54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

伊坂幸太郎「グラスホッパー」

2020年06月06日 | 読書感想文

伊坂幸太郎「グラスホッパー (角川文庫)」を読みました。

冒頭、大学教授のこんな話から始まる。
「これだけ個体と個体が接近して、生活する動物は珍しいね。人間というのは哺乳類じゃなくて、むしろ虫に近いんだよ
蟻とか、バッタとかに近いんだ」

主人公の鈴木はこう返した。
「ペンギンが密集して生活しているのを、写真で見たことがあります。ペンギンも虫ですか」

これは、鈴木と鯨と蝉の話。

スズキとかクジラとかセミとかいってるけど、全員バッタだ。

「バッタを知ってるか?
トノサマバッタだ
密集したところで育つと『群集相』と呼ばれるタイプになる
そいつらは、黒くて、翅も長いんだ。おまけに、凶暴だ
まあ、理屈としては、仲間がたくさんいる場所で生きていると、餌が足りなくなるから、別の場所へ行けるように飛翔力が高くなるってことらしい
俺は、バッタだけの話ではないと思う
どんな動物でも密集して暮らしていけば、種類が変わっていく。黒くなり、慌ただしくなり、凶暴になる。気づけば飛びバッタ、だ
人もごちゃごちゃしたところで、暮らしていたら、おかしくなる。人間は密集して暮らしている。通勤ラッシュや行楽地の渋滞なんて、感動ものだ」


面白い知見も得た。

「PKって何の略か知ってる?」
「英語って言うかイニシャルだよ
クマのプーさん、の頭文字を取ってさ、PKって言うんだ」