マドンナ・ヴェルデ (新潮文庫) | |
海堂 尊 | |
新潮社 |
桜宮市に住む主婦の山咲みどりは平凡な生活を送っていたが、ある日、東京の帝華大学に産科医として勤める娘の理恵が帰省し、理恵は子宮に奇形が出来てしまい出産できない体になった事を告げると共に、みどりに自分の子供を代わりに産んでほしいと頼んでくる。
「ジーンワルツ」は娘(産婦人科医)が主人公の物語。この「マドンナ・ヴェルデ」はその母が主人公の物語です。あらすじに書いたように、実母に代理母を依頼する娘娘の話なのですが、当たり前の話前作は娘が主人公だったので娘の立場でどうしても読んでしまいます。作者もたぶん母娘の立場で一冊の本にしたかったのかもしれませんが、どうしても母親側の気持ちに触れることができなかったのであえて母親視線の物語を書いたのかもしれません。
ジーンワルツにおいても娘の方はクールウィッチなどと呼ばれていましたが、さすがにヒロインゆえ、それほどひどい人間にも思えませんでしたが、マドンナ・ヴェルテではどうしようもない魔女になってました(笑)もちろん私自身がこの娘の母親の年齢に近いせいかもしれませんが、何事も「心」というものをもたず合理的(?)に物事をすすめる娘よりも、やはり娘に人の道を説き、怒るときはちゃんと怒れる母親に共感出来ます。
でもまぁ、いずれにしても代理母を引き受けるってこと自体、母も変な人なのですが、そこを否定するとこの物語は成り立たないので(笑)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます