経営に役立つ人事労務情報 【社会保険労務士林事務所】…千葉県船橋市・千葉市・習志野・市川・浦安・鎌ヶ谷・松戸・八千代

社会保険務士林事務所が就業規則・従業員管理の点からつづります。★★右の【カテゴリー】から、関心のあるものをご覧ください。

◆◆関連会社に出向させたいけど、問題はある?

2011-11-30 07:49:06 | 労働Q&A
■ポイント
1.出向を命じるためには、労働契約、就業規則や労働協約などの根拠が必要である。
2.業務上の必要性に比べ労働者に著しい不利益があると、会社の権利濫用となる。

■説明
出向を命じるためには根拠を必要とし、通常、労働契約、就業規則や労働協約などに「業務上の必要があれば、出向を命じる」旨の規定があると、会社は労働者に出向を命じることができます。しかし、規定を根拠に出向命令が認められるためには、出向条件が明確になっており、労働者に不利益にならないように配慮されている必要があります。

出向命令が、出向の必要性、対象労働者の選定が適切であるか等の事情に照らして権利濫用と認められる場合は、無効になります(労働契約法第15条)。

出向命令が、会社の権利濫用とならないためには、業務上の必要性と、出向により労働者が被る不利益とを比較し、均衡のとれたものであることが必要です。多くの場合、会社は不利益を軽減するための代償措置をとっていますが、出向は別の会社の指揮命令のもとで働くので、同一会社内での異動である転勤に比べ、より会社の配慮が必要となります。


※ 別会社への人事異動には、「出向」と「転籍」があります。
「出向」は、今までの会社との雇用関係を維持したまま、別の会社の業務に従事する人事異動です。

「転籍」は、今までの会社との雇用関係を終了させ(退職)、新たに別の会社と雇用関係を結ぶ人事異動をいいます。

◆◆転勤の内示を出したが、断られた。あなたならどうする?

2011-11-18 05:57:04 | 労働Q&A
■ポイント
1.転勤を命じるには、労働契約、就業規則や労働協約などの根拠が必要である。
2.地域限定の特約(特別の約束)があれば、それに反する転勤には同意が必要となる。
3.業務上の必要性に比べ労働者に著しい不利益があると、会社の権利濫用となる。

■説明
転勤を命じるためには根拠を必要とし、通常、労働契約、就業規則や労働協約などに「業務上の必要があれば、転勤を命じる」旨の規定があると、会社は労働者に転勤を命じることができます。

しかし、採用の際、「○○支店勤務に限る。」等の地域限定の特約があれば、それに反して転勤を命じるには労働者の同意が必要とされます。

転勤命令が、規定を根拠に会社に認められているとしても、会社は権利を濫用することはできません。業務上の必要性と、転勤により労働者が被る不利益とを比較し、均衡のとれたものであることが必要です。そこで、多くの場合、会社は不利益を軽減するための代償措置をとっています。

判例においては、共働き夫婦の別居、単身赴任、重病の家族の介護等による労働者の生活上の不利益が、会社のとる代償措置との比較のなかで受容できる範囲かどうかが判断されています。

◆◆<過労死>労災認定企業名の開示を命令 大阪地裁

2011-11-11 07:23:37 | 労働情報
<過労死>労災認定企業名の開示を命令 大阪地裁
毎日新聞 11月11日(金)3時6分配信 ヤフーニューより


 従業員が過労死などで労災認定された企業名を不開示とした大阪労働局の決定は違法として、「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(62)が決定の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁(田中健治裁判長)は10日、不開示の取り消しを命じる判決を言い渡した。弁護団によると、労災認定を巡って企業名の開示を命じた判決は初めて。

 原告側は09年、大阪労働局に02~08年度の労災補償給付の支給決定年月日と企業名の開示を求めた。労働局は決定年月日を開示したほか、職種や疾患名などの一部の情報を任意開示したが、企業名は個人情報の特定につながるとして、不開示としていた。

 判決は企業名を公表したとしても「一般人が他の情報と照合しても、企業名から特定の個人を識別するのは不可能」として、情報公開法の不開示情報に当たらないと指摘。不開示は違法と判断した。

 国側は「企業名が開示されれば社会的評価が低下する」と主張したが、判決は「取引先の信用を失ったり、就職を敬遠されたりする恐れは可能性に過ぎない」と退けた。

 判決は、労働局の資料に企業名の記載欄がなかった04年度以外を開示対象とした。

 大阪労働局は「今後の対応については、判決内容を検討し、関係機関とも協議して判断したい」としている。


 ◇49歳で自殺…飲食店店長、ノルマに追われ

 寺西さんの夫は96年、49歳で自殺した。夫は飲食店店長で、人手不足の中で厳しいノルマに追われた末の過労死だった。寺西さんは夫の死後に労災申請し、01年に認定を受けた。夫の勤務先に損害賠償を求めた1審で勝訴し、控訴審で和解。社長が寺西さんに謝罪した。

 寺西さんは過労死で家族を亡くした人の支援を始め、一つの企業で複数の過労死が起きている実態を聞いたという。寺西さんは判決後の会見で「企業名の公表で、企業が本気で過労死などの防止策を考える流れを作りたい。こうした企業の実態を知らずに就職する人が多く、企業名は公表されるべきだ」と指摘した。

◆◆派遣先の社員からセクハラを受けたとの報告が…あなたならどうします?

2011-11-04 07:20:48 | 労働Q&A
■ポイント
1.均等法は、男女労働者に対するセクシュアルハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることを、事業主に義務付けている。
2.労働者派遣法は、派遣元のみでなく派遣先の企業にも派遣社員に対するセクシュアルハラスメント防止に関する措置を義務づけている。
3.民事上は、派遣先の上司は「不法行為責任」、派遣先の上司を雇用している使用者は「使用者責任」を問われることがある。

■説明
均等法第11条は、会社に職場における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上の措置を講じなければならないことを定めています。自社の労働者が受けたセクシュアルハラスメントを放置すれば、セクハラを受けた労働者を雇用している会社(派遣元)の責任が問われることとなります。

また、労働者派遣法第47条の2により、派遣元会社に加え派遣先会社にも派遣社員に対するセクハラ防止に関する措置が義務づけられています。加害者である派遣先社員は民法第709条により個人の名誉や尊厳に対する侵害、いわゆる人格権を侵害したとして不法行為責任を問われることがあります。

そして派遣先企業は、民法第715条により、使用する労働者が職務遂行中に第三者に損害を与えた場合、使用者責任を問われることがあります。