個人的な書留

日記じゃなくてチラシの裏になりました。

眠。。。

2009年11月12日 00時26分35秒 | Weblog
賑やかな声に楽しげな笑い声。勢い良く視界を過ぎ去る絶叫マシンに、ゆっくりと回る観覧車。麻美たっての希望で僕たちは近隣のレジャー施設に足を運んだ。
いつも傍にいる白(はく)は僕の薄着を気にしているようだけど、いつものカーディガンでも十分な程、今日の天気は良かった。僕には少し眩しい位だ。

遡ること、僕がいつものように所長室の椅子でくるくるとペンを回していると、学校から帰ってきた麻美が一冊の雑誌を片手に入ってきた。そしておもむろにそれを差し出すと赤いペンで囲まれている部分を指差した。しきりに色々な説明をしていたが良く覚えていない。ただそこに行きたいのはわかったので、次の日曜日に一日事務所を休みにすることに決める。

「今日は一日遊ぶぞぉ!」
そういう麻美は拳を高く突き上げると乗り物の列に一目散に駆け出していく。麻美に習い、僕も白と一緒にその列に加わる。その列がどんな乗り物かだなんてその時は全然考えていなかった。

乗り物から降りた僕は死人のようにベンチにうなだれていた。並んでいる時、しきりに白が何か言っていたようだけど、僕はたいしたことじゃないだろうと右から左に受け流していたのだが、思えばあれは警告だったのかもしれない。高速ジェットコースターに揺られた脳内は覚醒を通り越して麻痺寸前までになっていた。

白は涼しい顔をしているし、麻美に至っては次の乗り物に並び始めている始末だ。僕はぞんざいに白を追いやるとひとりベンチでぐらぐらと揺れた内臓と脳みそを落ち着かせる。遠くに見える景色、造形物、そして空、ぼんやりと眺めていると段々と僕の右目が疲れてくるのを感じた。

作り物を目に入れるのは異物を飲み込むような感覚、そんな錯覚をまぶたの裏で何度も繰り返しては頭を抱える。なんて馬鹿らしいんだ。そっと髪に隠れた左目をなぞる。そこにあるのは容れ物だけで身体の中に冷たいものが落ちる感覚。少し寒く感じた僕は身体を縮込ませるように自身を抱きしめた。


続くのかわかんない。。。