クリーニング屋の白ちゃんが虹の橋を渡ってから、今度は
若いノラ猫にエサを持っていく日々がつづきました。
見つからないように夜そっと行きました。
ところがある日、家主さんとバッタリ会ってしまいました、
うるさいことは言われません、ただエサをやらないで下さいと
言われました。人様の敷地ですのでこれ以上は無理と思い
ましたが、このままでは あの若い猫を見捨てなければ
なりません。それが出来ればいいのですが どうしても気に
なります。
次の日から飼い主さん探しが始まりました、七年前の事で
譲渡会などもありませんし、チラシでも仔猫は貰われますが
大きくなった猫は貰われません。猫の好きな方、猫に理解の
ある方、次々に電話をかけお願いしました。その中の一人が
ある方を教えて下さいました、その日の内に行きました、
お留守でした、帰るわけにはいきません、待ちました、待ちま
した。やっと夕方にお会い出来ましたが期待はむなしく消え
ました。けれども私に同情して下さったのか、また別の方を
教えて下さいました、もう四日もエサをやっていません。
次の日泣きたい気持ちで行きました、その方は「うちにも猫が
19匹いるけど、いいよ連れて来なさい。」と言って下さいました。
私は顔をクシャクシャにして泣いていました。
あれから六年、連れて行った時はカイセンに罹り顔がゴツゴツ
していた、あの仔は、とても綺麗な長毛の8キロもある貫禄の
ある猫になっていました。「福ちゃん」という立派な名前を付けて
もらい、その方の会社の「看板猫」になっていました。その方は
もちろん、家族の方、会社の皆さんに可愛がられ、私も年に2回
は会いに行きました。
ただ「福ちゃん」は猫エイズと猫白血病にかかっていました。
貰っていただいてから、すぐに白血病を発症し何度も「もう無理
かも。」と思われながらも復活してきました。猫白血病にかかっ
た猫は約80%が生後二年以内に死にます。
昨年の夏の日電話がきました、「今度は無理かもしれません、
会いに来て下さい。」と、急いで行きました。
「福ちゃん」は力なく横たわっていました、「さっきまでトイレに
も自分で行っていたのですよ。病院に連れて行ったら、先生が
この仔まだ生きていたの。と驚いていましたよ」と話してください
ました。猫白血病を発症してから六年、ずいぶん頑張ってくれま
した名前を呼ぶとわかるようでした、しばらく抱いて「もういいよ
よく頑張ったね、きつかったね。」と声をかけ帰りました。
それから三時間後メールがきました。
『17時25分 みんなに見守られながら、静かに天国へ旅立ち
ました。 ふくちゃんと出会わせてくださり本当にありがとうござい
ました。 ふくちゃんは、私をはじめ、皆の宝物でした。
ふくちゃんが居なくなってしまった事は、とても寂しく悲しいけれ
ど、ふくちゃんと過ごした日々の思い出を大切にしていきます。
きっと、また逢えると信じて・・・。最期に、ふくちゃんに会いに来て
下さり、本当にありがとうございました。ふくちゃんも喜んでいたと
思うし、安心したんじゃないかな。と思いました。』
私の無理なお願いを聞いて下さった N様 ご家族の皆様 会社の
皆様 感謝の言葉がみつかりません。ただただ頭を下げるばかり
です、ありがとうございました。