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17才の娘がスイスの高校に留学してわかったこと スイスの美しい写真と高校生活、スイス人の日常生活を詳細に報告します

スイス人の国防意識、食の安全、高い物価、スイスのギムナジウム(高校)生活スイス人の日常を報告します

スイスの高校、ギムナジウムに留学  生活はスイスドイツ語、授業はドイツ語

2015-07-21 20:48:29 | 留学体験記
スイスの学校 

 今日からブログを始めます。
娘がAFSのプログラムでスイスの高校に1年間派遣していただきました。
貴重な体験をブログに書いたら?と勧めたのですが、17才の毎日は忙しくとてもそんな時間はないということです。
帰国後、毎晩食事の時間に娘が語ってくれたこと、メールで報告してくれたことを、母親の私がかわりにまとめてみました。
一人称の「私」は娘の視線で書いています。
なぜ、スイスを希望したのか?とよく聞かれますが、子供のころに読んだ「アルプスの少女ハイジ」への憧れを持ち続けていた、ちょっと子供っぽい娘が親元を離れてどうなったかという体験記でもあります。

写真は娘のホームステイをさせていただいたお宅から見える風景です。

では宜しくお願いします。

「ショック!ドイツ語を勉強しても会話が全然わからない」

 スイスの学校の朝は早い。七時半から授業が始まる。
日本の学校にあるような朝のホームルームの時間はない。
新学期は九月始まりで、冬スタートの留学生は二月の中旬から三週間ほどドイツ語の学校に通う。
そこで基本的な文法と会話を習ってから、スイスの公立高校の一年生の後期授業から参加する。
(私は、高校一年生の二月までを日本で履修したので、半年間重複するように希望を出した。
日本の高校は留年扱いになる)


 授業はドイツ語で行われるが、日常会話はスイスドイツ語圏だ。
スイスは多言語の国だ。
人口の七割がスイスドイツ語(ホッホドイツ語と現地の人は呼ぶ)を使う。
二割がフランス語圏、一割がイタリア語圏だ。
私の派遣先はスイスドイツ語圏。
チューリヒから電車で一時間ほどのオブワルテンというカントン(州をカントンと呼ぶ)にあるルツェルン湖の分流を臨む美しい街だ。

学校から眺めるスイスの山並みが美しい。
夏になると牛や羊は山を登り、寒くなると人里に下りてくる。
弱い電気の通った金網が張りめぐらされているので動物たちが道路に出てくることはないが、学校に行く道の横を牛が歩いているのどかな光景は「アルプスの少女ハイジ」の世界そのものだ。

人々と動物が自然を共有している。
牛がのんびりと休息している横を、猛スピードの自転車が走り去る。
アップダウンがきつい道を走るので、スイスの人は、みなマウンテンバイクに乗っている。平地ではとてもスピードが出る。

私も学校まで、マウンテンバイクで十分ほど走る。ホストマザーのマウンテンバイクを借りて通学をした。
学校が近い生徒は、昼食を摂りに家に帰る。
スイスの家庭では、火を使った温かい料理を食べるのは一日に一回で、十四才と九才の女の子がいるホームステイ先の家庭では昼を大事にしている。小学校も近い。

ホストマザーによると、学校のためにこのエリアに家を購入したそうだ。
スイスの学校は中高一貫教育で、ギムナジウムと呼ばれる進学校と、職業高校に分かれる。
AFSからの覇権先は進学校ということになっている。
ホストシスターのドミニクによると、「進学校は女子が多いのよ。男の子は勉強しないから」と。
確かに、どの学年も女子が多い。
日本の学校と違って入試一発で決まるわけではないので、体力勝負の受験逆転劇はあり得ない。
「日ごろの勉強の成果で学校を選ぶことになるから、大学も優秀になればなるほど、女子の割合が多くなるのよ」とホストマザーが教えてくれた。

もうひとつ、日本と違うことは、ほとんどの学校が公立で学費が無料ということだ。
医療費と学費が無料という点が日本とは大きく違う。
(医療費の無料というのは間違えでした。スイスは医療費が高いそうです。私のホームステイ先がクリニックを経営しているので私に何かあったときは無料ですよ。と言う意味を勘違いしてしまいました。教えてくださった「まいりー」さんありがとうございます)

 日本で基礎的なドイツ語の文法を三カ月くらい勉強してきたのでどうにかなるかと思っていたが、甘かった。
AFSのプログラムでは、冬に派遣される留学生を「冬組」と呼ぶ。
冬組の生徒は二月に現地に派遣され、語学学校に通ってから、後期の授業から参加する。
(夏組は六月に派遣され、学年のスタートである九月から授業に参加する)
冬組の私は、二月の中旬にスイスに着いて、三週間ほどドイツ語の学校に通った。

学校でドイツ語を勉強してもほとんどのステイ先の家庭ではスイスドイツ語を使うので、家族の会話が聞き取れない。
標準語と東北弁以上の違いがある。
スイスでは、表記はすべてドイツ語だが、話し言葉はスイスドイツ語を使う。
私のホストマザーは英語も話してくれるので、最初の頃は、きちんと伝えなければならないことは英語でコミュニケーションをとった。
ホストファザーはドイツからの移民で、クリニックを経営している。
家族の会話は、お母さんと子供たちはスイスドイツ語、お父さんとはドイツ語。
九才のシ―ナは私のドイツ語とスイスドイツ語の先生だ。毎日、テストをしてくれる。
小学校も授業はドイツ語なので、スイスの小学生はドイツ語とスイスドイツ語のバイリンガルだ。

スイスドイツ語について

ここでスイスドイツ語について少し説明をすると、骨格となる文法は同じだが、過去形の運用がドイツ語とは違う。
スイスドイツ語では現在完了形で過去形を表すので、動詞の活用が楽だ。
そして、目に見える物を指す言葉がかなり違う。
同じ言葉でも発音が相当違うので、ドイツ語で行われる学校の授業はなんとか理解できても、友達間の会話は全然理解できない。

最初の三カ月は、学校では留学生とばかり一緒にいた。
スイスの学校にはたくさんの留学生が来ていて、全体の三割くらいが留学生だ。
アメリカや南米、ヨーロッパからの留学生は文法の構造が似ているためドイツ語の習得が速い。中国、タイやマレーシアの留学生とはすぐに仲良くなれた。
同じアジア人という安心感があったし、日本が好きだと言ってもらえてとてもうれしかった。
特にマレーシアの女の子は日本が大好きだと言う。

歴史問題では、中国と意見がぶつかっていることを知っていたので、どのように対応しようかと不安だったが、そのような話題になることはなかった。

しかし、歴史認識で先生と衝突したチューリヒに派遣された日本人の友達がいる。
このことは後述しようと思う。

日本人の留学生は、それぞれ別の学校に派遣される。
派遣先の学校では、日本人は私一人だった。
留学生仲間と英語や簡単なドイツ語で会話をすることで孤独にはならずにすんだが、次第に劣等感の塊になりつつあった。
みんなのドイツ語の習得が速いうえ、ヨーロッパの生徒もアジアの生徒もみな英語が上手だった。
私が一番口下手だ。

「わからないこと、不満があれば何でも言いなさい」と先生からも家族からも励まされる。
それでも表現ができない自分がいる。
ストレートに表現してしまえばクレーマーになってしまうのではないか、相手の感情を傷つけてしまうのではないか、そう考えているうちに話題が変わってしまう。
「周囲の人が私を馬鹿だと思っているのではないか」と自己嫌悪に陥っていった。
そして、どんどん悪い循環に陥ってしまい、留学生と一緒にいても、スイス人の友達ができないという焦りを感じてしまう。

外国人が珍しくないスイス人にとって、私のことは眼中にないようだった

スイス人のクラスメートはグループでかたまっていて、留学生のことなど全然気にも留めてくれない。
最初の三カ月は辛かった。
ヨーロッパの人は、「黙っている人は何も主張のできない人」として扱う傾向にあると思う。
幸せなことに、私の選択科目の数学の先生は優しかった。
「自分もドイツからきて、日常会話のスイスドイツ語はわからないから、きみの気持ちはわかる。もし、自分が日本語で高度な数学を勉強するとしたら、どれだけ苦労するか想像がつくよ。なんでも聞いていいから」と常に励ましてくれた

スイスの学校にはドイツ人の先生が多い。
一学年が四十人前後で六学年の全校生徒二百人くらいの学校で、ドイツ人の先生が十人くらいいる。
ほとんどが理系科目の先生だ。

ドイツ人の先生を観察していると、男の先生は日常生活でもドイツ語を使う。
女のドイツ人の先生は生徒とはスイスドイツ語で会話を楽しむ。この男女の違いに、ちょっと不思議な気がした。

スイス人の友達と打ち解けることが出来ないままに三カ月が過ぎようとしていた。
ドイツ語の授業はだんだんわかるようになってきた。授業は朝七時三十分から始まり、午前中に四十五分の授業が五コマある。
途中、おやつにリンゴやポテトチップを食べる。昼休みは一時間十五分。学校には食堂もある。
お弁当を持ってくる生徒もいるが、日本のように手の込んだ「お弁当」ではない。
パンと野菜、リンゴなど簡単なものを袋にいれてくるだけだ。食堂のメニューはパスタやピザなどの一般的なイタリアンやフレンチだが、時々タイ料理も日替わりメニューに加わる。また、ベジタリアンメニューも用意されている。

スイスでは小学校の三年生から英語を習うので、中学生になるとフランス語も履修する。
高校生になると上級のフランス語を勉強するので、私には手も足も出ない。
そこで、先生がフランス語の時間は「メンサ」(食堂の意味)で働くことを提案してくれた。
私の仕事は調理器具を洗って乾いたらチェックをして定位置に戻すこと。
チリからの留学生で半年先輩のディエゴが仕事を教えてくれた。
ラテン系のディエゴはスイスドイツ語も上手で、みんなと上手にコミュニケーションをとる。
半年長くいるだけで、ほとんどペラペラのディエゴを尊敬してしまう。
スペイン語圏から来た人は英語もスイスドイツ語もドイツ語の習得も、とても早い。
そして陽気にしゃべりまくる。私とは対照的だ。

働いた日は、食堂の料理をなんでも御馳走になれる。
ソテーした肉をいただくことが多かったが、味付けは私の口にはちょっと合わなかった。
でも、家が遠い生徒は「文句」を言いながらもよく利用していた。
食堂のスタッフはイタリア人、ドイツ人、スイス人で、共通の言語のスイスドイツ語でコミュニケーションをとっている。
「メイサ」の食事の値段は日本円に換算するとどれも千円は超える。
サンドイッチを買っても八百円だ。スイスでは加工食品の値段はとても高い。

食堂で働かせてもらえたことで、自分が役に立っている気持ちになれたし、劣等感をなんとかコントロールすることができるようになった。「子供は忙しくしていないとだめ。小人閑居して悪をなす、と言うから」とよく母が言っていた。
暇だとネガティブになっていく。忙しく体を動かすことでストレスが解消できた。
スイスの学校には部活動がない。
一週間に二回、スポーツに親しむことを目的とした授業がある。
特定のスポーツを選ぶのではなく、いろいろなスポーツを体験できる。
それをきっかけに好きなスポーツのレッスンに通う生徒もいるが、私は家でピアノを弾いたり、料理をしたり、全ての教科をドイツ語の辞書で予習しなければならなくて、習い事をする余裕はなかった。

では続きはまた!!

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2 コメント

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医療費無料じゃないです (まいりー)
2015-08-07 21:02:04
読んでて少し間違っている点があるので修正します。医療費は無料じゃないです。莫大に高いです。保険のシステムもとても複雑です。ただ、日本と違って受付の窓口でお金を払うのではなく、後日請求書を送ってくるので、支払っていないと勘違いするかもしれません。ですが、ほとんどの人はある一定額まではほぼ全額を支払っています。
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医療費 (YUKI)
2015-08-11 19:58:32
まいりーさん
コメントありがとうございます。
私がクリニック経営のお宅にホームステイしていたので「医療費は無料よ」と言っていただいたのを勘違いしてしましました。もっときちんと調べるべきでした。
教えていただいてありがとうございます。また、間違いなどありましたら教えてください。
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