てくてくともこ

今日出会った新しい人、景色、想いをつづります

出た!八ッ場パーフェクトガイド

2009-09-22 19:30:39 | 日々のこと
民主党に政権が移り、鳩山総理や前原国交省大臣が、「八ッ場ダムストップ」を打ち出したとたんに、「かわいそうな地元民、地元の町長も関係知事も、みんな中止に反対している」という論調で、新聞、テレビが書き立てる。付け替え道路の橋脚の写真を、まるでダム護岸工事の一部でであるかのようにドアップで映す、掲載する・・・騒ぎ。お調子もんのわが千葉県知事は、真っ先に八ッ場ダム建設予定地に駆けつけ、「ダムは必要だー!」と叫ぶ。

そんな画面を連日見せ付けられ、悔しくてしょうがなかったが、本日「みんなの八ッ場パーフェクトガイド」なる冊子が届いた。「八ッ場ダムをストップさせる千葉の会」「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」が作成した冊子である。正しい情報を伝えたいという関係者が渾身の想いをこめて作った冊子である。

この冊子はインターネットからもダウンロードできる。

http://yanbachiba.web.fc2.com/yambaexp090915.pdf

八ッ場ダム関連自治体では既に人口減少が始まっており、水需要も本当は減っている。埼玉の上田知事が、「八ッ場ダムが出来ないと緊急時に7割の水しか確保できない」という主張は、これまで、戦後50年以上、ダムなしでやってきたのに・・・、と反論したい。

また、ダム事業によって潤ってきたのはダム予定地ではなく、八ッ場ダム関連事業受注体と国交省天下りだった、という事実。

冊子の中であげられているマスコミで喧伝されている情報の間違いをいくつか書く。(詳細はダウンロードして読んで欲しい)

①八ッ場ダムを中止したほうが高くつくという話は、間違い。
八ッ場ダムはすでに7割も出来ている、と書かれているが、実際は4600億円も事業費をすでに7割使ってしまったということであって、工事の進捗率とは無関係。
また4600億円という事業費も、周辺は地すべり地帯であるから、今後膨大な地すべり対策費を必要とする。この経費は当初計画にまったく計上されていない。

②関係自治体に利水負担金を返還しなければならないという話。
1460億円を返還しなければならない、という話も眉唾。この金額には、国庫補助金も含まれているので、それを除くと、実際は、890億円。おまけに、その経費は、国が負担しようが、自治体が負担しようが、国民の負担であることには変わりないのだから、本質的には意味のない議論である。

③東電への巨額の減電補償が発生する。
   (ちょっとややこしいので、書くのは割愛)

④完成が27年度末、というのも嘘。
考えても欲しい。7割の工事進捗が真っ赤な嘘で、まだ、本体工事にさえ入っていないのだ。おまけに、用地買収が済んでいないところさえある。地すべり対策だって、これから。完成できるわけがない。

⑤「暫定」水利権がダム中止になって失われる、という嘘。
八ッ場ダムの暫定水利権とは、八ッ場ダムの先取りの水利権として「とりあえず」許可された水利権のことである。
水利権のほとんどは、農業用水関係である。減反政策をここまで進めておいて、水田用の農業用水が、当時と同じ程度である必要があるだろうか?よくテレビで映し出される映像で、渇水でダム湖の水位が下がっている画面がある。しかし、その水の利用権のほとんどが農業用であるということは、田んぼには、田植えの頃ほど、水が必要でなくなっているのだから、一時的に農業用水の一部を飲料用に回せばいいだけである。あえて渇水の映像を連日映し出すのは、ダム工事が必要だという論理を成り立たせるための陰謀でしかない、とずっと思ってきた。(あ~、癪にさわる。)

⑥治水問題は、とっくにけりが付いている。
戦時中、丸坊主にされた山は確かに保水力が落ちて大洪水の危険があった。しかし、戦後の植林事業によって、今や山林は原状回復して山の保水力ももどっている。だからこの頃は、国も、治水の問題を、あまり口にしなくなっている。

⑦ダム予定地住民の生活の再建の問題
ダムを中止するとしても、また、続行するにしても、戦後50年の永きに渡って、地元住民を翻弄し続けてきた国政の責任は重い。十分な手当てが必要案ことは、当然である。
また、このままダムが出来たからと言って、ダム湖の景観が、あるがままの吾妻渓谷の景観に勝ることはありえない。中止して、あの胸が熱くなるほど美しい吾妻渓谷とともに、温泉地として観光振興をすすめて欲しい。そのサポートを、加害者である国はしっかりなすべきである。(もちろん、加害者は、これまで大手ゼネコン等と一体となって、地元住民を苦しめてきた与党!自民党とそれを躍らせてきた官僚である)。国政を担うことになった民主党は、慎重に、苦渋をなめてきた地元住民に配慮しつつ、中止を実現して欲しい。









 

泰山鳴動ネズミ一匹・・・全員協議会

2009-09-18 23:56:50 | 日々のこと
9月18日(金)午後1時から、千葉県議会で全員協議会。
本日のテーマはもちろん、5年間で30億円という巨大な不適切処理にかかわる「経理問題特別調査結果について」。

冒頭知事が深々と頭を下げて陳謝。その時、議員後部座席に座る県庁職員も全員起立して「礼!」・・・・こんなの初めて!

9月9日発表の調査結果報告書(44pの報告書)から概要の説明があり、その後、自民党会派から順次質問がなされた。
それぞれ、観点を変えては質問するのだが、答弁はいつものようにのらりくらり。
指示を受けて公金をプールするのは、庶務・経理担当の職員であり、上司の指示なく不正経理などできるわけもないのに、職員の処分は、どうも管理職に甘いような感じである。トカゲの尻尾切りで終わらねば良いが、と危惧する。

公明党が「内部通報制度」が、全然機能してないと指摘。関連して共産党は、「1997年に内部告発の文書が出されたのに、その時県担当者は『匿名の文書だから』といって取り合わなかった、という事実を指摘した。

過去に同種の事件があったのに、なぜ防げなかったのか、という質問にたいしては「自浄作用が働かない土壌があった」とあっさり答弁。「そんな恥かしいことあっさり言うなよ」と傍聴席でつぶやく。

今回は各部の消耗品65億円しか調査していない。県全体の予算のわずか0.1%でしかない。交通費、接待、食料費、工事発注・・・いくらでも疑惑の経費が出てきそうだ。

今回知事はすべての膿を出す、と言ったが、ネット会派が不正経理が多い県土、農林部の通帳コピーを出すよう要求したけれど、とうとう出てこなかった。
会計検査院の関与についての質問も、これまで二転三転しているという。

県政の膿を出し切る、というのは、まだまだ道のりが遠そうである。

やっぱり あった!ウラ金!

2009-09-10 22:05:28 | 日々のこと
数日前、NHKニュースで「千葉県」という声が聞こえた。てっきり、千葉市議会議長の恫喝の話だと思ったら、え?千葉県庁による組織的裏金発覚の問題。なんと5年間で30億円ですとっ!とんでもない話である。
県庁組織の全401部署 のうち96%で不正経理が確認され、知事部局、県警、教育庁に及んでいる。
犯罪を取り締まる警察が不祥事を起こし、子どもに倫理を教えるはずの教育庁がけちなごまかしをするなんて、開いた口がふさがらない。

昨日、博美さんに電話で聞いたら、今、県庁は蜂の巣をつついたような騒ぎだという。
9日、千葉県は、内部調査の結果報告を発表したが、出だしは「本調査により、96%の所属(課・室等)において、5年間で約30億円の不適正な経理処理が組織的に行われていたことが確認されました。」
というものだったという。

以前、「わが千葉県に裏金はありませんか?」と素朴に質問した議員がいた。その質問に対して、執行部側と議員から失笑がもれ、「本県には、そのような裏金はありません」と恭しく答弁がなされた。会議場には再び笑い声が漏れた。

「あなたは泥棒していますか?」と聞かれて「はい」と答える人はいないという笑いだったのだが、あの時の答弁は偽証罪に問われないだろうか?

今回は、5年分の不正経理が発覚したわけだが、文書管理規定により、かろうじて5年分が保存されていたということだろう。(・・・本日夕刊記事によれば、40年前からと書かれている)さもありなん。

不正の詳細は、新聞記事に、また大野ひろみ県議のブログ「県県ゴーゴー」に、詳しく載っている。

特に目に付いたのは、農林水産部(1億189万円)と県土整備部(2億3016万円)関連が突出してプール金が多い、ということ。国庫補助事業を多く抱える部署だからということだが、その因果関係は、もっと詳細な説明が要りそうだ。
国庫補助事業は、どんぶり勘定、議員の口利き、お役所のお手盛りの裁量分の高下駄を履かせてもらっての事業費になっているのだろうとかねてから推量してきた。「その通り」ということだろう。
事業の有用、無用の判断をしなおす「事業仕分け」、入札制度改革、情報公開対象の拡大、などさらに必要になりそうだ。監査委員制度のみなおし、議会のチェック機能の拡充、外部監査の必要性・・・どこをとっても、頭が痛くなる。

この件での、森田知事のはしゃぎ振りも悔しい。
突然、役者魂に火がついて、大阪の橋下知事や、宮崎知事になりきって、大振りのジェスチャーで喋りまくる。「現知事として心からお詫びいたします。」と謝りながら、ツルのように首を伸ばす。傲岸に左右を見て、見得をきったり、いきなり声を荒げたり。やれやれである。

物品消耗費でこれだけの不正が行われているのなら、交通費や、交際費なども怪しいんじゃないか、という意見もある。議員にもその不正金の一部は流れているかもしれない。
組織ぐるみ犯罪は「赤信号みんなで渡れば怖くない」状態になるから、本気の反省に結びつきにくい。今後、どう組織を浄化していくのか、県民監視のもとで行われなければならない。議会の全員協議会は18日だそうである。

蛇足:
記者会見の席で、「不正を見聞きした方はいませんか?」という記者質問に対して、返答に窮して、県幹部が、ちょっと苦笑いをしながら曖昧な顔で、そっけない答弁をした。できるだけ真面目に反省している表情をしなければ、と思ったのだろうが、おのずと本心の「そんなもん、ずっと前からみんなやってきて、だれでも知ってることだ。今さら、初歩的な幼稚なこと聞くなよ」という小ばかにした表情がそのまま大写しで画面に映ってしまった。テレビって、怖い。



差別と日本人

2009-09-06 08:29:45 | 日々のこと
「角川ONEテーマ21」新書[差別と日本人」は、野中広務と辛淑玉というとんでもない組み合わせのベストセラー対談集である。
ずっと読みたいと思い続けて、先日ようやく手にすることが出来た。
帯には、「とは、在日とは、なぜ差別は続くのか?」~誰も語れなかった人間の暗部~とある。

まえがきで、野中広務は差別問題への一貫した取り組みについて語る。自ら被差別出身者として味わった苦悩の体験、それをばねにして、あえて自らの出自の場で町会議員となり、町長、京都府議会議員、同副知事、衆議院議員となっていく。

 国旗国家法案をもっとも熱心に作ろうとしたのが野中広務だと聞いている。辛さんも、このことに触れている。それに対して、「国旗国家は強制するものではない。でもこの際、決めておきたかった」との弁も出ている。しかし、教育現場では相変わらず日の丸強制は続いているし、拒否できない雰囲気は強いし、混乱もある。(法が通ったことで、より強い圧力が現場教師に、また校長にもかかり、苦悩は続いている)
しかし、その他でマスコミに話題になる野中氏の発言は、とにもかくも潔く、力強く、つい聞いてしまう。その野中氏と、大好きな辛さんとの対談!一気に読破してしまった。

一貫して差別問題に取り組みながら、しかし、差別される側を一方的に手厚く保護するのでなく、「同和対策事業」として習慣化された優遇措置と対決したりもしている。特別扱いすることが、むしろ差別を助長することに繋がりかねないと考えたからだそうだ。真正面から、時に身体を張って対決しながら、政策変更を実現していったいきさつは、ここでは語られていないが、その壮絶なバトルは想像に難くない。
また、その他の様々な差別問題にも取り組んできたという。病気による差別(例えばハンセン病)、男女差別(男女共同参画法)、国籍差別、従軍慰安婦問題等々。

一方、われらが憧れの辛淑玉(しんすご)さんは、在日の苦悩を語る。
ファッションモデル張りのスタイルのよさ、歯に衣着せない猛烈な早口、タテマエ論の嘘を鮮やかに暴き、完膚なきまでに論破する。カッコイー!
ほとんど、宝塚ファンのミーハーと変わりないが、私たちはひたすらの信奉者である。

辛さんが繰り返し語ることば「差別は、富を独り占めしたいものが他者を排除するために使う手段である。そして、この差別は、する側に何ともいえない優越感を与える享楽である。暗黙の快楽なのだ」

為政者は、差別されるシモジモ同士の中に、さらに下位のものを差別する「享楽」を味わわせることで世の安定を作ろうとする。

誰かが、誰かを差別する時のじっとりとした狂気の眼差しのリアリティが「享楽」という言葉に濃縮している。

あとがきで野中さんが、つい、辛さんが、時に泣きながら自らの体験を語ったので、自分も普段は言った事のないことまでしゃべってしまった、と書いている。
二人が、どう戦ってきたか、戦いの途上であるか、今なお、どんな想いを抱えているか・・・。
立ち読みで、「まえがき」と「あとがき」を読んでほしい。きっと買わずにいられなくなる。

蛇足で辛さんの文を掲載する。(p201)

「解放同盟の書記長で、社会党の議員でもあった小森龍邦さんに野中さんとの思い出を伺いにいった。・(略)・・インタビューを終えて、帰り支度をしていると、政治家としても、思想信条としても野中氏と対極にいる小森さんが思いもよらぬことを言ったのである。「野中のことを書くのか?」「叩くのか?」と訊いてきたのだ。「いや、野中さんを通して日本の社会を見たいのです。」と私が応えると、小森さんは、即座に「悪く書かんでくれ」といって、私を深く見つめ、そして強い口調で「たとえ、あれが差別だ、コレが差別だと口にしなくても、野中の中には、腹の中には『差別』(の歴史)がしっかり詰まっていて、野中はちゃんと分かっている」そう言って、自分の腹を叩いた。私は小森さんが叩くその腹を見つめ続けた。・・・(略)。

・・・・こういう文の前では言葉を失う。




てくてくともこをよろしく

2009-09-01 21:25:48 | 日々のこと
以前は、「枕のともこ」というブログを更新していたのだが、今後は、タイトル一新、「てくてくともこ」という日記を書いていくことにする。よろしく。

子どもの頃から歩くことが好きだった。
学校から、いつもと違う道を通って帰るだけでわくわくした。
新しい道には新しい発見があった。
生意気な猫を追いかけたり、まっ白い犬に恋をしたり、形のいい小石を見つけてポケットに入れたりしてワクワクしていた。
早く家に帰ればお使いを言いつけられそうだから、わざと遠回りをして浜を通って帰ったりもした。

今は車に乗ることが多く、なかなかゆっくり歩けないが、でも「てくてく」という語感が好きである。

てくてく歩けば棒にあたる。一歩前に出ればさっきまでの景色とは違う景色が見えてくる。だからこそ、一歩、前へ。

 今朝の毎日新聞に、群馬県の八ッ場ダム関係の記事が出ていた。
民主党は八ッ場ダム建設中止を謳っている。そのダム建設をめぐる様々な思惑に翻弄されてきた地元の豊田さんの記事もある。

 以前、ダム建設現場見学会のおりに泊めていただいた川原湯温泉は、そこだけ時間が止まっているようで、何とも不思議で切なかった。永い間ダム問題に翻弄されてきた地元の人たちの嘆きや悩み、戸惑いが、部屋中に漂っている感じだった。

 計画浮上から57年!
もとよりダム建設には反対であるが、民主党は、何より住民の生活再建にしっかり配慮して、丁寧に中止を遂行してほしいと願わずにいられない。