やもめとキープオンザシート

早く帰り、ながら
ラインをし合い、ながら
バカにして笑い、ながら
仕事しているふり

嘘でも本当でも信じる義務なんか
あるのかな
わからないな

昨日の打合せは上手くいきましたかと
口からこぼしても良いのなら
余裕もないのに会いに行くなんて
その結果が痛々しいクマだとか
男下げてまであーた

だって春だったから

いつも春には狂う二人が
いついかなる時も隣で

昨日彼女は昔話を
同情が全てじゃない
きっと前向きな話をしていて
だけれどそこに
病的な寂しさがあるから
それを許しそれを育む父性を
持ち合わせる人が
なるべくしてなった
それがいつもの隣キープ

キープオンザシートを目にする
一緒に行けば片時も離れずに
隣にくっついて行ける

それはいつも通りの光景

あの笑顔が
打合せの成果ならば
昨日一目散に帰って行った姿は
すべて繋がってしまうよ

耳はあるけど耳はない
目はあるけど目はない

あたしだって頑張ってるのよとか何とか
背中をずっとさすっていて
あんなクダの巻き方はもう
しないのだけれどね

好きとか嫌いとか
いいひとだとかだまし合いとか
家族だとか旦那だとか
主婦だの不良だの
ぐるぐると駆け巡る

ああ、あれは
春だったね

珍しい光景は興味本意で

きっと
どうしようもない結果に落ち着きます

今日は昨日のつづき
１日ですべてが変わることなどない
すべてが変わる１日なんかないのよ

ああ、あれは







春だった