山猿日誌

~春夏秋冬~クライミング・山スキー・登山の記録集。

富士の洗礼

2011-05-01 | 山スキー2011


4月30日(土)
富士山(3775m)単独


 数年前の夏に訪れた時は、人、人、人で山を登るのに渋滞ができて、頂上まで登るのに何時間もかかり、
なんか変な疲れで、気持ち良い感じではなかった。
それ以来、しばらく富士山は登る山ではなく、「遠くから眺める山だな~」と思っていた。
しかし、山スキーを始めてから、スキーで富士山を滑ってみたいと思い、中途半端な休みが出来た今回挑戦してきた。

 当初、富士宮口からと考えていたが、震災の影響で富士スカイラインが通行止め、
通行可能なスバルラインを通って吉田口から登ることとした。
この時期の吉田口方面は、雪の量は多いが北東斜面になるため、雪が緩むのが遅い。
その為かスキーヤーは僕だけのようだ。

 この時期だろうか?今年は雪が多いのだろうか?五合目の売店を通り過ぎた所からスキー歩行可能だ。
少し歩いた所から登山道を離れ雪のつながっているラインを直登していく。
しかし、それもつかの間、雪はクラストしだし、すぐに板を担ぐこととなった。
しばらくは順調に高度をかせぐが、次第に風が強まりだした。
そのうち風は更に強くなり、スキー板を担いでいる分、風をもろ受ける。

 一度、足場悪い岩場の影で、何とかピッケルをとり出し、態勢を整える。
とりあえず登山道と合流しようとトラバースしながら高度を上げる。
次第に、風は更に強くなり、視界も利かなくなり、ホワイトアウト状態になりだす。
板を担いでいなければ、風の影響はそこまでではないかもしれないが、板への風の影響は大きいようで、
耐風姿勢をとらなければ、体をもっていかれてしまいそうになる。
 耐えては、少しトラバース、耐えてはトラバースを繰り返し、何とか、八合目付近の山小屋に到着出来た。
そこには、単独の方が休憩していた。
チェルトを出して休憩するが、風が強く、のんびり休憩していらてない。天気も回復しそうもないので
諦めて下山することとした。
クラストした斜面とこの風では、滑るのも危険と思い、スキーを担いだまま下山。
これまた風を受けてしんどい。
 7合目少し下った所で、やっと雪も緩みだしたのでスキーをとり出す。
そこでアイゼンケースが飛ばされ、どこかへ行ってしまう。
更には携帯と車のカギが入った袋を落とし、斜面を落ちていく。
こんなところで落としたら、富士の樹海でさまようようなものではないか。
スキーを装着し、ゆっくり下りながら落ちて行ったほうをくまなく探す。
そして、150m程下った所で、運良く止まっていた。本当にほっとした瞬間だ。

やっと滑りを楽しめる。しかしそれも標高差300mほど、登山道に向けて滑り込む。
無事登山道到着。
ここまで来ても風は強く、体が持って行かれそうになる。
途中、ボードを担いだ方は、スキー板以上に風の影響を受けるのだろう、
本当に飛ばされそうになり何度も体勢を低くしながら歩いていた。

駐車場へ戻るとたくさんの観光客で賑わっていた。
あとで、八合目付近で休んでいた方に話を伺ったら、やはり今日はそれ以上、上へ向かった人はいなかったらしい。

頂上まで行けなかったのは悔しかったが、富士の厳しさ、面白さを肌で実感でき、
くやしうれし気持ちでなんとも変な感じだ。
やっぱり富士山は日本一の山だけあります。
また登りに来よう。


この一時間後には富士山は全く見えなくなっていた。







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