Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

点前座の周辺道具

2011年12月09日 00時00分24秒 | 美術館・博物館etc.
秋季企画展『点前座の茶道具』 香雪美術館 ※12月18日(日) サイト

展覧会名は「点前座」となっているが、最初は「炉辺の道具-香合・風炉・釜(仮)」。
どちらかといえば、(仮)タイトルの方がしっくり来そうな内容。

この秋見た中で、というよりは今年見た茶道具展の中で一番面白かった展覧会。
 (参考)ちなみに、今年は現時点で64個(回?)見ている。

茶道具というと、最近では茶碗、茶入、棗など茶器、茶杓が“主役級”。
水指や風炉釜は長い時間、点前座に鎮座しているのにもかかわらず“脇役系”。
今回はこういった“脇役”にスポットが当てられた内容。

点数も全部で110点プラス茶席の9点と多い。

ま、展示は目録通りに並んでいるわけではないので、気づく人もいないのだろうが
そんなこともあったけど、とにかく見応えがあった。

出品目録は道具別に分類されて表記されている。
香合、釜、皆具、風炉、水指、建水、蓋置、炭道具。
あと点前座じゃないけど、参考的に掛物と茶席スペースの取り合わせ。

これが、香合と炭道具以外はあっちこっちに散らばっているので、ややこしい
特に風炉と釜はジョイント。

例えば、No.37の与九郎(奈良)の土風炉にNo.20の道仁の猿鐶付巴地紋釜がのっている。
No.39の浄清の(宗甫好)唐銅七宝文四方風炉の上にNo.32浄清の(遠州好)七宝釜。
No.42の与次郎の鉄欠風炉にNo.23の与次郎の広口釜(←利休所持、覚々斎箱書)。
といった取り合わせ。

また、棚との取り合わせも。
No.98紹鴎好の水指棚にはNo.52瀬戸の野点一重口の水指。
No.99遠州好の水指棚にはNo.48御本の狂言袴紋菱形の水指。

極め付きはNo.100の真塗の長板の上にNO.40の唐銅風炉、そこにNo.31国次の蟷螂車軸釜。
そして、No.61の紅毛の色絵花文の建水、No.44の青磁の鉄鉢水指(元代)。

あらあら。
メモを改めて、こうして書き直すと面白い。
ちゃんと風炉に合った釜を取り合わせてるだねぇ
書いていて、今気がついたヨ。

だから、記憶に残りやすい。
そういえば、浄清の風炉釜はいずれも七宝紋。
いわずと知れた小堀遠州の家紋。
上から見ると、四角形(菱形っぽい?)の風炉の上に丸い釜がのっかり、
さらに釜の立ち上がりが婉曲した四角形。(セットで見ると七宝の円になっている)
そして、釜蓋が四角形で~。
と、天才大西家二代の浄清らしい、凝りっぷり。
(やっぱり、このヒトの風炉と釜、好きだなぁ

道仁の釜も面白い。鐶付が猿が腰掛てる意匠。(珍しい)
与次郎の鉄欠風炉の欠けっぷりが大胆
灰形が丸見えで、でも欠けてるところで手を切りそうで、作るのがプレッシャーだなぁ。

目録にはNo.33で一つにくくられているけど、達磨釜は達磨堂風炉にのっている。
この達磨堂風炉が興味深かった。
土風炉で眉風炉なんだ。火窓の部分が大きくて、ちょっと異質?
そもそも眉風炉が大ぶりというのも違和感なような。

ほかに単品で面白かったもの。
香合では呉州の有馬筆。筆がちょこんと立っているのがカワイイ。
織部の弾きも三つ足がついていて変わってる。
存星の柚子香合は、、、やっぱ「存星」は難しい。
仁清の鱗香合は模様が細かくて繊細。
原羊遊斎の蒔絵源氏車(=片波車)もさすがな美しさ。

釜は瓢鐶付の糸目車軸は形がユニーク。
利休所持で伊達家伝来の古天明の手取釜は、薬缶にしか見えないなぁ。
藤村庸軒所持の天明の責紐釜、以前に大西家でも責紐釜を見たっけ。

姥口の口造の薄さもちょっと以外。
西村九兵衛の少庵好の四方釜は西村宗全の土風炉にのってる。
広い火窓と長くて太い足が見どころ。

浄味の切子釜はホントに切子の形。どーやって作ったのだろう?って思っちゃう。

太閤好の瓢釜は、蓋が圧巻。王冠のように逆さ瓢箪が連連と~。蓋が取りにくそう。
でも、いかにも秀吉がデザインしそうな?

 ※出品目録では110点と茶席9点だが、No.38の宗旦好みの四方風炉の展示がなかった。
  (受付で質問すると、「ないなら、出てないんでしょうねぇ」)

皆具は紀州徳川家伝来の南鐐の葵文総唐草貝具。
風炉釜は切合。釜の形がカボチャみたい。

水指はどれも印象に残るもの。
とくに古信楽の鬼桶。バケツみたい。
去年の茶道文化検定1級で書けなかったので、余計、「見てやれ」と思っちゃう。
でも、やっと「鬼桶」の意味を考えるようになったかな。

建水と蓋置は飛ばして、炭道具。
唐物(明代)の青貝の六角炭斗。内側の漆塗の紙がバリバリで使い込んだことが窺われる。
火箸も角や宝尽文とかバリエーション多し。
畠山記念館や五島美術館にもある長次郎の炮烙灰器はやっぱり大きく平べったい。
羽箒も、宗和好の玄鶴羽箒一対は清楚、青鸞羽箒は美しい。

組釜敷も籐釜敷がいろいろ(数種類)。

それから、風炉先屏風。木賊(とくさ)図のがよかった。
光琳の八橋図屏風の木賊版みたいで。

キンマの炉縁も変わってるかも。(ちなみに16世紀のものらしい)
香合や茶器で見るけど、見立てが最初だからねぇ。
炉縁は見立てじゃないもんねぇ。
現地へ発注したか、もしくは技術を真似て国内で作ったか。

掛け物では利休さんの消息。藪内剣仲宛「狂歌の文」。
不昧公の小倉山紅葉図の自画賛、芦雪の寒月図。

茶席の設えで印象残ったのは古天明の鍋釜。
これは目録の表紙に採用されている。
展示的には炉にはまっているので、上の部分しか見えない。
だから、表紙を見て「全体像はこれか~」と思った。

こんな感じだったので、見るのにやたらと時間がかかった。
見始めて、40分経ったところでトイレ休憩して、また続きを見たので、
滞在時間は1時間半くらいだったろうか。

それでも去りがたい、展覧会だった。

残念なのは企画展にもかかわらず展示図録がなかったこと。
代わりに「香雪美術館名品撰-茶道具編」というのがあって、これは持っている。
帰ってから見たのだけど、風炉釜、炭道具はあまり載ってなかった

香合とか何点かは記載あるので、そちらを見直しながら復習しないとね
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【これまでの香雪美術館】
2009年秋『茶の湯 名碗のいろいろ 唐物・高麗・和物を一堂に』→こちら
2008年春『京焼の華 永楽家歴代の名品』→こちら
2007年秋『茶入・棗の名品』→こちら

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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同感です (SOUGAKU)
2011-12-12 23:08:30
ホント、どれも、工夫が伺え、興味深い展覧会でした。
キンマの炉縁は初めて見ましたね。
私は、蒲生氏郷から万代屋宗安に渡った、スネ当炭斗が印象的でした。武家らしいガッシリした作りが良かったです。
返信する
明後日行ってきます! (ママ@神戸)
2011-12-12 23:57:45
近くに住んでいながらなかなか行けず・・・
明後日、お稽古の帰りにお社中の方々と香雪美術館に行く予定にしています。
時間があれば先生もお誘いして解説付きで見たいものですが・・・
Akatsukiちゃんのブログを見ているととっても楽しみになってきました♪
返信する
シブイ (Akatsuki)
2011-12-15 00:00:41
SOUGAKUさん
こんばんは。
シブイところに着目されましたね。
あれだけ展示されると、それに見る側の経験も十人十色ですから、
それぞれに心にヒットするものが違って、
そこも興味深いですね。
返信する
どないでした? (Akatsuki)
2011-12-15 00:04:05
ママ@神戸さん
こんばんは。
先日は有り難うございました。
なまじ近いと、つい後回し~はありますよねぇ
もう行ったかなぁ。
どうでしたぁ
返信する

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