労働は商品ではない!ではなく、「特殊な商品」

2024年08月30日 | 社労士
コンビニでトイレを借りた。
何も買わないのにトイレだけを利用するのは気が引けた。とはいえ買いたい物もないので財布に入っていたUSBから適当に何かを印刷することにした。(コピー機利用)。
印刷してみると日本労働研修研究機構(JILPT)の濱口桂一郎さんのhamachanブログの記事だった。
2021年12月の記事で、安い日本がホットな話題となっているという内容で、日本ではとにかくよい製品が大変安価で、なぜ高品質低価格が可能なのか?という理由が書かれています。

安い日本

テレビでは外国人観光客が、安い日本でショッピングを満喫している様子や、テレワークをしながら物価の安い日本で生活している外国人の様子が見られる。みな口を揃えて言う。コンビニとかはどこも同じ値段で、しっかりした商品である。食べ物もチェーン店はとても安くおいしい。外国(本国)ではありえない、とのこと。

コメンテーターとかは、ニッチな日本が見直されて嬉しい、やはり日本は優秀だな〜と言っていた。日本人の賃金が非常に安いことには全く触れられていなかった。

濱口桂一郎さんは、安い日本は安い日本人労働者の賃金がもたらしているとして、その淵源に遡って説明している。

「労働は商品ではない!」として、労働者の賃金を上げることが唯一可能な労働組合が日本では機能していないことを指摘しています。

海老原嗣生さんとの共著「働き方改革の世界史」を引用し、アメリカでは労働組合までがカルテルとして違法扱いになってしまったときに、「労働は商品ではない!」として、アメリカ総同盟が経済界と戦ったことを紹介しています。

この本、歴史本なので難しいのですが、再挑戦しました。

濱口さんは「労働は商品ではない!」が間違った使われ方をしていると憤慨しています。労働は商品ではないから企業がちゃんと社員の面倒をみろ、などというものではなく、反トラスト法(日本の独占法みたいなの)などが適用されないような特殊な商品として、労働組合の集団交渉を談合扱いしない、というのがそもそもの「労働は商品ではない」という。

労働者は商品ではない、というと、当たり前だ、労働者は人間だ!と多くの人はいう。だから派遣制度では、企業は客、派遣会社は店屋、派遣労働者は商品という説明に怒る。だが、商品は商品でも人間という商品は機械や野菜とは違う。ナマモノという点では野菜や食肉と同じだが、生きているという点で牛馬と同じだが、人間はそれらとは一線を画している。商品だからといって怒るのではなく、人間という商品であることを考慮しないで機械や野菜、食肉、牛馬と同じ商品のように扱うから怒るのである。

アメリカ労働運動のゴンパースは、労働組合を政党の下部組織にするようないかなる発想にも反対し、労働組合運動は本来自力本願の運動であるという。そして、幾多の難問を決定するのに羅針盤となるのは、政治的なものと経済的なものを明確に区別することであるという。経済界は本質的に科学的であり、政治は相争う力の場であるという。

政治と経済は相異なるとか、別であるとか、関係ないとか、そういうことではなく、本質が違うのだということだろう。政治・経済と一緒くたにして、理系が苦手な者の逃げ場所や劣等感を挽回する分野ではない。

もちょっとがんばって本読んでみよう。





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エントリーの取り下げは不可だが、確定仕事はゴメン🙏でキャンセルされる派遣の仕事

2024年07月27日 | 社労士
派遣会社に登録して日雇い派遣の仕事をいくつかしてみた。法律的には派遣会社との雇用契約が2ヶ月以上(自動更新)あるのでいわゆる「日雇い派遣」ではなく、つまり違法ではないのだが…実質日雇い派遣である。

エントリーするときには、エントリーの取消はできないとの注意が出てくる。
しかし、一旦確定した仕事がキャンセルになったときは、なくなりました〜すみません、またよろしく的なメールがくるだけである。

企業側が求人を取りやめるのをいくつか見たが、特にペナルティもないようであるし、労働者が確保できなくても派遣会社はペナルティもなく保障もしないようだ。
私は今のところ体調不良なとで欠勤したこともないのだが、病気や怪我、急な不幸などドタキャンは誰の人生でもありえる。ほんとかどうかはわからないが、派遣会社によっては一度欠勤しただけで、退会を迫られるところもあるとか。

元気で継続就労できている限りは重宝がられ、ゴールドだのシルバーだのとランクづけされ、こんな仕事ありますよ〜と声がかかる。
当たり前といえば当たり前かもしれないが、それは人間がロボットやAIのようならという前提付きである。病気とか怪我とか人間ならではのトラブルを起こすと排除されるっぽい…

派遣の仕事は時給1000円に地域手当みたいなのが少しつくこともある。だいたい1000円である。職務職種(ジョブ)は関係ないみたいだ。

各都道府県の最低賃金がこれから決まっていくが、全国平均は1000円を超えている。派遣の仕事は最低賃金に少し上乗せした感じだ。

派遣はそもそもは専門業務から始まっているが、今では、専門業務ってなんだったっけ?である。

2ヶ月ほど派遣の仕事をしてみたが、男女の賃金格差がないことがわかった。ほとんどない。日雇い派遣に男も女もないからか。女ということで最初からはねられる以外は同じ賃金をもらえる。ありがたいといえばありがたい。

が、一方で、ここまで労力・能力に差があるのに、一旦決まったら、文句も言えないのか…と、派遣先企業を気の毒に思うことも…


必要だからできた制度とはいえ、派遣会社以外の、依頼事業主も労働者も負けてるようなこの制度やればやるほど苦しくなる気もする。

それでもこの制度に頼らざるを得ない事業主と労働者。お得なのか損なのか損得勘定がとんと狂っていてわからない。




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個人事業者の売上1000万は消費税支払い義務に相応しいか?

2024年06月27日 | 社労士
消費税が導入されたのは30年以上前の1989年。当初3%だったのが5%になって、今では10%。消費者としては、高いなぁと思いつつも、あまり高価な物も買わないし、そもそも値段といっても、多くの商品は店によって違う。今じゃコンビニだって値引きとかプライベートブランドとかで値段が違う。どこまでが商品の値段でどこからが消費税なのかいまひとつわからない。わかるように表示が義務づけられているので、とりあえず区分はわかるが、それだけである。切手や書籍など定価があるもの以外は結局わからない。
消費税はその名称からなんか消費者が負担している(担税者)ような気がするのだが、上記のように値段がはっきりしない場合にはいまひとつ払った感がない。1000円のものに10%の消費税がついて1,100円なのと、同じ商品でも700円に10%の消費税がついて770円なのでは、得してるのは770円である。北欧並みに30%とかでも、700円のは安くなる。消費税っていうのはこんな感じだ。
それでは一般消費者は消費税を支払っているのかと言えば、支払っていない。
消費税の支払い義務は売上1000万円以上の事業者である。当初は3000万円以上だったが、2004年に1000万円になった。
この1000万円というのは、例えば建設業とかだと経費が半分以上となる。建築資材の高騰で700万とかになると、残った300万から人件費や社会保険料や所得税などを支払わなければならない。支払えない。個人事業者でも厳しい。それでも消費税の支払い義務がある。
下請け事業者は本来であれば、資材費や社会保険料、税金の額を踏まえた下請け料金を支払わってもらわなければならないが、そんなことがきちんとされているなら下請けの問題というのはない。
それなのに、消費税だけはどの税金よりも厳しく取り立てられています。
ジャーナリストの斎藤貴男がずっと指摘していることだが、売上1000万以上は、雇用されている人の収入1000万とは全く異なる。収入1000万以上というと、けっこう多いな、高給だなと感じるが、同じ感覚で売上1000万以上あるし、消費税の支払い義務ありはおかしい。
下請けということは、一つの企業や特定企業に経済的に依存しているということであり、むしろ雇用されている労働者に準ずるくらいの保護が必要なくらいなのに、そこを狙い撃ちにして税金を実質負担させるというのは、強い者を優遇保護し、弱い者を(取りやすい、狙いやすいからという理由に思える)足蹴にするという、悪辣卑怯な、ノブレス・オブリージュの真逆みたいな精神ではないか。
消費税を支払いたくなくて売り上げを調整するということも建設などの下請けでは難しい。社会保険の未加入や偽装請負などにも拍車をかけていると思う。
世界的に自営業者への包括的な保障の必要性が言われているなかで、この消費税の悪辣さはひどい。強い者には背を向け知らぬ顔で弱い立場の者のところにはいそいそと出向いて払うのが納税者の義務とか言うのは人間として見苦しい。仕事かなんか知らんけど😔


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スマホですべて完了する派遣の仕事(仕事内容以外)

2024年05月25日 | 社労士
AIに奪われる仕事はなにか、人間に残される仕事はなにかという話題は多くの人が関心を持っている。かつては単純作業が機械やロボットに置き換えられる、知的作業は残ると言われていたが、今は全く違うようです。いわゆるオフィスワークは昨今話題の生成AIが非常に得意とするところらしく、これまで人間ならではと思われていたところにどんどん食い込んでいます。パソコンワークを得意とする若年層のほうが危機を持っています。
単純作業はすでに、置き換えられるものはすべて機械に変わっています。それでも残るところを人間がやっています。そして機械化すればするほど人間でなければできない部分が生まれています。家電などの進化によって家事労働が減るどころか、むしろやるべきことが増えていくのと同じ感じです。
日雇い派遣なるものをやってみて、派遣社員をという働き方はとても面白いと思いました。
まず、派遣登録は当然スマホです。仕事のエントリーもスマホ。確定したら詳細が届き、当日現場に行きます。集められた労働者は他人どうしなので、派遣先の現場責任者が指示を出します。仕事に入る前に出発確認、集合したら集合確認、仕事が終わったら作業終了確認、これらはすべてスマホ。すぐに給与額が出ます。一回いくらかの手数料(けっこう高いですがお金を即ほしい人はは助かります)を払うと申請した翌日に指定口座に振り込まれます。何もかもすべてがスマホです。実際の仕事以外は。そしてその仕事というのは単純作業やその都度指示を受けるものばかりです。
派遣制度って、そもそもなんだったっけ〜などと高齢の社労士あたりは歌の一つも作りたくなるかもしれませんが、それが今の派遣仕事というものでした。
労働契約書はしっかり送られてきます。クラウドでサインします。日雇いなのでその都度日ごとの契約書です。
面白かった!
びっくりすることばかりだった。
仕事に入る前は、きっと外国人と中高年ばかりだろうと思っていたら、若者がいっぱいいた!
ほんとびっくりした!
日本語能力やいろんなマルチタスクが求められるコンビニが東京とかだと外国人ばかりなのに!
100%近くの高校進学率で、大学や専門学校なども60%近く進学して、しかも莫大な奨学金というローンを組んだ挙げ句に日雇い派遣!面白い!
大学生とかもいるのだけど、現場にたどり着けなくて、30分遅刻して、さらに派遣先責任者さんに迎えにこさせて、切れられていた(笑)
それでいて、就活だし今日しか入れない(笑)
こいつを採用するオッチョコチョイの会社あるのかと思ったが、こんなのでも来てほしいほど人手不足なのが今の日本なのか…こんなのしかいないから人手不足なのか…いや、人材不足以前に人手不足だからやはりこんなのしか取るしかないのか…
少い子どもを大事に育てて少数精鋭…のはずが、とんだ計算違いである。
1000の卵を産んで10が成虫になる昆虫よか効率悪いのではないか?

我が家の青虫は私がびんの中で保護しているせいか、サナギは9割近く成虫になる。しかも夏は2週間ほとでサナギから成虫になり、空に羽ばたく。パラサイトはいない、というか、こっそり子孫を押し付けていく…モンシロチョウよ、お前は人間よりもしたたかではないか…

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まともな金融教育の本さえ日本にはない!

2024年04月28日 | 社労士
中学生の娘に金融教育をしようと思い、図書館でテキストを探した。
家庭経済という主題がそれらしいものだったのでその棚を探したが、どれも「貯める」がテーマのものばかりだった。

子ども向けのものに変更して探してみると、今度はいきなり経済の仕組みと投資についてばかりである。

大人向けも子ども向けも、読みてがある程度金融や経済を理解していることを前提としている。

小学生であれば、学校のカリキュラムを理解していることが前提。大人であればレベルはともかく、高等学校を卒業していることが前提。

小学校中学校は学校へ行きさえすれば進級、卒業できるのに。
飛び級もなければ落第もないのに。

高校は受験という儀式さえ通過すれば誰でも行けるのに。

その高校さえ、行きさえすれば進級卒業できるのに。

学力はなんの担保にもなっていないのに、学力を前提として何事も成り立っている。

子ども向けの金融教育には、「お金は使えば減る、なくなる」ということをまず最初に教え込みたかったのに…

これがわからない子ども、というか大人が多いのに…

外国人の書いた子ども向けのものが一番本質的にお金、経済を捉えていたので、それを基に自分でレジメを作ることにした。

体裁と見栄に彩られた日本社会において形骸化の被害はあまりにも大きい。

使える英語だとか、思考とか、なに言ってるんだか…

知識の詰め込みから思考への移行とか、なに寝言言ってんだ

オズの魔法使いのかかしよろしく、詰め込んでいるのは藁なのに

ほんとイヤになる😮‍💨
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