ペルシア湾魚介三昧

アブダビで入手出来る新鮮魚介類の目利きと調理法を紹介。時々番外編で地中海岸や伊勢湾沿岸の魚も登場。

活け締め二尾

2012年01月06日 | 日記
 朝、市場に出かける前、冷凍剤を入れようとクーラーボックスの蓋を開けると、中に活け締め包丁が。先週釣りに行った時に入れたままになっていました。
「市場だし、これは要らないか」
と思って、包丁を抜き出して出発。

 アブダビ魚市場では、最近、生簀もどきの水槽を設置しました。
 でも中に入っているのはオマーンからの大型のカニだけ。各地の漁港から魚を活かして持ち込むのはコストもかかるし難しいのでしょう。
 稀に、まだ呼吸をしている魚が店頭に並ぶことはあります。
 特に高級魚キジハタ。余程生命力が強いらしく、水の無いところでも、結構長い間呼吸している。
 でもキジハタはもともと高級魚の上、活きているとなると、1キロあたりの価格が60~80ディルハムに高騰。とても手が出ません。それに個人的には、ハタ類の刺身はちゃんと血抜きしても生臭く、どうも苦手。
 他に活きているのと言えば、ウシノシタの一種で、ヌルヌルの身体をくねらせている。こちらは大衆魚ですが、ヌメリが強過ぎるのと、尻尾が胴体と完全に一体化している形状のため、文字通り「掴みどころ」が無く、ウロコ取りや捌く作業が一苦労。その割には美味しくないし、身も少ない。これなら死んでいてもガンゾウビラメや普通のシタビラメを煮付けにした方がよほど美味しい。
 貝類と、稀にセミエビ、コウイカは活きたまま売られていますが、このあたりは活け締めしてもしなくても味は変わらないし・・・というわけで、今朝は不覚にも活け締め包丁を家に置いたまま出発したわけです。

 そんな日に限って、あったんですね、店頭のトレイの中でエラを動かす魚が。
 ホシミゾイサキにゴマフエダイ。前者は一度釣ったことがあり、後者も漁港でたまに活きたものを仕入れます。どちらも活け締めの刺身は絶品。死んでいてもキロあたり40ディルハムするのを、今日は35ディルハムで売っていました。
「活け締めすればどんなに美味しいだろう・・・でも、家に着くまでには死んでしまうし・・・」
と悩みに悩んだ挙句、
「迷っている間は無い(死んでしまう)」
と大胆に果断・英断。一尾ずつ買うと、その足で洗い場に直行しました。

 ちなみに普段洗い場は使いません。他人におろしてもらうと、ウロコが残っていたり、せっかくの真子を捨てられたり、と、何かと思い通りにはいかないもので。練習のつもりで全工程を自宅で作業するのですが、今日ばかりは選択の余地なし。
 ナタを持ちだして、胴体の真ん中をぶった切ろうとするインド人らしき洗い場の青年に、
「違う違う、ちょっと待って」
と焦りつつ、日本の叡智、活け締めを懇切丁寧に伝授して、見事に頸動脈と尾の付け根の神経を切断してもらいました。
 その後、海水に漬けるという血抜きの工程は省略したものの、帰宅後さばいてみたら、釣り魚と変わらぬ身肉の透明感にニンマリ。一晩寝かして明日にいただきます。

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