朝鮮半島と中国と世界の動き

最新の週刊誌及び月刊誌などの拾い読み 朝鮮半島での出来事及び中国の政治経済などテレビ新聞が
報道しない記事を拾う

トランプ米大統領は なぜ、シリアを攻撃したか

2017-04-18 21:49:14 | アメリカ


トランプ米大統領の外交・安保政策が輪郭を現してきた。「トランプ・ドクトリン」とはどのようなものか。それは、場当たり的な「ご都合主義」と、独善的な解釈を世界に押し付ける「大本営発表」の組み合わせだと言えるのではないだろうか。

トランプ政権によるシリアのアサド政権攻撃とその後の国際情勢の推移は、安全保障をめぐる状況も「ポスト真実」の時代に突入し、危うさを増していることを示している。

まずは、アサド政権への攻撃は何が引き金になったのかという点だ。
経緯を簡単に振り返りたい。シリア北部ハンシャフィンで4月3日、神経ガス・サリンの攻撃により70人以上が犠牲になり、アメリカはアサド政権による化学兵器使用と断定。

「越えてはならない一線(レッドライン)を越えた」として、発生からわずか3日目の6日、シリア西部のシャイラット空軍基地に巡行ミサイル・トマホーク59発を撃ち込んだ。

報道では、トランプ氏は犠牲になった幼い子供たちの映像に心を揺さぶられ、懲罰攻撃を決断したとされている。トランプ氏は6日のテレビ声明でこう説明した。

「シリアの独裁者アサドは恐ろしい化学兵器で罪のない市民を攻撃した……多くの人がゆっくりと残忍な形で死んでいった。かわいらしい赤ちゃんまでもがこの非常に野蛮な攻撃で残酷に殺された。どんな神の子もこのような恐怖で苦しんではならない」

子供たちが泡を吹きながら倒れ、水で洗われている映像には、誰もが強い憤りを覚えるだろう。しかし、これまでの経緯を振り返ると、この説明は説得力を持たない。

思い出してほしい。オバマ前米政権がシリア空爆寸前までいった2013年の化学兵器使用問題のときのことを。

米政府は同年夏にアサド政権の化学兵器使用で少なくとも1429人が死亡したとの報告書を公表。子供を含む被害者らが苦しむ、胸を締め付けられるような映像がたくさん流れていた。

しかし、トランプ氏は同年9月、こうツィートしている。
“シリアを攻撃するな。米国にトラブルをもたらすだけだ。我々の国を再び強く、偉大にすることに集中すべきだ”

さに「米国第一主義」を掲げるトランプ氏の冷徹な実利主義者の姿を示す言葉である。

そのトランプ氏が今回は義憤にかられ、「人道主義的介入」に踏み切ったという説明は説得力を持つだろうか。

シリア攻撃の引き金が何であり、その意思決定プロセスがどうだったのかを知ることは重要だ。なぜなら、「予測不可能性」を売り物にしているトランプ大統領がどういう状況で軍事行動に踏み切るのか、踏み切らならないのかを判断する材料となるからだ。

現代ビジネス からの引用記事

金正恩の金正男殺害は韓国にとっても危機 それでも北朝鮮をかばう文氏

2017-04-18 21:17:25 | 北朝鮮


氏は、「北朝鮮の人々は同じ民族であり、その指導者である金正恩と対話していく」と主張、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の最側近として青瓦台(大統領府)秘書室長を務めていた時から、北朝鮮擁護の姿勢を貫き、行動してきた人物だ。
 
青瓦台の秘書室長は通常、個々の外交案件には絡まないものである。しかし、こと北朝鮮との関係となると文氏が主導してきた。

07年には、南北関係を既成事実化しようとして、周囲の反対を押し切って盧元大統領の北朝鮮訪問を推進、金正日総書記との南北首脳会談を実現させたほどだ。また、国連総会の北朝鮮人権決議でも、北朝鮮と協議し棄権に回っている。

これは当時の外交通商部の方針を覆したものだ。こうした文氏は、まさに盧氏の「北朝鮮の核開発は自己防衛のためであり理解できる」とする考えを体現するものである。
 
しかし文氏は、マレーシアで起きた金正男氏殺害事件をどう考えるのか。マレーシア当局の捜査によって、北朝鮮の所業であることが明らかになった後でも、文氏は「もし北朝鮮のやったことであれば…」と北朝鮮をかばっている。
 
金正恩は、保有することさえ禁止されている化学兵器を使ったのである。しかも、実の異母兄弟を殺害するために、である。金正恩の支配にとって邪魔だからであろうが、だとすれば北朝鮮にとって最も邪魔なのは韓国であろう。

化学兵器や核兵器使用の対象となり得る韓国の大統領ともなろうとする人が、金正恩と対話するというのか。
 
文氏は、今年1月の中央日報のインタビューで、大統領となれば「米国よりも北に先に行く」と語っていた。さすがに安氏の猛追を受けて、「執権すれば早期に米国を訪問して安保危機を突破し、北核問題を根源的に解決する案を協議する」と主張を変えた。

しかしそれは、米国と緊密な連携のもとに北朝鮮の核開発抑制に取り組むというよりは、「米国に過激なことをしないよう申し入れに行く」という趣旨に受け止められる。

週刊ダイヤモンドからの引用記事
 

北朝鮮に帰還した“正男氏”と米中をまたぐ因果の糸

2017-04-18 20:06:07 | アメリカ


マレーシアで暗殺された北朝鮮要人、金正男(キム・ジョンナム)氏の遺体が北京経由で平壌(ピョンヤン)に移送されたと中国外務省が確認した。

その前日には、習近平国家主席とトランプ米大統領の首脳会談が4月6、7の両日行われると発表している。
 
この二つの事柄をにらむと因果の糸が浮かんでくる。北朝鮮が金正男氏の遺体を確保したので、習主席の訪米が可能になったのではないか。

北朝鮮の目的は暗殺ではなく“抹殺” 奇妙な因果関係を理解する前に、暗殺事件の本質を見抜く必要がある。金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の狙いは、異母兄の生命を奪うだけの「暗殺」ではなく、存在を消す「抹殺」だという点だ。

事件は2月13日にクアラルンプールの空港で起きた。アジア系男性が体調を崩して医務室を訪ね、急死した。空港職員は、男性の所持していた「キム・チョル」名義の北朝鮮外交官パスポートを見て大使館に通報したが、この時、重大なミスをした。

「デモクラティック・ピープルズ・リパブリック・オブ・コリア(朝鮮民主主義人民共和国)」ではなく、「リパブリック・オブ・コリア(大韓民国)」の大使館に連絡してしまった、と地元紙が報じている。
 
駆けつけた韓国大使館員はひとめで金正男氏が暗殺されたと見破り、ただちにマレーシア警察当局が動き出し、空港の監視カメラ映像から実行犯を割り出し、追跡捜査が始まった。

遺体の引き渡しと北朝鮮大使館に立てこもった容疑者の身柄引き渡しをめぐってマレーシアと北朝鮮の関係は国交断絶寸前まで悪化した。
 
もしこの時、空港職員が北朝鮮大使館に通報していたらどうなっていただろう。大使館員は心臓発作で急死した北朝鮮外交官「キム・チョル」の遺体を受け取り、粛々と平壌へ送ったに違いない。

平壌に着くと架空の人物「キム・チョル」は身元不明者として火葬され灰になる。こうして実行犯以外、だれも知らないうちに金正男氏の存在が消し去られていたはずだ。

サンデー毎日からの引用記事

ようやく危機感の高まった 韓国国民の意識の変化で安氏が猛追

2017-04-18 19:09:13 | 韓国
 

韓国の大統領選挙は、5月9日の実施を前に、突如として混戦模様になってきた。北朝鮮の核開発をめぐる国際間の緊張が一気に高まり、北朝鮮に対し融和的な文在寅(ムン・ジェイン)氏では、北朝鮮の核ミサイル問題は抑えられず、北朝鮮が核保有国となって、韓国を存亡の危機へと向かわせるのではないかとの危機感が高まってきた。

これまで、北朝鮮の危機から目を背けようとしてきた韓国国民の意識が変化し、朴大統領の逮捕によって選挙の争点が反・朴槿恵前大統領から北朝鮮問題に移ったからだ。
 
混戦模様となっていることは、大統領選まで1ヵ月を切ったところで、韓国のメディアが相次いで公表した世論調査の結果を見れば明らかだ。

4月6日以降の世論調査によれば、革新系最大野党「共に民主党」前代表の文在寅氏と、中道系野党第2党「国民の党」前共同代表の安哲秀(アン・チョルス)氏はほぼ互角の戦いとなっている。

文氏のリードを伝えるのは地方7紙共同や韓国日報であり、安氏リードと報じているのは連合ニュースや朝鮮日報である。
 
この世論調査より1週間前の調査では、文氏が10~20%リードしていた。しかし、米中首脳会談直前に北朝鮮が弾道ミサイルを発射、その後、トランプ政権がシリアを巡航ミサイルで攻撃し、米原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島周辺へ再配備したり、アフガニスタンで大規模爆風爆弾を使用したりするなど、米国による北朝鮮攻撃が差し迫っているかのような危機感が高まっている。
 
こうした流れを受けて、安氏は6日の記者会見で、「文氏に比べた強みは安全保障だ」とし、北朝鮮への制裁強化の必要性を強調。有力な候補がいない保守系の票を取り込んでいき巻き返しを図ったものとみられている。

週刊ダイヤモンドからの引用記事
 

日本政府「直ちに影響ない」それと最近のミサイル発射

2017-04-18 18:13:01 | 北朝鮮


政府は、北朝鮮が16日朝、ミサイルの発射を試みたものの失敗したと見られることから、日本の安全保障に直ちに影響が出ることはないと見ています。

総理大臣官邸の危機管理センターに設置している、北朝鮮情勢に関する官邸対策室では、関係府省庁の情報を収集し、分析にあたると同時に、引き続き警戒監視に努めることにしています。

外務省関係者は、NHKの取材に対し、「報道されている内容は承知している。北朝鮮情勢については常日ごろから情報の収集や分析を行っているが、現時点で、わが国に飛来するミサイルは確認されておらず、

わが国の安全保障に直接の影響を及ぼす事態が起きているとは認識していない」と話しています。

北朝鮮は、去年2月に事実上の長距離弾道ミサイルを発射して以降、弾道ミサイルの発射を繰り返してきました。

去年、発射されたのは、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル、それに、中距離弾道ミサイル「ノドン」や、短距離弾道ミサイル「スカッド」など、射程の異なる弾道ミサイルで、その数は20発余りに上ります。

ことしに入ってからは、2月にSLBMを地上配備型に改良した新しい中距離弾道ミサイル「北極星2型」を発射したのに続き、先月6日に、北西部のピョンアン(平安)北道トンチャンリ(東倉里)付近から日本海に向けて、中距離弾道ミサイルの「スカッドER」4発を同時に発射し、北朝鮮は、在日アメリカ軍基地への攻撃を想定した訓練だと発表しました。

また、先月22日には、東部のウォンサン(元山)付近からミサイル1発の発射を試みたものの、失敗しました。

さらに、今月5日に東部のハムギョン(咸鏡)南道シンポ(新浦)付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射しました。このミサイルについて、アメリカ国防総省の当局者は、射程が1000キロの中距離弾道ミサイル「スカッドER」だったと見られ、発射後まもなく制御不能に陥って、発射に失敗した可能性が高いとしています。

一方で、韓国軍は、ミサイルがことし2月に発射されたSLBMを地上配備型に改良した新しい中距離弾道ミサイルの可能性もあるとの見方を示し、分析を進めていました。

NHKニュースからの引用記事

「斬首作戦」よりも「体制転換」は大きな政策視点に

2017-04-18 16:58:24 | 北朝鮮


現実の諸条件は、あるいは分割統治体制を揺るがせているかもしれない。北朝鮮の経済危機、恐怖政治、膨大な数の脱北者は、分割統治体制に、いつか必ず終わりが来ることを示すのに十分なものに見える。

少なくとも冷戦が終わった頃くらいの四半世紀にわたって、われわれはいつその時が来ても決して根本的には驚かないようにする心構えを持ってきた。
しかしその時がいつ来るのかは、まだ誰にもわかっていない。

自分の判断でその時を作り出したいとまで考える者はいない。トランプ大統領ですら、そうだろう。北朝鮮の核開発問題とは、突き詰めれば、維持が簡単ではない国家を維持するための方策の問題である。

非常に歪な方策だが、しかし機能している方策だ。本質的な問題は、そこに、維持されることが自明ではない国家がある、という事実だ。

トランプ政権は「体制転換」を視野に入れた「斬首作戦」もオプションに入れていると伝えられているが、それが具体的に何を意味しうるのかは、もちろん明確ではない。というのは、そこにも無数のパターンがありうるからだ。

「斬首作戦」よりも「体制転換」は大きな政策視点になるが、それよりもさらに大きな政策課題は「38度線」の問題であり、「中朝国境」の問題であり、そしてつまり朝鮮半島全体の政治体制の問題である。

明日の行方、来週の行方も、実はすべて、朝鮮半島全体の政治的管理の見通しに対する洞察から逆算された計算によって、決まっていくはずだ。

1950年に朝鮮戦争が勃発した際、日本はまだ占領状態にあり、独立主権国家としての判断や関与をする必要がなかった。日本人の頭の中に、あらたな朝鮮半島の危機への日本の対応は、1950年のときのようになるのではないかという漠然としたイメージがあるように感じる。しかしそれは違う。

軍事攻撃、テロ攻撃、難民到来、経済危機、といった直近の脅威を列挙し、それらに対応していくだけで、日本にとっては十分に頭の痛い問題であることは確かだ。

だが本当に本質的な問題は、国際政治の大きな流れの中で、朝鮮半島がどう動いていくのかを見極めることだ。朝鮮半島の政治情勢を洞察した上で、日本の関与の態度を決していく政策判断が、何よりも重大だということだ。

結局は、直近の事態の推移を見守る際も、影響力を行使する政策決定者たちは、朝鮮半島全体の政治的管理の見通しに対する洞察から逆算された計算によって、具体的な行動を決していくはずだ。日本の政策も、それをふまえて、検討されていかなければならない。

アゴラ?からの引用記事
 
 

北の脅威下での韓国大統領選、「文」なら存亡の危機を迎える

2017-04-18 16:01:30 | 韓国


韓国大統領選に立候補している文在寅氏。北朝鮮擁護の立場を貫いており、当選すれば北朝鮮問題解決の障害になりかねない

韓国の大統領選挙は混戦模様となってきた。大統領選の争点が北朝鮮問題に移ったからだ。

米国は、中国に対し、従来の対応であれば米国が北朝鮮を叩くとして圧力をかけている。

文在寅氏が当選すれば、中国を動かすためにも障害となりかねない。

週刊ダイヤモンドからの引用記事
 

トランプは元々保守派ではないリベラル・民主党員・ニューヨーカー

2017-04-18 15:08:01 | アメリカ


トランプ大統領は多くの人が勘違いしているように保守派の人ではありません。左派系の有識者やメディアが滅茶苦茶なバッシングを行っていますが、むしろ過去にはクリントンにも献金していたリベラル派の人物であり、リベラル派の本山・NY生まれの大富豪でもあります。

彼は近年民主党での大統領選挙出馬の可能性が無くなったことから急速に共和党保守派に接近してきた人物であり、今回の大統領選挙では「敵の敵は味方」の論理で、保守派が仕方なく応援して誕生させた大統領です。

保守派はトランプの保守性を怪しいと思っていましたが、ヒラリーに勝利されるよりもマシと判断していました。

トランプ自体は選挙時の選対本部長もコーク系のリバタリアン団体出身のコーリー・ルワンドウスキー、主流派のポール・マナフォート、保守派のケリーアン・コンウェイとその都度必要に応じて全く主義主張の異なる人々を採用する蝙蝠のような行動をしてきています。

そのため、ホワイトハウスや閣僚ポストなどの要職は最後に協力していた保守派が大半を占有しましたが、トランプと保守派は最初から潜在的なイデオロギー上の緊張関係にあり、保守派はクシュナーの存在、ましてイヴァンカのホワイトハウス入りは保守派はあまり快くは感じていないものと思われます。

実際、トランプは政権発足当初は保守派に配慮した運営を行ってきましたが、徐々に保守派色を弱める政策対応を行ってきています。その結果として、トランプ一族が持つNYのリベラルな感性とワシントン政治の一掃を求める保守派との間で亀裂が生じつつあります。

大統領選挙で応援した人々を敵に回すトランプに未来はあるのか?
トランプはニューヨーク・ポストに掲載された取材記事でバノンの処遇を問われて「バノンは選挙の終盤で合流しただけだ」と発言しました。

それはケリーアン・コンウェイを含めた保守派の運動団体全般にも該当する発言であり、筆者はオバマケア代替法案先送りの際にトランプが「フリーダム・コーカスは敵だ」と言い放った時よりも政局運営上深刻な発言だったと感じています。

トランプ政権はオバマケア代替法案の失敗の経験からワシントン政治に漬かったやり方に方針転換し、非常にきめ細やかな議会対応を行うようになってきています。これは政権運営上プラスではあるものの、トランプは政権を支える自らの屋台骨の入れ替え(保守派から主流派・民主党出身者へ)に着手したように見えます。

はたして、トランプ政権の方針転換を保守派がどこまで容認するでしょうか。
保守派は最高裁判事の任命で同じ保守派のゴーサッチ氏が任命されるまでは、大統領選挙で応援してきたはずのトランプによる保守派に対する無礼な発言に対して我慢してきたものと想定されます。

しかし、ゴーサッチ氏の上院承認が行われた以上、今後はトランプ一族によるホワイトハウスのイデオロギーの塗り替えを許容し続けることはないでしょう。

差し当たって、債務上限問題、税制改革、インフラ投資など、様々な議会案件について保守派による巻き返しが行われていくことになるものと想定されます。トランプは自らの唯一の政権基盤(≒保守派)をひっくり返す博打を打ちつつあるわけですが、それが功を奏す可能性は高くありません。

政権発足から100日を目の前にして対外的な緊張も高まる中、米国内の政局は更なる混沌に陥りつつあります。

アゴラ?からの引用記事

失敗した「生かさず殺さず」 米中ともに妙策なし

2017-04-18 14:10:03 | アメリカ


トランプ大統領の大胆な「独自の行動」としては金正恩委員長との直接対話も考えられる。

だが会談でトランプ大統領が最大限の譲歩を示し「米国は北朝鮮と国交を樹立し、その安全を保障する。

経済援助もするから核を廃棄しろ」と説いても、相手はいまや存立の唯一の頼りである核を捨てそうにはない。

せいぜいが、「米国に届くICBMの開発は凍結する」と言う程度だろう。それでは日本や韓国は「我々はどうしてくれる」と反発する。

米国内でも「無法者に褒美を出すのか」と非難が高まるだろう。中国が1992年に韓国と国交を樹立して以来、北朝鮮に対し続けてきた「生かさず殺さず」政策は、北朝鮮が自暴自棄になって暴発することを防ぐ効果があり、穏当な策ではあったが、所詮は問題の先送りだ。

その間に北朝鮮は核・ミサイル開発に成功したのだから、これも失敗と言う外ない。

この難題を解く妙策はトランプ大統領、習金平国家主席だけでなく、誰にもないのでは、と暗然たる思いを抱かざるを得ない。

週刊ダイヤモンドからの引用記事
 

現今の朝鮮半島情勢をどう見極めるか

2017-04-18 13:01:31 | 北朝鮮


米国の北朝鮮に対する武力行使の可能性が高まっているという報道が急速に日本国内で広まり、今や森友問題に見切りをつけたメディアが一斉に飛びついている感がある。

過去の経験則から今月にあらたな核実験やミサイル実験の可能性が高く、また米国本土攻撃能力を保持することが秒読み段階に入ってきたこともふまえてトランプ政権がレベルの高い対応措置を検討しており、「武力行使の可能性が高まっている」こと自体は間違いないだろう。

ではどれくらいの確率で、どのような形態の武力行使がなされるのか、については、無数のパターンがあるとしか言いようがなく、事態の推移を注視するしかない。私も一人の市民としては、刻一刻と変わる情勢変化に気をもまないわけではない。

他方、学者としての私が思いをはせるのは、そういったことではない。東アジア地域情勢を専門とするわけではない私も、平和構築の観点から、北朝鮮問題についてはそれなりの関心を長く持ち続けてきた。

したがって平時から朝鮮半島問題の地域における重要性、日本にとっての重要性は、強調しているつもりだ。

は、北朝鮮問題の本質は、朝鮮半島の地政学的性格にあると考えている。明治時代であれば、多くの人に、当然の指摘だ、と言われるだろう。現代でもそう言われるかは、よくわからない。

第二次世界大戦の結果、ヨーロッパの枢軸国ドイツは分断統治されることになり、ドイツ統一には冷戦の終焉を待たなければならなかった(ドイツ統一は冷戦の終焉を決定づけた)。

しかし日本では、日本は植民地や島嶼部を失っただけで済まされた。そのいわば必然的な結果として、日本にはアメリカのジュニア・パートナーとして生きていく道が与えられた。

ただし1945年の大日本帝国が全く分断されなかったわけではない。日本が1910年に併合していた朝鮮半島を見るならば、大日本帝国が歪な仕方で分断されたことがわかる。

日本プロパーが分断される代わりに、朝鮮半島が分割統治された。なぜそのような不公平な事態が朝鮮半島に訪れたのか。山のような数の学者が山のような研究を遂行しても、語りつくすことは簡単ではない。

ただ、最も簡明な一つの事実を指摘すれば、日本は島国であったが、朝鮮半島は大陸に付属する橋頭保だった、ということだ。日本は「全面講和」がありえず、「単独講和」で甘んじたが、朝鮮半島の場合には「単独講和」もありえず、「分割統治」しかなかった。

分割統治の不条理あるいは不合理を解消するために、1950年という早い段階で朝鮮戦争が発生した。しかし大国が総出で関与し、押したり引いたりした結果、38度線で分断する分割統治以上の安定策はない、というコンセンサスへの出戻りが結論付けられた。

このコンセンサスは、ソ連の崩壊、中国の超大国化、南北の経済格差、といった様々な情勢変化にさらされながら、特筆すべきことに、いまだに維持されている。

アゴラからの引用記事