練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『パレード』 吉田修一

2006-06-14 | 読書
マンションの一室に集まって暮らす男女。
そこに居着いた理由は様々だけれど、お互いにお互いの胸の奥深くまでは知り合おうとしないでぶつかり合いもせず、争いもなく一見すると利害関係が一致したかのような状態で暮らしている。
それはネットの世界のまるでチャット・ルームのよう、とあるひとりは思う。
チャットの世界には自分でない自分を演じている自分がいる。
このマンション内の暮らしも全部そう。
「私」を演じて暮らしている私。それからみんな。

絶妙に出てくる固有名詞、そういうものに反応しつつ、主人公たちの暮らしぶりに共感しつつあっという間に読みすすんだ。
ちょっとクールな突き放した感じの人間関係を書くのはうまい!吉田さん。

と、思って読み進めていたが、終章で思わず目が止まってしまって同じ行を何度も読み直してしまった。
「え~~~~っ!?」サァーっと血の気がひいた。
そ、そういうことだったの?

これは青春小説かと思っていたけど、サスペンスだったのか?
最後にきて、全てのことが全部薄ら寒くさえ感じてきてしまった。
すごい話かも・・・。