2003/08/19
イラクの国連事務所に大規模な自爆攻撃。
国連がどういう組織だと見なされているかがよくわかる。
備忘のため、8月初旬に観た映画の、書きそびれた感想を書いておく。
「けものがれ、俺らの猿と」、原作の町田康の同名小説は既読。監督の須永秀明ははじめて観る名前。
ほぼ忠実に原作をなぞっている。脇役のキャスティングが絶妙で、これ以上ないほどはまっている。特に、小松方正の楮山(映画プロデューサー)は絶品。
主演の永瀬正敏も好演。ただし、この小説自体、主人公として町田康の姿を強く喚起させるようになっているので、割りを食った形か?
映画としては、可も不可もなしといったところ。モノローグの多い小説なので、それをそのままモノローグで処理せずにすればもう少し映画としての価値が出たかもしれないと思う。
マーティー・キーナートのmsnNEWSでのスポーツコラムは、いつもなかなかおもしろい。
それ自体おもしろいのと同時に、身巧者マーティーは、スポーツをよりおもしろがるためのガイドにもなってくれる、そしてそれはある種の社会批評でもあるところがおもしろくもある。
最新の彼のコラムは、現在のプロ野球をとりまくある状況についてだが、やはりそれ自体全く的を射てる上スポーツ論として優れている。さらに、これは別のある種の状況への苛立ちにも見えておもしろい。横柄に振る舞い気に喰わないことがあれば質の悪い実力行使で対処する、それでも「経済効果」が上がれば強く望ましいリーダーとして賞賛される。批判の声も「ここは”素直に”成果を喜ぼう」という声にかき消される。
そういえば、腹心に暴力事件を起こした男を重用してて恥じないのも、あの人と同じだ。1年後、2年後、事態はさらに悪くなっているのではないだろうか。
以下、
http://news.msn.co.jp/266178.armx
から全文引用。
「燃える男」星野監督はヒーローか
阪神タイガースの快進撃とともに、星野仙一監督は「理想の上司」と称賛されている。阪神の活躍は見事だが、だからと言って、「鉄拳」という名の暴力を美化するのはいただけない。選手や、とくに審判に対する星野の暴言と暴行は、球界を追放されてもおかしくないくらいだ。【写真=監督として通算900勝目を挙げ、笑顔でベンチを出る阪神・星野仙一監督(中央)(札幌ドーム)時事通信】(マーティ・キーナート:8月14日)
2003年シーズンの阪神タイガースは、不景気に喘ぐ関西地区に喝を入れている。その最大の功労者として、2期目の星野仙一監督を称えるファンやマスコミも少なくない。
阪神を取り巻く熱狂は、もはや関西だけではない。日本全国どこでも、阪神の遠征試合を観に行けば、スタンドを埋めるファンの大多数は黄色と黒のウエアを着て、「六甲おろし」を大合唱し、ホームチームの球団歌をかき消している。さらには、星野への忠誠を誓うプラカードがずらりと並ぶのだ。
最近のいくつかの世論調査でも、星野は「理想の上司」や「お父さんになってほしい人」の第1位に選ばれた。
NHKをはじめいくつかのテレビ局は、シーズン中に早くも星野の特集番組を放送している。現役時代は中日ドラゴンズのエース(通算146勝121敗・防御率3.60)にして、延べ11年、ドラゴンズの監督を務めた後に阪神へ。いずれの番組も、56歳の監督の「情熱的で」「攻撃的な」「熱い」指導スタイルを一様に称賛していた。だが、本当にすべてをプラスに評価していいのだろうか。
いや、そんなことはない。
●王貞治に拳を振り上げた男
元読売ジャイアンツの選手で、89年にセ・リーグMVPにも輝いたウォーレン・クロマティは、91年の共著『さらばサムライ野球』で星野について、決して好意的ではない表現をしている。
たとえば、87年のこと。「(ドラゴンズの)元エースで新しく監督に就任したのは、星野仙一。態度のでかい気どった男で、しゃべり方や振る舞いは(ニューヨーク・ヤンキースの監督を5回、解雇されたこともある)ビリー・マーティンに似ている。星野は、監督1年目のモットーは『ファイティング・ベースボール』だとぶちあげた」
87年6月12日に熊本で、クロマティはドラゴンズの宮下昌巳投手から背中に死球を受けた。クロはマウンドに詰め寄り、ヘビー級のパンチを宮下の顎にお見舞いした。
その後の乱闘について、クロは次のように書いている。
両チームの選手がつかみ合いになり、「バカ野郎」という叫び声が飛び交った。星野は乱闘のど真ん中にいて、頭のおかしくなった雄鶏みたいに飛びまわり、僕に向かって何か叫んでいた。彼の口はものすごい勢いでパクパクと動いていた。
僕も『フ××ク・ユー、ホシノ!』と叫び返した。
王(貞治・読売ジャイアンツ監督)が星野をなだめようとしたが、星野は王の肩をつかんで拳を振り上げ、王は後ろにのけぞった。殴り合いは王のやり方ではないし、星野はそのことに感謝するべきだ。僕は後で知ったのだけれど、王が肉体的に威嚇されたのは、あれが初めてだったという。
でも、それが星野という男だ。彼はどうかしている。4月にも広島で、カープの内野手を殴っていたんだから。
●完ぺきな紳士がチンピラに豹変
実際、星野の「熱さ」にはいろいろな意味がある。あるテレビ局の幹部は匿名を条件に、次のように語る。
「NHKの解説者時代、星野はとても優秀な人材だった。スーツを着せてカメラの前に座らせれば、博識のある完ぺきな紳士だ。でも、野球のユニフォームを着せてグラウンドに立たせると、そのへんのチンピラでしかない」
星野の下で苦労してきた選手たちは、昔から口をそろえて、ボスへの恐怖を告白している。外から見ている人は「燃えるような」「熱情あふれる」という言葉を使いたがるようだが、実際に暴君の指揮下でプレーした選手に言わせれば、「野蛮な」「恐ろしい」となる。
セ・リーグのホームラン王になったこともある大豊泰昭は、引退直後の昨年11月に週刊ポストのインタビューで、中日ドラゴンズ時代に少なくとも2回、星野に顔を殴られたことをはっきり覚えていると語った。
「チャンスでボール球を振って凡退したときにトイレまで追いかけられ、『天下の王貞治でも打てない球をおまえが打てるとでも思っているのか!』と、すごまれて殴られたことがある」
大豊はさらに、いわゆる「愛情の裏返し」に感謝していると言いながら、星野の実像を明かしている。
「鼻血を出して目の下を黒くしているのがゴロゴロいた。キャッチャーの中村武志(現・横浜ベイスターズ)なんて、普段の顔がどんなだったのかわからなくなってしまったくらい」
●乱闘でも選手の先頭に立つ指揮官
申し訳ないが、星野が理想の指導者として崇められる存在だとは、私にはどうしても思えない。忘れてならないのは、星野が長年、試合中に審判へ暴力をふるいつづけてきたことだ。メジャーリーグだったら、球界を永久追放されてもおかしくない。
星野と審判のトラブルは多すぎてここには書ききれないが、ドラゴンズの監督時代に、すぐに思い出す2つの大きな事件がある。
97年6月5日、岐阜での対ベイスターズ戦。球審を務めたアメリカ人のマイケル・ディミュロは、星野からよく罵倒されていた大豊の、たまっていたであろう怒りを爆発させてしまった。ニューヨークから来たディミュロが見逃し三振の判定をすると、打席の大豊は激昂。審判の胸元に殴りかかり、星野もベンチからホームまで飛んで来た。ところが星野は、周囲が期待していたようにけんかを仲裁して、頭に血がのぼっている自分の選手を審判から引き離すどころか、自ら加勢して乱闘を煽った。
星野はディミュロの体を抑えてバックネットまで押し込みながら、言葉の暴力を浴びせつづけた。その結果、アメリカから審判を招いて日本の審判の水準を向上させようというセ・リーグの試みは、悲鳴とともに中断された。メジャーリーグ機構はディミュロを直ちに帰国させ、審判を守るために日々努力している安全な対岸に呼び戻したのだ。
●メジャーなら永久追放も
そして2000年5月6日、名古屋での対ベイスターズ戦。ドラゴンズの立浪和義は見逃し三振の判定に対し、球審の橘高淳に猛抗議。橘高の体を押して退場を宣告された。その後は、まるで97年の岐阜の再現だった。監督の星野はベンチを飛び出し、騒ぎをなだめるのではなく、火に油を注いだ。星野は、グラウンドで最終的な意思決定権を持つ球審に体当たりして、殴りかからんばかりになり、選手たちにこれが正しい行動なのだと思わせた。
明らかにやりすぎたのは大西崇之外野手で、橘高の背後から不意打ちを食らわし、橘高肋骨が2本折れた。しかし、この一件で星野に下された処分は、わずか5日間の出場停止と罰金50万円。これがメジャーなら、星野は1年以上の出場停止になったはずだ。事態をエスカレートさせ、審判に重傷を負わせたのだから、永久追放にさえなるかもしれない。
星野は、役者としては申し分がない。だが、彼が「ジキルとハイド」のような二重人格者であることを忘れてはいけない。阪神タイガースが快進撃を続け、独走態勢で2003年のリーグ優勝をほぼ手中に収めたというだけで、今のように星野をひたすら持ち上げるよう
な勘違いをしてはならない。星野という人間が、本当に変わったわけではないのだ。
●サッカーファンを激怒させた一言
最後に星野の新しいエピソードを紹介しておこう。
8月5日に神宮スタジアムの対ヤクルト・スワローズ戦が雨で中止になったとき、隣の国立競技場では悪天候のなかレアル・マドリードとFC東京の試合が決行されたことを、一部のマスコミは面白がって比較した。このときの星野の発言に、サッカーは本物の男のスポーツではないと思っている人は笑えたが、世界一のスポーツだと信じている人は激怒した。
「こっちはTシャツ、短パンでやっているんじゃない。そんな甘いスポーツと違うんや」
そう言った星野は、デービッド・ベッカムが決めたフリーキックのゴールも痛烈に皮肉った。
「あんなもん、うちの(田中)秀太や金本(知憲)でも決めれるわ。キーパーも読まんか。あそこのコースしかないんだから」
イラクの国連事務所に大規模な自爆攻撃。
国連がどういう組織だと見なされているかがよくわかる。
備忘のため、8月初旬に観た映画の、書きそびれた感想を書いておく。
「けものがれ、俺らの猿と」、原作の町田康の同名小説は既読。監督の須永秀明ははじめて観る名前。
ほぼ忠実に原作をなぞっている。脇役のキャスティングが絶妙で、これ以上ないほどはまっている。特に、小松方正の楮山(映画プロデューサー)は絶品。
主演の永瀬正敏も好演。ただし、この小説自体、主人公として町田康の姿を強く喚起させるようになっているので、割りを食った形か?
映画としては、可も不可もなしといったところ。モノローグの多い小説なので、それをそのままモノローグで処理せずにすればもう少し映画としての価値が出たかもしれないと思う。
マーティー・キーナートのmsnNEWSでのスポーツコラムは、いつもなかなかおもしろい。
それ自体おもしろいのと同時に、身巧者マーティーは、スポーツをよりおもしろがるためのガイドにもなってくれる、そしてそれはある種の社会批評でもあるところがおもしろくもある。
最新の彼のコラムは、現在のプロ野球をとりまくある状況についてだが、やはりそれ自体全く的を射てる上スポーツ論として優れている。さらに、これは別のある種の状況への苛立ちにも見えておもしろい。横柄に振る舞い気に喰わないことがあれば質の悪い実力行使で対処する、それでも「経済効果」が上がれば強く望ましいリーダーとして賞賛される。批判の声も「ここは”素直に”成果を喜ぼう」という声にかき消される。
そういえば、腹心に暴力事件を起こした男を重用してて恥じないのも、あの人と同じだ。1年後、2年後、事態はさらに悪くなっているのではないだろうか。
以下、
http://news.msn.co.jp/266178.armx
から全文引用。
「燃える男」星野監督はヒーローか
阪神タイガースの快進撃とともに、星野仙一監督は「理想の上司」と称賛されている。阪神の活躍は見事だが、だからと言って、「鉄拳」という名の暴力を美化するのはいただけない。選手や、とくに審判に対する星野の暴言と暴行は、球界を追放されてもおかしくないくらいだ。【写真=監督として通算900勝目を挙げ、笑顔でベンチを出る阪神・星野仙一監督(中央)(札幌ドーム)時事通信】(マーティ・キーナート:8月14日)
2003年シーズンの阪神タイガースは、不景気に喘ぐ関西地区に喝を入れている。その最大の功労者として、2期目の星野仙一監督を称えるファンやマスコミも少なくない。
阪神を取り巻く熱狂は、もはや関西だけではない。日本全国どこでも、阪神の遠征試合を観に行けば、スタンドを埋めるファンの大多数は黄色と黒のウエアを着て、「六甲おろし」を大合唱し、ホームチームの球団歌をかき消している。さらには、星野への忠誠を誓うプラカードがずらりと並ぶのだ。
最近のいくつかの世論調査でも、星野は「理想の上司」や「お父さんになってほしい人」の第1位に選ばれた。
NHKをはじめいくつかのテレビ局は、シーズン中に早くも星野の特集番組を放送している。現役時代は中日ドラゴンズのエース(通算146勝121敗・防御率3.60)にして、延べ11年、ドラゴンズの監督を務めた後に阪神へ。いずれの番組も、56歳の監督の「情熱的で」「攻撃的な」「熱い」指導スタイルを一様に称賛していた。だが、本当にすべてをプラスに評価していいのだろうか。
いや、そんなことはない。
●王貞治に拳を振り上げた男
元読売ジャイアンツの選手で、89年にセ・リーグMVPにも輝いたウォーレン・クロマティは、91年の共著『さらばサムライ野球』で星野について、決して好意的ではない表現をしている。
たとえば、87年のこと。「(ドラゴンズの)元エースで新しく監督に就任したのは、星野仙一。態度のでかい気どった男で、しゃべり方や振る舞いは(ニューヨーク・ヤンキースの監督を5回、解雇されたこともある)ビリー・マーティンに似ている。星野は、監督1年目のモットーは『ファイティング・ベースボール』だとぶちあげた」
87年6月12日に熊本で、クロマティはドラゴンズの宮下昌巳投手から背中に死球を受けた。クロはマウンドに詰め寄り、ヘビー級のパンチを宮下の顎にお見舞いした。
その後の乱闘について、クロは次のように書いている。
両チームの選手がつかみ合いになり、「バカ野郎」という叫び声が飛び交った。星野は乱闘のど真ん中にいて、頭のおかしくなった雄鶏みたいに飛びまわり、僕に向かって何か叫んでいた。彼の口はものすごい勢いでパクパクと動いていた。
僕も『フ××ク・ユー、ホシノ!』と叫び返した。
王(貞治・読売ジャイアンツ監督)が星野をなだめようとしたが、星野は王の肩をつかんで拳を振り上げ、王は後ろにのけぞった。殴り合いは王のやり方ではないし、星野はそのことに感謝するべきだ。僕は後で知ったのだけれど、王が肉体的に威嚇されたのは、あれが初めてだったという。
でも、それが星野という男だ。彼はどうかしている。4月にも広島で、カープの内野手を殴っていたんだから。
●完ぺきな紳士がチンピラに豹変
実際、星野の「熱さ」にはいろいろな意味がある。あるテレビ局の幹部は匿名を条件に、次のように語る。
「NHKの解説者時代、星野はとても優秀な人材だった。スーツを着せてカメラの前に座らせれば、博識のある完ぺきな紳士だ。でも、野球のユニフォームを着せてグラウンドに立たせると、そのへんのチンピラでしかない」
星野の下で苦労してきた選手たちは、昔から口をそろえて、ボスへの恐怖を告白している。外から見ている人は「燃えるような」「熱情あふれる」という言葉を使いたがるようだが、実際に暴君の指揮下でプレーした選手に言わせれば、「野蛮な」「恐ろしい」となる。
セ・リーグのホームラン王になったこともある大豊泰昭は、引退直後の昨年11月に週刊ポストのインタビューで、中日ドラゴンズ時代に少なくとも2回、星野に顔を殴られたことをはっきり覚えていると語った。
「チャンスでボール球を振って凡退したときにトイレまで追いかけられ、『天下の王貞治でも打てない球をおまえが打てるとでも思っているのか!』と、すごまれて殴られたことがある」
大豊はさらに、いわゆる「愛情の裏返し」に感謝していると言いながら、星野の実像を明かしている。
「鼻血を出して目の下を黒くしているのがゴロゴロいた。キャッチャーの中村武志(現・横浜ベイスターズ)なんて、普段の顔がどんなだったのかわからなくなってしまったくらい」
●乱闘でも選手の先頭に立つ指揮官
申し訳ないが、星野が理想の指導者として崇められる存在だとは、私にはどうしても思えない。忘れてならないのは、星野が長年、試合中に審判へ暴力をふるいつづけてきたことだ。メジャーリーグだったら、球界を永久追放されてもおかしくない。
星野と審判のトラブルは多すぎてここには書ききれないが、ドラゴンズの監督時代に、すぐに思い出す2つの大きな事件がある。
97年6月5日、岐阜での対ベイスターズ戦。球審を務めたアメリカ人のマイケル・ディミュロは、星野からよく罵倒されていた大豊の、たまっていたであろう怒りを爆発させてしまった。ニューヨークから来たディミュロが見逃し三振の判定をすると、打席の大豊は激昂。審判の胸元に殴りかかり、星野もベンチからホームまで飛んで来た。ところが星野は、周囲が期待していたようにけんかを仲裁して、頭に血がのぼっている自分の選手を審判から引き離すどころか、自ら加勢して乱闘を煽った。
星野はディミュロの体を抑えてバックネットまで押し込みながら、言葉の暴力を浴びせつづけた。その結果、アメリカから審判を招いて日本の審判の水準を向上させようというセ・リーグの試みは、悲鳴とともに中断された。メジャーリーグ機構はディミュロを直ちに帰国させ、審判を守るために日々努力している安全な対岸に呼び戻したのだ。
●メジャーなら永久追放も
そして2000年5月6日、名古屋での対ベイスターズ戦。ドラゴンズの立浪和義は見逃し三振の判定に対し、球審の橘高淳に猛抗議。橘高の体を押して退場を宣告された。その後は、まるで97年の岐阜の再現だった。監督の星野はベンチを飛び出し、騒ぎをなだめるのではなく、火に油を注いだ。星野は、グラウンドで最終的な意思決定権を持つ球審に体当たりして、殴りかからんばかりになり、選手たちにこれが正しい行動なのだと思わせた。
明らかにやりすぎたのは大西崇之外野手で、橘高の背後から不意打ちを食らわし、橘高肋骨が2本折れた。しかし、この一件で星野に下された処分は、わずか5日間の出場停止と罰金50万円。これがメジャーなら、星野は1年以上の出場停止になったはずだ。事態をエスカレートさせ、審判に重傷を負わせたのだから、永久追放にさえなるかもしれない。
星野は、役者としては申し分がない。だが、彼が「ジキルとハイド」のような二重人格者であることを忘れてはいけない。阪神タイガースが快進撃を続け、独走態勢で2003年のリーグ優勝をほぼ手中に収めたというだけで、今のように星野をひたすら持ち上げるよう
な勘違いをしてはならない。星野という人間が、本当に変わったわけではないのだ。
●サッカーファンを激怒させた一言
最後に星野の新しいエピソードを紹介しておこう。
8月5日に神宮スタジアムの対ヤクルト・スワローズ戦が雨で中止になったとき、隣の国立競技場では悪天候のなかレアル・マドリードとFC東京の試合が決行されたことを、一部のマスコミは面白がって比較した。このときの星野の発言に、サッカーは本物の男のスポーツではないと思っている人は笑えたが、世界一のスポーツだと信じている人は激怒した。
「こっちはTシャツ、短パンでやっているんじゃない。そんな甘いスポーツと違うんや」
そう言った星野は、デービッド・ベッカムが決めたフリーキックのゴールも痛烈に皮肉った。
「あんなもん、うちの(田中)秀太や金本(知憲)でも決めれるわ。キーパーも読まんか。あそこのコースしかないんだから」
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