11月15日は僕の誕生日。尊敬すべき坂本竜馬の生まれ日と同じであるのが僕の誇り。ちなみに竜馬は誕生日に刺客に襲われ命を落とす。僕も誕生日に天へ旅立つのか・・・そんなロマンを密かに持っているが、その日が来るのはまだまだ先であって欲しい。
さて誕生日祝いと言うことで、嫁さんと街に繰り出した。会社を早めに上がり、神楽坂で待ち合わせた。普通誕生日となれば、フレンチやイタリアンなどが主流か?はたまた寿司や中華、焼肉などが人気なのだろうが、今年の僕は居酒屋だ。しかもとびきりの居酒屋だ。
選んだ店はこの前紹介した、神楽坂「伊勢藤」だ。この前訪問して依頼、僕の頭の中から消えることの無い圧倒的な存在感。一度嫁さんを連れてこねばと思っていた。
さて人で賑わう神楽坂を登り、鳥茶屋の角を右に折れる。「この先、この先」と嫁さんを得意げに連れて、足早に角を曲がる。地下鉄の駅を降りてから、僕は何かに焦るかのように
している。それだけ早く伊勢藤に腰を下ろしたいのだ。
さて店の前に来ると、案の定嫁さんは二の足を踏む。その異空間・・・江戸の空気が漂う様相に怖気づいたか、僕に手を引かれて、ようやく江戸時代にタイムスリップだ。
店内に入るとカウンターはほぼ満席。やはりか・・・という感じでお座敷に通されるが、入ってみると座敷の居心地も悪くない。古きよき畳の臭いと、なんとも言えない安堵感が満たされ、ぼんやり燈る電球の灯りが落ち着く。座敷の席の中でも、僕がベスポジと思っていた所に偶然通してもらい、店の人に頼んで座敷とカウンターのある部屋を仕切る障子を開けてもらい、燗付け場が見えるようにしてもらった。これで嫁さんに日本一、二の燗付け場を見てもらえる。
さて熱燗を注文し、同時に嫁さんが楽しみにしていた「畳鰯」を注文した。僕らの燗酒がお燗されているのを眺めながら、それが届くのを待つ時間はもどかしくも幸せなひと時。静謐感に満たされた店内の雰囲気に少し飲まれながら、嫁さんはじっと目を燗場に注ぐ。丁寧に丁寧に暖められた酒が届き、お酌を終え、一言祝儀の言葉を交わして乾杯。ほどよい具合の熱燗が喉を落ち、体の芯がため息を漏らす。満足な顔が僕の目の前にある。やはりここは最高の部類に入る。
さて今日の1汁3菜を摘みながら、徐々に雰囲気に馴染んできた嫁さんと会話を楽しむ。もちろん小声でひそひそと。ここは独特の静けさが、客に大きな声を控えさせる。これもまた古い居酒屋の礼儀だ。「畳鰯」香ばしくて重みがあり、燗酒の肴にぴたりだ。酒が進むゆえ、熱燗のお替りと「冷奴」「めざし」を追加した。
カウンターで1人熱燗を楽しむ若い女性がいる。ここでは異質な存在か。なんとなく目がいく。話を聞いていると、静岡でバーテンダーをしているそうで、たまに東京に酒を楽しみに来るそうだ。つるつるの店主にこの辺のお勧めのバーを聞いている。勉強の為、寄り道する様子だ。
毎回毎回、丁寧に暖められる燗酒にうっとりする嫁さんは、いたくめざしが気に入った様子で、しきりにめざし→熱燗→めざしの繰り返しで、酒の味わいを楽しんでいる。僕は耳に入ってくる外の雨の音を聞きながら、酒をゆっくり楽しんでいる。外はどうやら土砂降りの雨らしく、通りの人通りも絶え、店にやって来る人も、出て行く人もなくなり、店全体がひとつの空気になった。僕はそんな中、雨の日に、雨の音を聞きながら飲む酒もいいもんだと1人ごち。外にも出れないなら酒でも飲むかの心境で、もう1本徳利を持ち上げること合計4回。二人で6合くらい飲んだ計算か。日本酒許容量を超えそうな嫁さんは、すでに布団があれば横になれる状態の様子。僕も熱燗と合わせていた「ドライ納豆」も無くなり、そろそろ腰を上げようかと考える。外の雨もやみ、さあ家路の時間か。
地下鉄の中で眠たそうな嫁さんに聞いた。「伊勢藤どうだった?」と。すると面白い答えが返ってきた。「どっしりしてていいね」と。そう、それが古い店の安定感だ。どんな客が来ても店の空気に馴染ませてしまう雰囲気。それは古い店にしかできない芸当だ。僕の中での良い居酒屋の第一条件は「古いこと」だが、そんなそこにしかない空気が吸いたくて、肌で感じたくて各地を巡り、暖簾を潜るのだ。嫁さんにはそれがよくわかった様子だ。褒めて使わそうと思い顔を見ると、既に夢の中・・・肩透かし・・・まあよしとしようか。
「誕生日には熱燗で」 僕がコピーライターなら、日本酒の宣伝にでも使いたい名文句。
日本人なら日本人らしく祝ってみるのも良いものですよ、皆様。
さて誕生日祝いと言うことで、嫁さんと街に繰り出した。会社を早めに上がり、神楽坂で待ち合わせた。普通誕生日となれば、フレンチやイタリアンなどが主流か?はたまた寿司や中華、焼肉などが人気なのだろうが、今年の僕は居酒屋だ。しかもとびきりの居酒屋だ。
選んだ店はこの前紹介した、神楽坂「伊勢藤」だ。この前訪問して依頼、僕の頭の中から消えることの無い圧倒的な存在感。一度嫁さんを連れてこねばと思っていた。
さて人で賑わう神楽坂を登り、鳥茶屋の角を右に折れる。「この先、この先」と嫁さんを得意げに連れて、足早に角を曲がる。地下鉄の駅を降りてから、僕は何かに焦るかのように
している。それだけ早く伊勢藤に腰を下ろしたいのだ。
さて店の前に来ると、案の定嫁さんは二の足を踏む。その異空間・・・江戸の空気が漂う様相に怖気づいたか、僕に手を引かれて、ようやく江戸時代にタイムスリップだ。
店内に入るとカウンターはほぼ満席。やはりか・・・という感じでお座敷に通されるが、入ってみると座敷の居心地も悪くない。古きよき畳の臭いと、なんとも言えない安堵感が満たされ、ぼんやり燈る電球の灯りが落ち着く。座敷の席の中でも、僕がベスポジと思っていた所に偶然通してもらい、店の人に頼んで座敷とカウンターのある部屋を仕切る障子を開けてもらい、燗付け場が見えるようにしてもらった。これで嫁さんに日本一、二の燗付け場を見てもらえる。
さて熱燗を注文し、同時に嫁さんが楽しみにしていた「畳鰯」を注文した。僕らの燗酒がお燗されているのを眺めながら、それが届くのを待つ時間はもどかしくも幸せなひと時。静謐感に満たされた店内の雰囲気に少し飲まれながら、嫁さんはじっと目を燗場に注ぐ。丁寧に丁寧に暖められた酒が届き、お酌を終え、一言祝儀の言葉を交わして乾杯。ほどよい具合の熱燗が喉を落ち、体の芯がため息を漏らす。満足な顔が僕の目の前にある。やはりここは最高の部類に入る。
さて今日の1汁3菜を摘みながら、徐々に雰囲気に馴染んできた嫁さんと会話を楽しむ。もちろん小声でひそひそと。ここは独特の静けさが、客に大きな声を控えさせる。これもまた古い居酒屋の礼儀だ。「畳鰯」香ばしくて重みがあり、燗酒の肴にぴたりだ。酒が進むゆえ、熱燗のお替りと「冷奴」「めざし」を追加した。
カウンターで1人熱燗を楽しむ若い女性がいる。ここでは異質な存在か。なんとなく目がいく。話を聞いていると、静岡でバーテンダーをしているそうで、たまに東京に酒を楽しみに来るそうだ。つるつるの店主にこの辺のお勧めのバーを聞いている。勉強の為、寄り道する様子だ。
毎回毎回、丁寧に暖められる燗酒にうっとりする嫁さんは、いたくめざしが気に入った様子で、しきりにめざし→熱燗→めざしの繰り返しで、酒の味わいを楽しんでいる。僕は耳に入ってくる外の雨の音を聞きながら、酒をゆっくり楽しんでいる。外はどうやら土砂降りの雨らしく、通りの人通りも絶え、店にやって来る人も、出て行く人もなくなり、店全体がひとつの空気になった。僕はそんな中、雨の日に、雨の音を聞きながら飲む酒もいいもんだと1人ごち。外にも出れないなら酒でも飲むかの心境で、もう1本徳利を持ち上げること合計4回。二人で6合くらい飲んだ計算か。日本酒許容量を超えそうな嫁さんは、すでに布団があれば横になれる状態の様子。僕も熱燗と合わせていた「ドライ納豆」も無くなり、そろそろ腰を上げようかと考える。外の雨もやみ、さあ家路の時間か。
地下鉄の中で眠たそうな嫁さんに聞いた。「伊勢藤どうだった?」と。すると面白い答えが返ってきた。「どっしりしてていいね」と。そう、それが古い店の安定感だ。どんな客が来ても店の空気に馴染ませてしまう雰囲気。それは古い店にしかできない芸当だ。僕の中での良い居酒屋の第一条件は「古いこと」だが、そんなそこにしかない空気が吸いたくて、肌で感じたくて各地を巡り、暖簾を潜るのだ。嫁さんにはそれがよくわかった様子だ。褒めて使わそうと思い顔を見ると、既に夢の中・・・肩透かし・・・まあよしとしようか。
「誕生日には熱燗で」 僕がコピーライターなら、日本酒の宣伝にでも使いたい名文句。
日本人なら日本人らしく祝ってみるのも良いものですよ、皆様。