Akatsuki庵

日々と向き合って

森川如春庵の世界

2008年10月10日 00時08分00秒 | 美術館・博物館etc.
特別展 茶人のまなざし「森川如春庵の世界」
三井記念美術館
 ※11月30日まで(展示入れ替えあり。たしか、11月初旬から後期へ)
 ☆講演会はこちら

 春に名古屋市立博物館で開催されたことは知っていた。
 (行きたかったのだが、調整できず。秋に三井開催の情報を得て、断念した)
 しかし、肝心の森川如春庵という人について、何ら予備知識もなく、入館した。

 幸いにして、今回はイヤホンガイドあり。
 何の迷いもなく、借りる。
 (めっちゃ、詳細でわかりやすくて、助かった)

 時代は明治中期から大正、昭和初期にかけての近代日本の“良き時代”。
 (個人的なことだが、私はこの50年間の時代がとっても好きだ
 東都において、近代数寄者の中心にいた益田鈍翁が出会った青年茶人が森川勘一郎(のちの如春庵)。
 東都と中京、39歳の年齢差というギャップを超えての交流が始まる。

 最初の、第1展示室から、この2人の世界にぐぐーーーっと引きずり込まれてしまった。
 フンフンフーンとイヤホンガイドを聴きつつ、快調に観て進む私。
 その前に、突然現れたのが乙御前

 御存じ、本阿弥光悦作の名作中の名作。
 (不二山には及ばないけど、それでも名作)
 へぇ~。これを所持していたこともあったのかぁ。
 19歳で入手って、まぁ。

 と感心しつつ第2展示室でまた「おっ」!
 時雨が鎮座していた。
 渋いねぇ。へぇ~。コレも出ているんだぁ。

 名古屋のチラシでは国宝「志野 卯の花」茶碗の写真が目立っていた。
 なので、そちらの期待はあったけど。
 (もっとも、卯の花は三井で何度か拝見している。
  「あんまり目新しさないんだよなー」とか思っていた)

 いやはや、思いがけない眼福だった。

 あと、中京で活躍されたということで、
 志野・黄瀬戸・織部のよい器もたくさん。
 (自費出版で本も出されたくらいだから)

 こちらはね、春に荒川豊蔵展を観た際に勉強したことが手助けとなった。
 
 それと、「名古屋のお茶では掛け物に古筆や歌切をよく用いる」という傾向を初めて知った。
 こちらは詳しくないし、この夜に聴いた講演会の講師陣も口を揃えて「専門外なんだけど~」と仰っていたが。
 でも、先に続くコトバは共通している。
 「専門外なんだけど、今回はとても『よいもの』がたくさん出ていることだけはわかる

 清昌堂やましたの山下寛一郎先生がよく古筆た歌切を掛けられる。
 説明聴いても「よくわかんないだよなぁ」という感想しか持てない私。
 「こういうことも勉強しなさいヨ」ということなんだろうなぁ。
 と、思いながら、とりあえず観ていた。

 オープニング特典で特別出品の36枚に分断したという佐竹本も見物できた。
 三十六歌仙切の「齋宮女御」(佐竹本)
 鈍翁がゴネまくった末、手に入れたアレ。

 このエピソードはたまたま先月に読んだ『近代茶人たちの茶会 数奇風流を楽しんだ巨人たち』で知った。
 大の大人が、それも名士たちがなんともカワイイことをするものだなぁという感想を持った。
 まさかこんなに早く現物が拝めるとはねー。

 そんなこんなで、まだまだ見所はたくさんある。

 如春庵のコレクションには名物が1つもない。
 なぜか。
 興味がなかったのか。

 林屋先生曰く「そりゃー、10代で光悦茶碗2つも所持しちゃったら、それはもう“侘び”に突っ走るしかないでしょー」
 ナルホド。
 まさに侘び茶に生きたヒトだったのか。

 名物はないけれど、それに勝るとも劣らぬ深い世界があることを、この展覧会は教えてくれる。

 今回はコネでもらった招待券で行った。
 (複数枚もらったので、大事な友人にも進呈した)
 講演会でまた1枚もらったので、後期に再訪しようと思っている。

 この秋の東京には於いては、超オススメの展覧会。
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