翌朝はどんより曇り空。神戸大丸のある一角は『旧居留地』と呼ばれ、宿泊先もその一角だ。
江戸時代末期の安政時、日米修好通商条約によって兵庫(神戸)・横浜・新潟・函館・長崎の5港が開港し、鎖国政策にピリオドを打つきっかけとなった。また開港によって日本人と外国人との紛争を避ける意味で、居留地政策がとられるようになり、いい意味では便利な政策だったが、治外法権を存在させるきっかけとなった。つまりそれは後々に『不平等条約』で苦しむ原因ともなった。
ハーバーランドの対岸、メリケンパーク
『メリケン』、つまりアメリカンがなまってついたと言われている。むかしの日本人は英語の発音がちんぷんかんぷんだったらしい?アメリカン→アメリケン→メリケンって流れだ。メリケンパーク、通称メリケン波止場にやってきた。
震災メモリアルパークにて。5:46を指している(左) 風化させてはならぬ、震災が遺した爪痕(右)
1995.1.17、阪神淡路大震災で目を覆うほどの甚大なダメージをうけた神戸の街、メリケン波止場も例外ではない。ごらんのように岸壁が崩壊、波に晒されている。あれから14年ほど経った今、街は元気に復興を遂げたが、それを風化させてはならない!痛々しい爪痕を目の当たりにし、大地震への備えなるものをシッカリ学びたい。
JR神戸線元町駅舎、いたってシンプル
隣の三ノ宮駅前に比べると賑やかさもひと段落、ここは東京駅から延々と伸びてきた東海道本線の終点手前の駅でもある。
しにせ、にしむら珈琲店で腹ごしらえ。
異人館に通じる北野坂の手前、中山手通の『にしむら珈琲店』でハブ・ア・ブレイク。昭和23年に創業という老舗、日本ではじめてストレートのカテゴリーをつくったという。「神戸に行ったら一度は行きなさい」と、コーヒーにうるさいパートさんからの勧めを信じ、大手喫茶店では味わえないコーヒータイムをとことん堪能だ。
2度目の朝食?『朝食セット』をチョイス
早お昼の『朝食セット』。サラダまで付いてちょうどいい量だ。見た目以上の厚みとボリュームがあるトーストサンド、これまた大手喫茶店のそれとは格段に違う美味しさだ。そして薫り高い、濃厚なオリジナルコーヒーとはこのことか?コーヒーにはオンチなオレでも「ひと味もふた味も違う!」とわかる。豆挽きのイラストの書かれたコーヒーカップ(画像)にも老舗のこだわりが伝わってくる。にしむら珈琲店を勧めたパートさんにオリジナルコーヒーを挽いてもらったのをお土産に買って帰ることにした。
おみやげは『さんちか』で十分揃います
阪神電車の三宮駅に直結している『さんちか』、古くからの地下街で多数店が軒を並べる。ここからそごうに入って土産物を物色、今年は風月堂の『神戸ぶっせ』を職場に買ってってやる。
石畳の街・岡本。JRと阪急に囲まれた地域の街並み(左)と、阪急を渡った山側の街並み(右)
その後やってきた石畳の街・岡本、関東でもいくらか知れた甲南大学の最寄りだ。ここも毎年の“帰神”時には立ち寄っているが、本格的に街を散策してみよう。阪急神戸線の踏切を越えて山側へ踏み入れる。高級住宅街の緩やかな坂道が延々と続く、想像どおりの街並みだ。
中腹の岡本八幡神社、境内へは階段をさらに登らねば(左) 。登った先の朱塗りの社殿(右)
山の中腹、天上川沿いに佇む岡本八幡神社。境内に通じる階段の脇にはケヤキの巨木が!小さい神社ながらも、その社殿の造りは立派だ。ここでちょうど海抜70mくらい、岡本の駅前が海抜20mほどだから、けっこう登ってきた!
近所の岡本公園(岡本梅林公園)、住宅街で観梅を楽しめるのは自慢か?一度観てみたい!
『梅は岡本、桜は吉野、みかん紀の国、栗丹波』とうたわれるとおり、梅で有名な岡本。菅原道真公ゆかりの『飛梅』をはじめ、150本もの梅が毎年2~3月中旬に花を咲かす
六甲山の高台、公園から市街地を眺望
眼前には高層タワーもなく、恰好のビューポイントとなる岡本梅林公園。梅を見るも良し!市街地を見渡しながら一息つくも良し!海抜90mからの眺め、東灘区の住宅街を眺望しながらその先のポートアイランドを望む。
高台から一気に下る川を渡る阪急電車
閑静な住宅街には、さらに奥の山から下ってきたと思われるハイカーの姿もあった。川幅の狭い天上川に沿って歩き、阪急神戸線をくぐり抜けると、そこは行きつけの店などが立ち並ぶ駅前周辺だ。その天上川、夏場の夕立ち時は一気に増水するという恐ろしい一面ももっているようだ。数年前、餌を求めて川に降りたウリ坊が取り残されて右往左往というニュースも記憶に新しい。
街の小さな憩い場、岡本南(桜守)公園
なんだか屋敷跡っぽい感じの公園、笹部新太郎という明治の植物学者の邸宅跡を神戸市が買収して市民の憩いの場に整備したそうで(画像)、天然記念物の『ササベザクラ』ほか、限られた敷地の中で多くの桜が来年春の開花を待っている。ちょいと寄り道をしてみた。
毎年の行きつけ、『モンロワール』本店
神戸に行ったらココは必ず立ち寄る、いつしかそんな式が出来上がってしまった。今年もチョコレートハウス『モンロワール』の本店で生チョコを土産に帰京だ。関東では青山(表参道)と麻布十番に直営店ができたが、数ある生チョコを自分なりの組み合わせでセットできるのは、ココ岡本の本店だけだ。こればかりはクール宅急便で送らなければ、早く帰って絶品の生チョコを食べたい!
岡本からは阪急電車。梅田ゆき特急
長旅も最終章、最後の訪問地・神戸をあとに帰京の時間がやってきた。まずは大阪(=梅田)までは乗り慣れた阪急神戸線の特急電車で岡本駅から20分。夙川、西宮北口、十三と停車して終点梅田へ。8両編成のうち、後寄りの車両はウレシイ転換式ボックスシート車両!予想だにせぬ出来事に少し儲かった。
来年もこの地にやってくるだろう、何ら変わらぬ岡本で在ってほしい。