HANのブログ

アマチュア無線をやってます。アンテナ作成、真空管の無線機に興味があります。

3.5MHz-7MHz 807 CW送信機

2016-12-20 22:48:17 | 日記

以前作った7MHz CW送信機に3.5MHzを追加しました。

 送信機回路図

 

最終的に1.9-3.5-7MHz CW送信機にするため、回路図の一部を変更しました。

変更は、

VFO入力回路をローインピダンスからハイインピダンスに変更。

発振器のコイルをトロイダルコア(L1、L2)に、3.5-7MHzに対応させるためVC1を150pFに変更し感電防止のため、ローター側を+Bからアースに変更。

(VC2は配線を変更しづらかったため、変更していません。)

RFC3を2.5mH(200mA)に変更。(在庫の関係で、100mAを使っていたため終段に100mA以上流せなかった)

 2.5mHのRFC(向かって左が100mA、向かって右が200mA)

 

M2の分流器を1Ωにし108mAに変更。

VC2を、300pF―1KVに変更(実際に測定したら300pFだった)

 

回路図の部品定数ですが在庫を使ったので、最適定数ではないかもしれませんが過去の回路図データを参考にしました。

私なりに計算した所は、V1、V2のスクリーン電流とL1~L4でL5は実験し巻き数を決めました。

特にコンデンサーは周波数により変わりますが、C2(10~20pF)、C3(100~200pF)、C4(50~1000pF)、パスコン(0.01~0.001μF)、パラ止めの抵抗値(50~100Ω   1~2Wに3~5回巻く)、R1(50K~100KΩ)、R3(20KΩ前後)、RFC1~3の値など多少の幅があるので、在庫の部品活用できます。

回路部品の働きを理解できれば部品の選択肢は増えます。

またコンデンサーには高周波用、低周波用など用途があります。

在庫の関係で、C2(30pF 50V)C3(300pF 50V)はマイカーコンデンサー、C4(100pF 1KV)は高周波が流れますので、昔のマイカーコンデンサーを使っています。

 

パスコンは在庫の関係でセラミックコンデンサー(0.001μF 1KV)を使いました。

Xc=1/(2πfc)  Xc(Ω)=1/(2×π×f(MHz)×c(μF))

7MHzで...Xc(Ω)=1/(2×3.14×7×0.001)=22.7Ω(1.9MHzでは83.8Ω)

0.01μFでは....Xc(Ω)=1/(2×3.14×7×0.01)=2.3Ω(1.9MHzでは8.4Ω)

となり、1.9MHzのことを考慮すると0.01μFの方が良かったと思いますが、寄生振動防止などもあり、あまり大きくはできません。

 

L1~L2は在庫のT-80#2を使いましたが発熱の問題がなければT68#2も使えるかもしれません。

 

回路の説明

発信はUY-42のピアスGKで、部品点数は多いのですが、五極管では安定な発信をします。

また、水晶とVFOの切り替えがやりやすいのでこの回路にしました。

 V1(UY-42)は実験で負荷抵抗を、プレート電圧220V、電流を約20mAで計算しましたが、最終的にプレート電流約16mA、スクリーングリッド抵抗(R2)15KΩで、スクリーングリッド電流約3mAになりました。(Esgは、約170V)

R2=(Ep-Esg)/Ip...でR2にて出力調整ができます。

(UY42は新品でないため、エミ減しているかもしれません)

抵抗の消費電力.W=I^2×R=0.003^2×15000=0.135W (余裕をみて、1W)

 

V1の直流入力は、220V0.016mA=3.52Wで、ドライブ条件の悪い7MHzで水晶振動子が3.5MHzの場合、2逓倍で第2高調波の出力を10%とすると、0.352Wでロスを見込んでもV2をドライブできます。

V1(UY-42)の第二高調波出力(Po)=((220×0.016)/100)×10=0.352W

 

終段管(V2)のドライブ電流を3mAとすると、R3が20KΩなのでV1の出力は、

W=I^2×R=0.003^2×20000=0.18Wでドライブすることができます。

 

L1VC1の計算

Ep=220V  Ip=16mA  水晶発振子が3.5MHzの場合2逓倍になるので、プレート負荷インピーダンスZpは、ZP=0.7×(Ep/Ip)=0.7×(220/0.016)=9625Ω(係数=0.7)   

XL=XC=Zp/Q    Qは2逓倍なので30に設定すると XL=XC=9625/30=320.8Ω

 

3.5、7MHzで逓倍しない場合、Zp=0.47×(220/0.016)=6462.5Ω(係数=0.47)

XL=XC=Zp/Q   Qを20に設定すると  XL=XC=6462.5/20=323.1Ω

 

L1を簡易計算で、L(μH)=(0.159×XL)/f(MHz)

7MHz逓倍なし   L(μH)=(0.159×323.1)/7=7.34  約7.3μH

7MHz 2逓倍    L(μH)=(0.159×320.8)/7=7.29  約7.3μH

 

3.5MHz 逓倍なし   L(μH)=(0.159×323.1)/3.5=14.68  約14.7μH

 

(1.9MHz 逓倍なし   L(μH)=(0.159×323.1)/1.9=27.0μH1...計算のみ)

 

VC1を簡易計算で、C(pF)=159000/(XC×f(MHz))

7MHz 2逓倍    C(pF)=159000/(320.8×7)=70.8pF

7MHz逓倍なし    C(pF)=159000/(323.1×7)=70.3pF

 

3.5MHz逓倍なし   C(pF)=159000/(323.1×3.5)=140.6pF

 

(1.9MHz逓倍なし   C(pF)=159000/(323.1×1.9)=259.0pF...計算のみ)

 

VC1の計算値は、配線などの迷容量(約20pF)を含むので迷容量を引いた値になります。

(1.9MHzは、VC1の容量が足りないので並列に150pF 500vマイカーコンデンサーを接続します。)

テストは3.5、7MHzのみで1.9MHzは計算のみです。

 

コイル(L1L2)の製作

在庫のトロイダルコア、T80-2に0.6mmポリウレタン線(または、エナメル線)を巻きました。

T80-2に100ターンのインダクタンスは55μHで

目的巻き数=100×√希望するインダクタンス/55μH

 

7MHz 2逓倍及び7MHz 逓倍なしのインダクタンスは、7.3μH

目的巻き数=100×√7.3μH/55μH=36.4=約37回

 

3.5MHzのインダクタンスは約、14.7μH

目的巻き数=100×√14.7μH/55μH=51.7=約52回

 

1.9MHzのインダクタンスは約、27.0μH...計算のみ

目的巻き数=100×√27.0μH/55μH=70回

 

3.5MHzと7MHz用コイルは、T80-2に54回巻き17回目からタップを出しました。

3.5MHzのコイル巻き数は52回ですが、VC1が150pFのため同調容量(140.6pF)とギリギリなので、             Lの容量を多くしました。

 1.9MHz用コイルのスペースを確保しています。

 回路図ではバンド切り替えスイッチ(SW2)がありますが、試作のため付けていませんので、バンド切り替えは半田付けで行います。

 

C4(100pF 1000V)はマイカーコンデンサーをつかいましたが、現在売っていないと思います。

250Vタイプのマイカーコンデンサーは売っていますが、3個直列にして耐圧750Vで、他に高周波電力が流れるので、問題ないかどうかわかりません。

 向かって左がが現在入手可能の耐圧250Vのマイカーコンデンサー

 

 

C4に掛かる電圧を計算してみました。(間違っているかもしれませんが...)

V1側は、220V、V2側はグリッド電流を3mAとすると、

E=I×R=0.003×20000=60V(グリッド電流のためマイナスの実効値電圧)

ピーク値の電圧は、60×√2=約84V

直流電圧...220V+84=304V

交流電圧...V1(UY-42)を逓倍なしで計算(係数=0.45計算)

プレ-ト負荷インピダンス(Zp)=(220/0.016)×0.45=6187.5Ω 

出力(Po)=220×0.016×0.5=­­1.76W(効率50%で計算)

電圧(E)=√6187.5×1.76=√10890=104.4V(実効値)

ピーク値の電圧は、104.4×√2=約147V

C4の耐圧(V)=304+147=451V(耐圧500Vではギリギリです)

その他、高周波電力が流れるため、パスコンに使ったセラミックコンデンサーは使えません。

(計算及び間違いがあるかもしれません...)

 

 終段部(UY-807

パラ止め-1

50Ω 1/2wの周囲に1mmのメッキ線を浮かせて3~5回巻く。

パラ止め-2

50Ω 2wの周囲に1mm のメッキ線を浮かせて3~5回巻く。(写真参照)

  向かって右側からTX-88A、TS-510、自作のパラ止めめです。

TS-510のパラ止めはソリッド抵抗を使っています。

TX-88Aのパラ止めはL型カーボン抵抗(1Wタイプ)にコイルを浮かせないで巻いています。

昔はP型抵抗(高周波で使える抵抗)が入手しづらかったため、L型カーボン抵抗を中抜きと言って中の塗料をはがして高周波用に使用した記事も見ました。

自作のパラ止めは、金属皮膜抵抗100Ω 1W に0.8mmのメッキ線を浮かせて5回巻きました。

現在L型は売っていないので巻き線抵抗以外はほとんど使えると思います。

また、問題がなければ省略可能と思いますが万が一の保険のつもりで付けています。

 

R3(20KΩ 1W)

R3には高周波電流が掛かりますので、昔はP型と指定していましたが現在L型抵抗は売っていないので、巻き線抵抗以外なら使えると思います。

V2(UY-807)のグリッド電流を3mAとすると、

抵抗の消費電力.W=I^2×R=0.003^2×20000=0.18W(余裕をみて、1W)

 

R5(150Ω 3W)

100Ωでも良かったのですが、在庫の関係で、またRFC3の電流容量が100mAだったのと試作を兼ねていたため、終段管保護とキークリック防止のため取り付けていましたが、2.5mH 200mAが東京ラジオデパート3階で購入できたので削除の予定です。

(店主の話では、新たに発注し作っているとのことです。)

いずれ電信のときはグリッドバイアスを-150Vにし、グリッドバイアスキーイングを考えています。

V2(UY-807)に100mA流した場合、

抵抗の消費電力.W=I^2×R=0.1^2×150=1.5W(余裕をみて、3W)

 

R6(33KΩ 3W)

スクリーングリッド電圧を250Vに調整しました。

+B(H)=450V、  スクリーングリッド電圧=250V、 スクリーングリッド電流=6mA

スクリーングリッド抵抗(R6)=(450-250)/0.006=33333.3Ω

抵抗の消費電力.W=I^2×R=0.006^2×33333.3=1.2W(余裕をみて、3W)

100KΩ 1Wの抵抗が沢山あるため、3本並列で33.33KΩ 3Wの」抵抗を作りました。

R6で出力調整ができますが、スクリーングリッド電流を多くすると真空管の寿命が短くなります。

 

M1及びM2メーター

200μA 内部抵抗540Ωのラジケーターに分流器をつけました。

分流器抵抗(R)=メーター内部抵抗(r)/((倍率(N)-1)

M1 設定電流=5mA...N=5/0.2=25倍 R=540/(25-1)=22.5Ω 約22Ω            

M2  設定電流90mA...N=90/0.2=450倍 R=540/(450-1)=1.2Ω

在庫の抵抗を使ったため、多少インチキな部分もありますが、一度テスターで正確な値を確認し、調整時の確認のために使用しています。

(M2の分流器を1Ωにし108mAに変更しました。)

 

L4、 L5(終段タンクコイル) の計算(1.9MHzは計算のみ)

非同調出力型です。

Ep=450V  Ip=90mA  プレート負荷インピーダンスZpは、

ZP=0.45×(Ep/Ip)=0.45×(450/0.09)=2250Ω(係数=0.45)   

XL=XC=Zp/Q    Qを12に設定すると XL=XC==187.5Ω

 

L4の計算

L4を簡易計算で、L(μH)=(0.159×XL)/f(MHz)

7MHz    L(μH)=(0.159×187.5)/7=4.26 約4.3μH

3.5MHz  L(μH)=(0.159×187.5)/3.5=8.25  約8.3μH

1.9MHz  L(μH)=(0.159×187.5)/1.9=15.69 約15.7μH(計算のみ)

 

VC2を簡易計算で、C(pF)=159000/(XC×f(MHz))

7MHz    C(pF)=159000/(187.5×7)=121.1pF

3.5MHz    C(pF)=159000/(187.5×3.5)=242.3pF

1.9MHz    C(pF)=159000/(187.5×1.9)=446.3pF(計算のみ)

 

VC2の計算値は、配線などの迷容量(約20pF)を含むので迷容量を引いた値になります。

(1.9MHzは、VC2の容量が足りないので並列に200pF 1000vマイカーコンデンサーを接続します。)

テストは3.5、7MHzのみで1.9MHzは計算のみです。

 

L4、L5の作り方

グリッドディプメータを使い、作成するコイルと100pFのマイカーコンデンサーで

共振回路を作りました。

L(μH)=25330/((f^2(MHz)×C(100pF))=253.3/f^2 で計算しました。

コイルは直径35mmのプラグインコイルですが現在入手困難と思います。

同じくらいのコイルを作り、L-C共振回路をつくれば、πマッチより再現性があり特殊なコンデンサーも使いません。

(出力を効率よく取り出すためにはL4の計算とL5の調整が必要)

 

7MHzL4 (4.25μH)、(1mmのポリウレタン線または、エナメル線)

12回巻きで、7.9MHz  4.06μH

13回巻きで、7.5MHz  4.5μH

14回巻きで、7.2MHz  4.89μH

一番値が近いのが13回巻きですが、14回巻きましました。

巻き方はコイル直径と巻き幅を近づけQを高くしたかったため、1つおきに巻きましたが(スペース巻き)、密巻でも良いと思います。

(密巻の場合容量が変わります。)

 

L5、はL4の下に1mmのフォルマル線を3回巻き、絶縁も兼ねガラスチューブ(名前が違うかもしれない)に入れました。

 

 3.5MHzL4 (8.52μH)、(1mmのポリウレタン線または、エナメル線)

グリッドディプメータを使い、作成するコイルと200pFのマイカーコンデンサーで

共振回路を作りました。

L(μH)=25330/((f^2(MHz)×C(200pF))=126.65/f^2(MHz) で計算しました。

 

16回巻きで、3.8MHz  8.77μH

17回巻きで、3.65MHz  9.5μH

 

15回では少ないと思い16回を密巻きで巻きました。

(プラグインコイルの長さが不足のため密巻)

7MHz用と同じようにL5、はL4の下に1mmのフォルマル線を4回巻き、絶縁も兼ねガラスチューブ(名前が違うかもしれない)に入れました。

 

1.9MHzは後日作りたいと思います。

  向かって左が、3.5MHz用で右が、7MHz用

 

L4とL5の関係は密になれば出力が多く、スプリアスも多くなりますので多少の調整ができるよう、ゆるめに巻きます。(逆に疎になれば、出力が少なくなります。)

 

コイルの再現性は同じ部品を使えればありますが、インダクタンスを計算しましたので、ディップメーターがあれば、適当なボビン、線材で作れます。

私はやったことはありませんが、ディップメーターの代わりに、L-Cでトラップ回路を作り代用できるかもしれません。

バリコンで調整するため、近似値で充分動作します。

コイルの巻く位置ですが、シャーシの影響を避け、上部に巻き、ソケットをスペーサーで1cm浮かせました。

  

     コイルは、3.5MHz                                                 VC2は、3.5MHzに同調           

 

RFC1、RFC2は470μHのピーキングコイルを使用しましたが、RFC2は2.5mHに変える予定です。

RFCのリアクタンス(XL)は、プレート負荷インピダンス(Zp)の2~10倍のようなので

条件が悪い1.9MHzの場合、V1(UY-42)のプレート負荷インピダンスは、

Zp(Ω)=0.47×(220/0.016)=6462.5Ω(係数=0.47)

 

RFC(2.5mH)のインピダンスは、

XL(Ω)=2×π×f(MHz)×L(μH)=6.28×1.9×2500=29830Ω

 

で、29830/6462.5=約、4.6倍になります。

他に、RFCの自己共振周波数が目的周波数外であること、とありますが私のレベルでは測定できません。

 

結果は...

7MHZ... Ep=450V  Ip=75mA  Po=20W

3.5MHz..Ep=450V  Ip=80mA  Po=20W

試作を兼ね動作確認のため、L4、L5の細かい調整は行っていません。

 

使用した計算式は、過去の雑誌に記載してあった計算式を使いましたが、計算ミス、その他間違いがあるかもしれませんので、参考程度にして自己責任でお願いします。

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿