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読書の森

小川未明「野ばら』

京都、東寺近くのBookoff で買った本に『小川未明童話集』があります。
新潮文庫の初版はなんと昭和26年。
昔、今更小川未明でも無い、と処分してしまったのです。

図書館に行けばありますが、懐旧の念にかられて、探してもなかなか見つかりませんでした。
その本が京都にあった。
平成17年(2005年)刷です❣️

売り手の方、取り忘れたのかポストイットが貼ってあって、年金事務所へ行く覚え書きを記してた。ほぼ同年代の方でしょうかね?
何故か嬉しくなる。



小川未明の童話で一番有名なのが、『赤いろうそくと人魚』です。北国の海に生まれた優しい美しい人魚の悲劇で、澄んだ抒情的ロマンに溢れてます。

これは、地味で目立たない作品の『野ばら』。

昔、とある国境を護る兵士のささやかな交流の物語であります。
その国境は都を遠く離れた辺鄙な場所にあるそれぞれの石碑で分かるのです。


小さな国からは若い兵士、大きな国からは老兵が派遣されてます。最初のうちこそ、敵味方のような顔をした二人ですが、長閑で平和な国境で毎日顔を合わせている内にたいそう仲良くなりました。

その国境には季節になると、可憐な野ばらが花開いたのです。
二人は勤務外の時間に向き合って将棋を指したりして楽しんでました。
うっとり眠くなるような平和な日々は長く続かず、二つの国は経済的な問題から戦いを起こしてしまったのです、、、。

その後の物語は、いかにも小川未明らしいヒューマニズムに満ちてます。
この童話の趣旨は、たとえお互いの国と国とが戦ったとしても、仲間のように親しんだ人と今更何で敵味方になれようか?だと思いました。

自分にとって、子どもの頃音楽の時間に歌った
「故郷来てみれば 咲く花鳴く鳥変わらねど
、、」のようなものです。
たとえ、人の代が変わり、住んでた家が廃屋になろうと、昔ながらの自然も周りの空気も人も変わらずに懐かしく包んで、心を癒してくれる、そんな世界が小川未明の童話なんですね。

私の学生時代は、未だ日本が敗戦の傷跡の濃い時代でした。その時受けた教育はリベラルそのものだと思ってます。
小川未明の物語を読むと私はその時代に回帰出来るのです。

おまけ。

お昼に作った鴨南蛮風そばです。
鶏肉とネギはちょっと炒めてます。




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