写真 上(左)】 外湯の湯口
【写真 下(右)】 打たせ湯の落とし口

お湯のイメージは打たせ湯槽と外湯が近く、内湯はすこしちがいます。
湯温23.7℃なので冷たい打たせ湯以外は加温が必要です。
建物の手前に大量の薪が積んであったので、おそらく薪焚きなのだと思います。

打たせ湯槽のお湯はほぼ無色透明で浮遊物なし。
外湯のお湯は赤茶色にうすにごって酸化鉄らしい赤茶の浮遊物が舞っています。
レモン味+金気サビ味+収斂味+微炭酸味?。
圧倒的な焦げ臭のうらにレモンのような酸っぱい臭いと、わずかに金サビ臭が感じられます。
焦げ臭は硫化水素泉の「渋の湯ホテル」に入ったあとだったのでよけいに強まっていたのかもしれません。(ちなみに”焦げ臭”は、硫黄分と鉄分が反応したものだと思う。)


【写真 上(左)】 女湯内湯
【写真 下(右)】 女湯内湯の湯口

鉄泉系のギシギシと酸性泉系のぬるぬるがいりまじる複雑な湯ざわりと、身が引き締まるような収斂感は、硫酸塩泉系酸性鉄泉ならではのもの。
入るほどに気持ちが落ちついていくような独特な質感のあるお湯でストレスにききそう。
浴中の温まりは強くはないものの、浴後は湯切れよくおだやかに温もる上品なお湯です。



【写真 上(左)】 女湯外湯
【写真 下(右)】 女湯外湯の湯口

お湯は明礬緑礬泉系ですが、栃木の小滝赤滝、寺山あたりのお湯とはだいぶんイメージがちがいます。

非常に個性の強いお湯で、個人的にはかなりこのみ。
宿のHPには「明治温泉旅館の主役、温泉は天保年間(およそ西暦1840年頃)に発見され、付近の農村の湯治場として、明らかに治る温かき泉として親しまれています。」とあり、「明らかに治る」といういわれもうなづける、いかにも効きそうなお湯です。

外湯のお湯はほぼ無色透明だったので、真湯か?と思いきや、湯口ではしっかりレモン味&サビ味(ただし弱い)があり、湯底には少量ながら例の沈殿もありました。
循環と思われるお湯は他の2槽にくらべると弱いものの、それでもなかなかの浴感があります。

ただひとつ残念だったのは、静かに浸かれる非加温槽がないこと。
これがあれば、おそらく抜けられなくなっていたかと・・・(笑)

お湯もお宿の雰囲気もいかにも蓼科らしい稟としたイメージあふれるもので、今度は泊まりでじっくり味わいたいと思いました。

規定泉(総鉄イオン・メタけい酸・メタほう酸)(Na-SO4・Cl型) 23.7℃ 、pH=3.8、131L/min(自然湧出)、成分総計=1379mg/kg、溶存物質=559.5mg/kg、Na^+=70.2mg/kg (44.36mval%)、Mg^2+=11.1、Ca^2+=22.4、Al^3+=4.7、Mn^2+=1.2、Fe^2+=13.4、Cl^-=103.8 (43.05)、SO_4^2-=182.8 (55.98)、陽イオン計=143.8 (6.88mval)、陰イオン計=291.9 (6.81mval)、メタけい酸=116.0、メタほう酸=7.8、遊離炭酸=819.5 <H10.8.17分析> (源泉名:明治温泉)
※ 源泉湧出地:浴槽から約20mの所 パイプにて引湯

<温泉利用掲示>
〔打せ湯〕 源泉そのまま
〔内湯〕 源泉の温度が低いので加温循環ろ過装置
〔外湯〕(半露天風呂) 源泉の温度が低いので加温装置使用

※ 衛生措置として塩素系薬剤を使用しています。

〔 2009年7月2日UP (2006年9月入湯) 〕
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