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■ 嵯峨塩鉱泉 「嵯峨塩館」 〔 Pick Up温泉 〕



<嵯峨塩鉱泉「嵯峨塩館」> (山梨県甲州市(旧 塩山市)牛奥5532、11:00~15:00(12:00~ 土曜、時間要問合せ)、週1回不定休、500円、0553-48-2621)
オフィシャルHP

笹子トンネルの甲府側、甲斐大和駅あたりを山側に折れると日川の渓谷に入ります。
ここは甲斐武田氏終焉の地で、天正十年、武田氏最後の戦となった「天目山の戦い」にまつわる数々の史跡が残ります。
ここにある天目山温泉田野鉱泉、嵯峨塩鉱泉の3湯のうち、未湯だった嵯峨塩鉱泉にようやく入湯です。


【写真 上(左)】 大菩薩峠
【写真 下(右)】 上日川ダム

日川の渓谷をさかのぼる県道218大菩薩初鹿野線。臨済宗の古刹天目山栖雲寺をすぎると人家もとだえてまったくの山のなかとなります。
このさき上日川ダムを巻き、大菩薩峠の登山口、上日川峠を超えて重川筋の裂石まで、細いながらも延々と舗装路がつづいています。(この日は裂石「雲峰荘」を攻めてから峠を越えてアプローチ。)


【写真 上(左)】 看板
【写真 下(右)】 入口

栖雲寺をすぎて3kmほど走ると右手に「嵯峨塩館」の入口がみえてきます。
「信玄公の隠し湯」のいわれものこる嵯峨塩。日川の渓谷沿い、人里はなれた12室の山中の一軒宿です。


【写真 上(左)】 飲泉所
【写真 下(右)】 玄関


【写真 上(左)】 ロビー
【写真 下(右)】 造作

少しくだって風格ある母屋の玄関。手前には飲泉所もあります。
エントランスもよさげですが、館内はさらに気合いが入っています(^^)
シックな”和モダン”調というか、もっと伝統的な和のテイストを活かしたイメージで、どことなくレトロも入っていてどこをとっても絵になります。
明治三十五年創業を物語るさまざまな調度類、各所に武田菱があしらわれているのは、ご当主の家紋でしょうか・・・。
正直、山中のB級宿を想像してたので、ギャップにびっくり。
スタッフの応対も丁寧で好感度が高いです。


【写真 上(左)】 武田菱
【写真 下(右)】 浴室前

帳場をとおって奥に浴室。手前が男湯、奥が女湯。
脱衣所は狭いながら趣のあるもの。


【写真 上(左)】 内湯1
【写真 下(右)】 スゲ笠

扉をあけると手前に洗い場、奥の窓側に内湯(古代檜枠石タイル貼3-4人、適温~ややぬる)。
扉をあけて数段おりると露天(岩枠青鉄平石造4-5人、ややぬるめ、一部屋根付)です。


【写真 上(左)】 露天1
【写真 下(右)】 露天からの景色

露天は嵯峨塩峡とよばれる景勝に面していて、対岸には一条の滝。
”嵯峨”ということばには”険しい”という意味もありますが、なるほどそれにふさわしい風景で、紅葉の候はすごいながめでしょう。


【写真 上(左)】 洗い場
【写真 下(右)】 樋からの流し込み

左手の洗い場はカランではなく、おそらく加温源泉を流すがっしりとした樋からお湯を汲みます。右手の洗い場はカランとシャワーがあります。
明るすぎず暗すぎず、凜と落ちついた浴場は、雰囲気と機能性を兼ねそなえたセンスのいいもの。
洗い場5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜14時で独占~2人。


【写真 上(左)】 内湯の湯口
【写真 下(右)】 露天の湯口

内湯は↑の樋からの投入と木の湯口からの適温湯の投入。
底面排湯口は引いておらず、ほぼ全量を上面排湯口から露天湯口に流しだしています。
側面のジェット噴射口は埋めてありました。

露天は内湯からの流し込みを木の樋で受けて投入。
この木樋は日本最古のワイン用の葡萄棚の杭(ネズミサシ)を利用したものとのこと。
内湯からの流し出しなので出たり出なかったりしますが、別に岩の下面からやや熱めのお湯(お湯の感じからして加温源泉?)を投入、オーバーフローもあるのでお湯の鮮度はしっかり保たれています。
ここにも底面&側面排湯口がありますが、引いていませんでした。


【写真 上(左)】 内湯2
【写真 下(右)】 露天2

お湯は内湯と露天で大差ないですが、露天のほうがちょいといいかも・・・。
きもち懸濁したお湯は白い湯の花を湛え、よわいながら硫黄系のたまご味と重曹味が感じられます。
湯口で香るよわい甘イオウ臭は、露天の湯面でも感じられました。
アルカリ泉系のヌルすべのある湯ざわりやわならかなお湯で、すこぶる入りごこちがいいです。

温まりはさして強くないものの、浴後はおだやかに温もり、お肌がしっとりすべすべにおちつく美人の湯。
少量ふくむ硫酸塩がよく効いていて、ただのアルカリ泉とはちがう奥ぶかい浴感と、よわいながら湯中の指先の青白発光、さらに浴槽まわりのところどころに石膏系の白い析出がでています。


【写真 上(左)】 石膏の析出
【写真 下(右)】 加温用?の薪

かけ流しか半循環かいまいちはっきりとしませんでしたが、湯づかいはよく、カルキもまったく感じられず。
母屋の下の小屋に大量の薪が積み上げられていたので、たぶん薪焚きでしょう。

思いのほかいいお湯を雰囲気のいい浴場で楽しめて満足。
帰りしな、数組到着していたお客は、みな常連さんのようで手慣れた感じのチェックイン。かなり満足度の高そうなお宿で、なるほど常連客がつくのもうなづけます。

鉱泉ですが、分析はされています。
日川沿いで、脈がおなじなのか、天目山温泉田野鉱泉に似た、強アルカリでイオウと硫酸塩含みの重曹泉系の泉質。

「嵯峨塩温泉」と紹介しているガイドもありますが正式には「嵯峨塩鉱泉」で、お宿のパンフやHPにも「温泉」とは一切うたっていません。
このあたりの生真面目さも好感がもてます。

お湯的には凡庸な温泉をはるかに凌ぐものがあり、料金も500円と良心的。
雰囲気も抜群なので、ちかくまできたら寄ってみることをおすすめします。

※(たしか)スタッフの方のはなしによると、以前は河原に露天があって、人気があったのだが大水で流されてしまったとのこと。

鉱泉 
泉温不明、pH=10.2、湧出量不明、成分量不明、Na^+=19.5mg/kg、Cl^-=1.2、OH^-=0.8、SO_4^2-=12.9、CO_3^2-=11.8、メタけい酸水素イオン=22.6 <分析日不明>

〔 2009年4月11日レポ(2008年10月入湯) 〕
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