ここにきて、パルアクティブやセラヴィリゾート泉郷などの会社更生手続きのニュースが続いている。
日経新聞の片面全部を使って大々的に広告宣伝を繰り返していたパルアクティブなどはリゾートに興味のあるシニアの方はご存じのはず。
高齢者医療制度の問題等で陰に隠れてはいるが、大切な退職金をつぎ込んだシニアもいるようで何ともお気の毒なことだ。
パルアクティブが厚生手続きなどしても会員権としての価値がどの程度復活するか非常に厳しい状況のようだ。どうも経営者側のシナリオに振り回されてるような気がしてならない。会員の皆さんには頑張って貰うしかないが。
他人事のように語る私も以前ここに入会の問い合わせをし、真剣に会員権取得を検討したことがあった。
最終的に取得することはなかったが自分なりの分析や判断がそれなりに当たっていたことにショックであったし、内心ほっとしながらも油断も隙もあったものではない現代社会を生き抜く厳しさを思い知らされたようで気分は晴れない。
このことを反面教師として我々もこの際、会員制リゾートマンションの利害得失をもう一度再検証してみる必要があるのではないかと考える。
(その2)
そもそも、私がリゾートクラブに興味を持ったのは十数年前から。
定年間近でいろいろとリタイア後の人生を考えていた。
毎日のように日経新聞に載る「会員権募集」の記事。
それも広い紙面を使って、でかでかと・・パルアクティブの場合は特に新聞紙上でのハデな宣伝が強く記憶に残る。
最初は新規募集だからこんなものかと思っていたが、その後何年経ってもこのハデな宣伝は続けられた。
今にして思うに今度の会社更生に至までの課程で一番うまい汁を吸ったのは広告媒体企業ではなかったかと思うほど。
多くの小金持ちシニアは日経新聞の広告を読んでいるだろう。
これぞ第一の誘い込みの罠(ワナ)?・・
一流経済紙を利用したハデな宣伝・・それも繰り返し繰り返し。
ここのところで何か変だな?要注意の感覚はあった。
(その3)
勤め人で頻繁に会社関連の保養所を利用していたから、できればこの延長線でリゾートクラブを格安で借りる事ができれば良いなとは思っていた。
たまたま、電気関係の仕事でパソコンのお世話にもなっていたのでネットでも情報を集めたが当時はネット創生期で情報は少なかった。
何度目かの新聞広告閲覧を経て取りあえず資料だけでもと思い連絡をとった。
たぶん、電話だったと思う。(当時はまだパルはWEBは開設していなかった。)
折り返し、豪勢で分厚いカタログと説明書。それに「現在売りに出ている格安会員権」の買いを勧める営業担当の直筆メッセージ。
金額が250万で手数料が30万程度。
ほどなく営業担当者からのTEL。
募集口数が少ないし、今後価格は上がるだろうから早いほうがいいと・・。
こちらは今はまだ購入の意志なし、リタイア後考えさせてもらうと返答。
担当者はもの柔らかな口調で強引さも感じさせず、あっさりと電話を切った。
それ以降半年に一度はりっぱなパンフレットを送ってくるようになった。
電話も時折掛かってくる。
営業員の態度は高圧的でなく、もの静かなで柔らかい印象。
新聞紙上での広告は相変わらずハデで目立つから直ぐに目に付く。
こちらがリタイアし本格的に第2の人生を歩き出した頃、いつの間にかネット上にホームページが開設されていた。
この頃には会員制クラブに関してかなり情報が集まり、各クラブを比較対象して検討できるようになった。
パルについては情報が集まれば集まるほど不可解な面が見えてきていて拒否の気持ちが強かった。
パルの会員数が急増した時期は預託金をなくし、入会金のみで「最大12連泊予約可能で2泊目以降11連泊分無料」と謳いだした頃ではないかと思う。
この時、ここはもうだめだなと確信したのだが・・。
手元に2002年10月付けの新規客向け説明書がある。
「パルアクティブ・オーナーズ「四季の旅」は話がうまうぎる。会社は大丈夫かという質問にお答え致します」という表題。
内容については(4)で踏み込みます。
(その4)
おかしな話ですよね
会員権の販売促進に「パルアクティブ・オーナーズ、四季の旅は話がうますぎる。会社は大丈夫かというご質問にお答えします」などという説明書を同封してくる会社。
2002年9月2日作成となっていますが、実はこの頃、経営状況は火の車になっていたのではないかと・・・。
内容はA4、5ページで大きめの文字(14p)。
要約 入会を迷われている方のご質問(ご不安)は入会金が安すぎる、2泊目以降11連泊分無料、ゴールドパスポートなど話がうますぎる。会社は損はしないか、会社は大丈夫なのかということ
1, 入会金140万円~ となぜ格安に設定したのか。
弊社の客室数は870室、それに対し総会員数は4990口です。1室あたり5.7口と会員制リゾートクラブの中で最も少ない口数です。客室数に大幅なゆとりがあります。「四季の旅」は順調に売れていますので、リゾートマンション、ホテルとも増やしています。入会金が安すぎるというご指摘がありますが、景気が良ければ250万円以上で販売できる高い内容です。
5月3日にオープンした強羅Bは専有面積22坪と広いですが、買収価格は600万円です。バルブの時に5000万円以上で分譲された物件です。
アメニティ個人正会員(C)の場合、一室あたり30口の募集ですので140万×30口=4200万円集められます。140万でも十分ペイします。
弊社は会員募集の手段として1991年5月アクティブ・トレンド・ゴールド募集開始以来、新聞広告を中心にしてきましたが2000年11月~2002年9月迄の19ヶ月間で14216件の問い合わせ件数は、1991年5月以来でもっとも多い問い合わせ数です。
景気が悪くても良い商品を安く提供すれば売れるということです。入会金250万円で募集したら、これほど多くの反響が合ったかどうか疑問です。
その5)
2,「最大12連泊予約可能で2泊目以降11連泊無料」、「ゴールドパスポート」で直営コンドミニアムも1泊2食付き直営ホテルも無料。と無料づくめで経営が赤字にならないか。
これについては12連泊の場合は日曜日の泊まりからとさせていただいていますので、1回目の連泊で土曜日は1回だけです。12泊の内11泊分は元々平日ですから今までほとんどが空席だった分を無料にしただけです。
弊社の直営施設の年間稼働率は今まで10%以下でした。特定期間でさえ、30%に達していません。稼働率が低いため直営ホテルには一般客も入れております。会員口数が定数に達した場合は会員のみとします。直営コンドミニアムは全て会員専用です。
「ゴールドパスポート」利用で直営ホテルの1泊2食付きも無料になりますので、食材やリネン代等の原価はどうなるかというご指摘もあります。
赤字にしないために「ゴールドパスポート」は2人利用に対し1人のみ適用(4人で2人)としたのです。2人で1人分の料金で泊まれますので、50%オフということです。50%あれば食材の原価は出ます。
それでも「無料」では赤字にならないかとお思いでしょうが、弊社の会員が全てパルアクティブ・オーナーズ「四季の旅」ならばそのとおりですが、弊社にはすべてが有料の「アクティブ・トレンド・ゴールド」等の会員が2985口おります。また、「ゴールドパスポート」の発行はアメニティ個人正会員、個人正会員、ファミリー正会員のみで法人会員にはつきません。
弊社は「アクティブ・トレンド・ゴールド」以来、入会金、年会費とも個人会員の方が法人会員より大幅に安く設定しています。利用の多い法人会員にはそれ相応の負担をしていただくことで個人会員を入会し易く設定しているのです。
法人会員も2泊目以降11連泊分は無料、年間宿泊数はシーズンに関係なくいつでも利用できます。入会金の割に宿泊数が多い為、他のクラブよりはるかに有利です。いつまでも募集するわけではありません。景気が回復(たとえば株価が20000円以上になったとき)すれば、再びアクティブトレンドゴールドの募集を考えています。
以上により今まであまりご入会されなかった60歳以上の方が続々とご入会いただいています。
入会金で十分な利益が出ますので、新たな施設を取得する事もますます容易になり「アクティブ・トレンド・ゴールド」等の既存の会員の方へも喜んでいただけます。
(その6)
パルは会社更生手続きを開始しましたが2002年の販促説明書で何を語っていたのかその続きです。
3,バブル崩壊後の出発の弊社は、不況の中でも倒産の可能性ゼロです。
倒産は手形不渡りを出し、銀行取引停止になることとか、借り入れ過多による債務超過のため、会社更生法、和議、倒産の申し立て等のことです。
帝国データバンク等民間の信用調査機関のデータによれば会員制リゾートクラブの中で弊社より評価点の高いクラブ運営母体は数社しかありません。
上場企業でも弊社より評価の低い会社がたくさんあります。
ではどうして上場していない弊社が上場企業と同等あるいはそれ以上の評価なのでしょうか。
①上場企業を含め多くの企業がバブル期の負の遺産を抱えています。日本経済が低迷しているのは金融機関を初め多くの企業がバブルに踊りその精算に苦しんでいるからです。
バブル崩壊は1992年といわれその後10年以上も日本経済は停滞しています。
弊社は1989年11月に設立し、1991年5月に会員募集を開始しました。設立から募集開始までは27ヶ所28室のリゾートマンションを取得しました。設立から1994年(H6)まで会員募集用のリゾートマンションやゴルフ会員権取得に金融機関から約9.5億円の融資を受けましたが、運転資金等の融資は一切受けていません。リゾートマンションは住宅ローンという形で個々のマンション別に融資を受けています。もし、ローンを払えなくなったとしてもその物件を競売されて失うだけで、会社はそのまま残ります。現実的には1994年(H6)以降は大半の物件を現金で購入していますし、融資残高は4億円に減少しており、住宅ローンの不払いも生じていませんので、競売ということはあり得ません。この間取得した会員用施設への投資額は45億円にもなります。借入金が少ない割に資産が多く財務体質が健全なのです。
なお、弊社は当座預金を開設していませんので、手形不渡りによる銀行取引停止という事態は起こりえません。仕入れも支払いも全て現金払いです。
また、直営施設は11年間で117ヶ所870室と30倍以上になりました。
(その7)
パルという会社の本質を知るため、この販促説明書の中身を端折らないでほとんどそのまま書き写しています。)・・やす爺
②「入会金プラス預託金制度」から入会金中心に移行して預かり金の少ない会員制クラブを目指しています。
会員募集を開始した当初は入会金50%、預かり金50%でしたが、1993年(H5)からは入会金だけの個人正会員、1998年(H10)からはアクティブアクシオン倶楽部、南の風娯楽部、法人の年間契約会員中心の募集に移行しました。弊社には2002年9月1日現在4990口の会員がおりますが、そのうち預かり金のある会員は955口だけです。アクティブトレンドゴールドの預かり金は預託金据え置き期間なしですからここ4年間は日本経済の混迷のため、退会者が出ていますが、会則に基づき預かり金を返還しています。今、会員制リゾートクラブの中で、預かり金を期限内に返還しているのは弊社と東急不動産、大和ハウス、森ビル、リゾートトラストくらいです。
上記にあるように955口の会員がいつでも退会できる訳ですが、退会しないのは、多くの会員が利用目的で入会し、予約も取れ、施設もどんどん拡大し、ますます利用の楽しみが広がっている為です。
③ この1年間には約14034万円の返還金申し出(退会申し出)がありましたが、全て
返還しています。預かり金の返還は昨年がピークでした。今後1年間で12440万円の返還予定がありますが、「四季の旅」発売以後会員権の売り上げが急伸していますので、十分返還できます。退会される方はここ3,4年で出尽くした感じで来年以降は年間の返還額が1億2000万円を超えることはないと思います。
1億円以内であれば年会費収入が毎年2億円以上ありますので、会員権の売り上げが落ちても十分対処できます。
ゴルフ会員権のように退会者が続出しないのは入会金50%、預託金50%という比率もあります。
ゴルフ会員権の場合は90%が預かり金で、入会金は極わずかです。従って退会すればかなりの額が返還されることになっていますが、弊社のアクティブトレンドゴールドは半分しか返還されません。
④弊社は当初リゾートマンションのルーム買いをしてきましたが、それは会社の体力に合わせて購入するという経営上の安全策からです。
しかし、6年前に猿ケ京赤谷ホテルを取得したのを皮切りに琵琶湖ロイヤルホテル、ホテルアクシオン館山・軽井沢・会津高原等・・・以下略を全館直営で運営しています。
これらは買収したり、運営を委託されたり洋々ですが、会員数の増加につれ、ホテルの方が良いというニーズに応えたものです。これらのホテルは効率利用のため、一般ビジターを入れていますが、会員口数が個人正会員換算で1室10口に達した段階では一切ビジターは導入しません。
⑤ 東京地裁からスポンサー会社として日本サン・ランド(株)の再建を任されました。
日本サン・ランド(株)の再建計画は2001年4月からスタートしましたが返済も順調に進んでいます。2000年4月に民事再生法が施行され多くのゴルフ場やホテル等が申請していますが、日本ロイヤルクラブのように大半の申請が廃止決定されていますが、弊社が全面的支援をしている日本サン・ランド(株)は東京地裁により認可されました。
認可にあたっては東京地裁から委託を受けた弁護士が幾度となく弊社を訪れ、弊社の財務内容を慎重に調査されました。弊社の財務内容が悪ければ日本サン・ランド(株)の再生計画は廃止されていたのです。
銀行から借り入れせず、自己資金の範囲で施設展開をする。会員制リゾートクラブ事業以外に一切投資をしない。
こうした経営姿勢を守り続ければ倒産とは無縁です。
(その8)
ここまでの新規顧客向け販促説明資料は2002年9月から10月にかけてのものです。
それから5年半で経営破綻に至るわけです。
この販促説明書を詳細に点検してみると、2002年時点で「四季の旅は話がうますぎる、会社は大丈夫かという質問にお答えします。」というような内情を晒し、いい訳がましい説明をしているのは、既にどんぶり勘定のどんぶりが壊れ始めていたのではないかという疑問が沸いてきます。
旅行好きな人は滞在先での対応、雰囲気に非常に敏感ですから、少しの変化でも反応は早いでしょう。預託金を積んでいる会員は尚更です。早々に撤退でしょう。
この年度ごろから、預託保証金をなくし入会金のみ(140万円)、最大12連泊予約可能で2泊目以降11連泊無料、ゴールドパスポートで直営コンドミニアムも1泊2食付きホテルも無料という新規の会員の募集を始めます。常識を超えています。
この募集でシニアを中心に会員が急増、入会金も増えたようですが肝心の既会員へのサービスの低下はどうしようもなく、脱会者も増え、それによる不評が新規会員獲得にも影響を与えていった。新聞広告、豪勢なカタログに惜しげもなく金を注ぎ込む手法に変わりなく。
気の毒なのは第2の人生を楽しみに一生懸命働いて貯め込んできたお金をつぎ込んでしまったシニアの皆さんでしょう。
最近の新聞報道までパルのことはすっかり忘れていたので、今回の会社更生手続きにはびっくりしましたが、同時にやっぱりそうだったかと納得したのですが・・。
民事再生手続き等の説明会を5月19日に開いたようですが、その内容等は部外者には伝わってきません。
ネット上の会員組織もあるようですが、情報を会員限定に絞っているようです。
確かに、ネット上では「あらし」とか嫌がらせ等があって大変でしょうが、報道発表もあり、ここに至っては出来るだけ情報をオープンにし、社会問題として評議を受けることの方が会員自身も吹っ切れるし、今後、同様な会員権を希望する人達や、業界にとってもプラスになるように思います。
経営委員会が5月14日発表した「当面の見解」は現在の状況を知る上で貴重な情報ですが、ほんとに知りたいのはこれまでの経営の実態です。何がどうなってこうなったのかという、真実が見えていません。経営者側が説明会を開いて説明したところで、どこまで信じられましょうか。
多くの法人会員は関わりたくないのか早々に撤退しています。
個人会員の中には日本でも有数の大企業労組が法人会員として入会しているのを見て、入会した方も多いでしょう。
当初から感じられたのは既会員の生の声が全く聞こえてこなかった事です。新規入会者にとって既に会員となってリゾート施設を利用しているOBの話は貴重です。
そのあたり、このようなクラブではオープンな会員同士の情報交換の場は重要と思います。
また、マンション管理組合があるように会員制といえども法的な管理組合のようなものがあって然るべきとも思いますが・・。
(その9)
金を集めるのはうまいが肝心の業務運営能力はゼロ。
ウエブ上で会員が書きこんだパルの印象です。
会員制リゾートクラブ、何となく甘く優越感を持たせるような雰囲気です。
たまたま、新聞(特に日経新聞)の大々的な広告と豪勢なカタログに惹かれ、大企業の法人会員も入会しているから大丈夫だろうと入会したシニアも多いでしょう。広告塔として新聞広告を掲載し続けたオピニオンリーダーとしての経済紙には多いに不満です。
今度のことで会員制リゾートクラブはまだまだ法的整備が不十分で非常にリスクが高いものである事を、我々に教えてくれました。保証といっても向こう都合の会員証だけです。
会員制リゾートクラブはほんとにメリットがあるでしょうか。
最近は、「旅の友」「阪急」「ゆこゆこ」他いくらでも旅の選択肢はあります。高い入会金と年会費を払って豊かなリゾートライフというイメージでの入会はどんなものでしょうか。
それでも日程の関係とかで入会するならば、企業情報が公開された上場企業であること、保証、担保が十分であること。会員相互の情報がオープンで密であること。
最低でもこれらを十分吟味して選択すべきことと自分自身、肝に銘じたいと思います。
日経新聞の片面全部を使って大々的に広告宣伝を繰り返していたパルアクティブなどはリゾートに興味のあるシニアの方はご存じのはず。
高齢者医療制度の問題等で陰に隠れてはいるが、大切な退職金をつぎ込んだシニアもいるようで何ともお気の毒なことだ。
パルアクティブが厚生手続きなどしても会員権としての価値がどの程度復活するか非常に厳しい状況のようだ。どうも経営者側のシナリオに振り回されてるような気がしてならない。会員の皆さんには頑張って貰うしかないが。
他人事のように語る私も以前ここに入会の問い合わせをし、真剣に会員権取得を検討したことがあった。
最終的に取得することはなかったが自分なりの分析や判断がそれなりに当たっていたことにショックであったし、内心ほっとしながらも油断も隙もあったものではない現代社会を生き抜く厳しさを思い知らされたようで気分は晴れない。
このことを反面教師として我々もこの際、会員制リゾートマンションの利害得失をもう一度再検証してみる必要があるのではないかと考える。
(その2)
そもそも、私がリゾートクラブに興味を持ったのは十数年前から。
定年間近でいろいろとリタイア後の人生を考えていた。
毎日のように日経新聞に載る「会員権募集」の記事。
それも広い紙面を使って、でかでかと・・パルアクティブの場合は特に新聞紙上でのハデな宣伝が強く記憶に残る。
最初は新規募集だからこんなものかと思っていたが、その後何年経ってもこのハデな宣伝は続けられた。
今にして思うに今度の会社更生に至までの課程で一番うまい汁を吸ったのは広告媒体企業ではなかったかと思うほど。
多くの小金持ちシニアは日経新聞の広告を読んでいるだろう。
これぞ第一の誘い込みの罠(ワナ)?・・
一流経済紙を利用したハデな宣伝・・それも繰り返し繰り返し。
ここのところで何か変だな?要注意の感覚はあった。
(その3)
勤め人で頻繁に会社関連の保養所を利用していたから、できればこの延長線でリゾートクラブを格安で借りる事ができれば良いなとは思っていた。
たまたま、電気関係の仕事でパソコンのお世話にもなっていたのでネットでも情報を集めたが当時はネット創生期で情報は少なかった。
何度目かの新聞広告閲覧を経て取りあえず資料だけでもと思い連絡をとった。
たぶん、電話だったと思う。(当時はまだパルはWEBは開設していなかった。)
折り返し、豪勢で分厚いカタログと説明書。それに「現在売りに出ている格安会員権」の買いを勧める営業担当の直筆メッセージ。
金額が250万で手数料が30万程度。
ほどなく営業担当者からのTEL。
募集口数が少ないし、今後価格は上がるだろうから早いほうがいいと・・。
こちらは今はまだ購入の意志なし、リタイア後考えさせてもらうと返答。
担当者はもの柔らかな口調で強引さも感じさせず、あっさりと電話を切った。
それ以降半年に一度はりっぱなパンフレットを送ってくるようになった。
電話も時折掛かってくる。
営業員の態度は高圧的でなく、もの静かなで柔らかい印象。
新聞紙上での広告は相変わらずハデで目立つから直ぐに目に付く。
こちらがリタイアし本格的に第2の人生を歩き出した頃、いつの間にかネット上にホームページが開設されていた。
この頃には会員制クラブに関してかなり情報が集まり、各クラブを比較対象して検討できるようになった。
パルについては情報が集まれば集まるほど不可解な面が見えてきていて拒否の気持ちが強かった。
パルの会員数が急増した時期は預託金をなくし、入会金のみで「最大12連泊予約可能で2泊目以降11連泊分無料」と謳いだした頃ではないかと思う。
この時、ここはもうだめだなと確信したのだが・・。
手元に2002年10月付けの新規客向け説明書がある。
「パルアクティブ・オーナーズ「四季の旅」は話がうまうぎる。会社は大丈夫かという質問にお答え致します」という表題。
内容については(4)で踏み込みます。
(その4)
おかしな話ですよね
会員権の販売促進に「パルアクティブ・オーナーズ、四季の旅は話がうますぎる。会社は大丈夫かというご質問にお答えします」などという説明書を同封してくる会社。
2002年9月2日作成となっていますが、実はこの頃、経営状況は火の車になっていたのではないかと・・・。
内容はA4、5ページで大きめの文字(14p)。
要約 入会を迷われている方のご質問(ご不安)は入会金が安すぎる、2泊目以降11連泊分無料、ゴールドパスポートなど話がうますぎる。会社は損はしないか、会社は大丈夫なのかということ
1, 入会金140万円~ となぜ格安に設定したのか。
弊社の客室数は870室、それに対し総会員数は4990口です。1室あたり5.7口と会員制リゾートクラブの中で最も少ない口数です。客室数に大幅なゆとりがあります。「四季の旅」は順調に売れていますので、リゾートマンション、ホテルとも増やしています。入会金が安すぎるというご指摘がありますが、景気が良ければ250万円以上で販売できる高い内容です。
5月3日にオープンした強羅Bは専有面積22坪と広いですが、買収価格は600万円です。バルブの時に5000万円以上で分譲された物件です。
アメニティ個人正会員(C)の場合、一室あたり30口の募集ですので140万×30口=4200万円集められます。140万でも十分ペイします。
弊社は会員募集の手段として1991年5月アクティブ・トレンド・ゴールド募集開始以来、新聞広告を中心にしてきましたが2000年11月~2002年9月迄の19ヶ月間で14216件の問い合わせ件数は、1991年5月以来でもっとも多い問い合わせ数です。
景気が悪くても良い商品を安く提供すれば売れるということです。入会金250万円で募集したら、これほど多くの反響が合ったかどうか疑問です。
その5)
2,「最大12連泊予約可能で2泊目以降11連泊無料」、「ゴールドパスポート」で直営コンドミニアムも1泊2食付き直営ホテルも無料。と無料づくめで経営が赤字にならないか。
これについては12連泊の場合は日曜日の泊まりからとさせていただいていますので、1回目の連泊で土曜日は1回だけです。12泊の内11泊分は元々平日ですから今までほとんどが空席だった分を無料にしただけです。
弊社の直営施設の年間稼働率は今まで10%以下でした。特定期間でさえ、30%に達していません。稼働率が低いため直営ホテルには一般客も入れております。会員口数が定数に達した場合は会員のみとします。直営コンドミニアムは全て会員専用です。
「ゴールドパスポート」利用で直営ホテルの1泊2食付きも無料になりますので、食材やリネン代等の原価はどうなるかというご指摘もあります。
赤字にしないために「ゴールドパスポート」は2人利用に対し1人のみ適用(4人で2人)としたのです。2人で1人分の料金で泊まれますので、50%オフということです。50%あれば食材の原価は出ます。
それでも「無料」では赤字にならないかとお思いでしょうが、弊社の会員が全てパルアクティブ・オーナーズ「四季の旅」ならばそのとおりですが、弊社にはすべてが有料の「アクティブ・トレンド・ゴールド」等の会員が2985口おります。また、「ゴールドパスポート」の発行はアメニティ個人正会員、個人正会員、ファミリー正会員のみで法人会員にはつきません。
弊社は「アクティブ・トレンド・ゴールド」以来、入会金、年会費とも個人会員の方が法人会員より大幅に安く設定しています。利用の多い法人会員にはそれ相応の負担をしていただくことで個人会員を入会し易く設定しているのです。
法人会員も2泊目以降11連泊分は無料、年間宿泊数はシーズンに関係なくいつでも利用できます。入会金の割に宿泊数が多い為、他のクラブよりはるかに有利です。いつまでも募集するわけではありません。景気が回復(たとえば株価が20000円以上になったとき)すれば、再びアクティブトレンドゴールドの募集を考えています。
以上により今まであまりご入会されなかった60歳以上の方が続々とご入会いただいています。
入会金で十分な利益が出ますので、新たな施設を取得する事もますます容易になり「アクティブ・トレンド・ゴールド」等の既存の会員の方へも喜んでいただけます。
(その6)
パルは会社更生手続きを開始しましたが2002年の販促説明書で何を語っていたのかその続きです。
3,バブル崩壊後の出発の弊社は、不況の中でも倒産の可能性ゼロです。
倒産は手形不渡りを出し、銀行取引停止になることとか、借り入れ過多による債務超過のため、会社更生法、和議、倒産の申し立て等のことです。
帝国データバンク等民間の信用調査機関のデータによれば会員制リゾートクラブの中で弊社より評価点の高いクラブ運営母体は数社しかありません。
上場企業でも弊社より評価の低い会社がたくさんあります。
ではどうして上場していない弊社が上場企業と同等あるいはそれ以上の評価なのでしょうか。
①上場企業を含め多くの企業がバブル期の負の遺産を抱えています。日本経済が低迷しているのは金融機関を初め多くの企業がバブルに踊りその精算に苦しんでいるからです。
バブル崩壊は1992年といわれその後10年以上も日本経済は停滞しています。
弊社は1989年11月に設立し、1991年5月に会員募集を開始しました。設立から募集開始までは27ヶ所28室のリゾートマンションを取得しました。設立から1994年(H6)まで会員募集用のリゾートマンションやゴルフ会員権取得に金融機関から約9.5億円の融資を受けましたが、運転資金等の融資は一切受けていません。リゾートマンションは住宅ローンという形で個々のマンション別に融資を受けています。もし、ローンを払えなくなったとしてもその物件を競売されて失うだけで、会社はそのまま残ります。現実的には1994年(H6)以降は大半の物件を現金で購入していますし、融資残高は4億円に減少しており、住宅ローンの不払いも生じていませんので、競売ということはあり得ません。この間取得した会員用施設への投資額は45億円にもなります。借入金が少ない割に資産が多く財務体質が健全なのです。
なお、弊社は当座預金を開設していませんので、手形不渡りによる銀行取引停止という事態は起こりえません。仕入れも支払いも全て現金払いです。
また、直営施設は11年間で117ヶ所870室と30倍以上になりました。
(その7)
パルという会社の本質を知るため、この販促説明書の中身を端折らないでほとんどそのまま書き写しています。)・・やす爺
②「入会金プラス預託金制度」から入会金中心に移行して預かり金の少ない会員制クラブを目指しています。
会員募集を開始した当初は入会金50%、預かり金50%でしたが、1993年(H5)からは入会金だけの個人正会員、1998年(H10)からはアクティブアクシオン倶楽部、南の風娯楽部、法人の年間契約会員中心の募集に移行しました。弊社には2002年9月1日現在4990口の会員がおりますが、そのうち預かり金のある会員は955口だけです。アクティブトレンドゴールドの預かり金は預託金据え置き期間なしですからここ4年間は日本経済の混迷のため、退会者が出ていますが、会則に基づき預かり金を返還しています。今、会員制リゾートクラブの中で、預かり金を期限内に返還しているのは弊社と東急不動産、大和ハウス、森ビル、リゾートトラストくらいです。
上記にあるように955口の会員がいつでも退会できる訳ですが、退会しないのは、多くの会員が利用目的で入会し、予約も取れ、施設もどんどん拡大し、ますます利用の楽しみが広がっている為です。
③ この1年間には約14034万円の返還金申し出(退会申し出)がありましたが、全て
返還しています。預かり金の返還は昨年がピークでした。今後1年間で12440万円の返還予定がありますが、「四季の旅」発売以後会員権の売り上げが急伸していますので、十分返還できます。退会される方はここ3,4年で出尽くした感じで来年以降は年間の返還額が1億2000万円を超えることはないと思います。
1億円以内であれば年会費収入が毎年2億円以上ありますので、会員権の売り上げが落ちても十分対処できます。
ゴルフ会員権のように退会者が続出しないのは入会金50%、預託金50%という比率もあります。
ゴルフ会員権の場合は90%が預かり金で、入会金は極わずかです。従って退会すればかなりの額が返還されることになっていますが、弊社のアクティブトレンドゴールドは半分しか返還されません。
④弊社は当初リゾートマンションのルーム買いをしてきましたが、それは会社の体力に合わせて購入するという経営上の安全策からです。
しかし、6年前に猿ケ京赤谷ホテルを取得したのを皮切りに琵琶湖ロイヤルホテル、ホテルアクシオン館山・軽井沢・会津高原等・・・以下略を全館直営で運営しています。
これらは買収したり、運営を委託されたり洋々ですが、会員数の増加につれ、ホテルの方が良いというニーズに応えたものです。これらのホテルは効率利用のため、一般ビジターを入れていますが、会員口数が個人正会員換算で1室10口に達した段階では一切ビジターは導入しません。
⑤ 東京地裁からスポンサー会社として日本サン・ランド(株)の再建を任されました。
日本サン・ランド(株)の再建計画は2001年4月からスタートしましたが返済も順調に進んでいます。2000年4月に民事再生法が施行され多くのゴルフ場やホテル等が申請していますが、日本ロイヤルクラブのように大半の申請が廃止決定されていますが、弊社が全面的支援をしている日本サン・ランド(株)は東京地裁により認可されました。
認可にあたっては東京地裁から委託を受けた弁護士が幾度となく弊社を訪れ、弊社の財務内容を慎重に調査されました。弊社の財務内容が悪ければ日本サン・ランド(株)の再生計画は廃止されていたのです。
銀行から借り入れせず、自己資金の範囲で施設展開をする。会員制リゾートクラブ事業以外に一切投資をしない。
こうした経営姿勢を守り続ければ倒産とは無縁です。
(その8)
ここまでの新規顧客向け販促説明資料は2002年9月から10月にかけてのものです。
それから5年半で経営破綻に至るわけです。
この販促説明書を詳細に点検してみると、2002年時点で「四季の旅は話がうますぎる、会社は大丈夫かという質問にお答えします。」というような内情を晒し、いい訳がましい説明をしているのは、既にどんぶり勘定のどんぶりが壊れ始めていたのではないかという疑問が沸いてきます。
旅行好きな人は滞在先での対応、雰囲気に非常に敏感ですから、少しの変化でも反応は早いでしょう。預託金を積んでいる会員は尚更です。早々に撤退でしょう。
この年度ごろから、預託保証金をなくし入会金のみ(140万円)、最大12連泊予約可能で2泊目以降11連泊無料、ゴールドパスポートで直営コンドミニアムも1泊2食付きホテルも無料という新規の会員の募集を始めます。常識を超えています。
この募集でシニアを中心に会員が急増、入会金も増えたようですが肝心の既会員へのサービスの低下はどうしようもなく、脱会者も増え、それによる不評が新規会員獲得にも影響を与えていった。新聞広告、豪勢なカタログに惜しげもなく金を注ぎ込む手法に変わりなく。
気の毒なのは第2の人生を楽しみに一生懸命働いて貯め込んできたお金をつぎ込んでしまったシニアの皆さんでしょう。
最近の新聞報道までパルのことはすっかり忘れていたので、今回の会社更生手続きにはびっくりしましたが、同時にやっぱりそうだったかと納得したのですが・・。
民事再生手続き等の説明会を5月19日に開いたようですが、その内容等は部外者には伝わってきません。
ネット上の会員組織もあるようですが、情報を会員限定に絞っているようです。
確かに、ネット上では「あらし」とか嫌がらせ等があって大変でしょうが、報道発表もあり、ここに至っては出来るだけ情報をオープンにし、社会問題として評議を受けることの方が会員自身も吹っ切れるし、今後、同様な会員権を希望する人達や、業界にとってもプラスになるように思います。
経営委員会が5月14日発表した「当面の見解」は現在の状況を知る上で貴重な情報ですが、ほんとに知りたいのはこれまでの経営の実態です。何がどうなってこうなったのかという、真実が見えていません。経営者側が説明会を開いて説明したところで、どこまで信じられましょうか。
多くの法人会員は関わりたくないのか早々に撤退しています。
個人会員の中には日本でも有数の大企業労組が法人会員として入会しているのを見て、入会した方も多いでしょう。
当初から感じられたのは既会員の生の声が全く聞こえてこなかった事です。新規入会者にとって既に会員となってリゾート施設を利用しているOBの話は貴重です。
そのあたり、このようなクラブではオープンな会員同士の情報交換の場は重要と思います。
また、マンション管理組合があるように会員制といえども法的な管理組合のようなものがあって然るべきとも思いますが・・。
(その9)
金を集めるのはうまいが肝心の業務運営能力はゼロ。
ウエブ上で会員が書きこんだパルの印象です。
会員制リゾートクラブ、何となく甘く優越感を持たせるような雰囲気です。
たまたま、新聞(特に日経新聞)の大々的な広告と豪勢なカタログに惹かれ、大企業の法人会員も入会しているから大丈夫だろうと入会したシニアも多いでしょう。広告塔として新聞広告を掲載し続けたオピニオンリーダーとしての経済紙には多いに不満です。
今度のことで会員制リゾートクラブはまだまだ法的整備が不十分で非常にリスクが高いものである事を、我々に教えてくれました。保証といっても向こう都合の会員証だけです。
会員制リゾートクラブはほんとにメリットがあるでしょうか。
最近は、「旅の友」「阪急」「ゆこゆこ」他いくらでも旅の選択肢はあります。高い入会金と年会費を払って豊かなリゾートライフというイメージでの入会はどんなものでしょうか。
それでも日程の関係とかで入会するならば、企業情報が公開された上場企業であること、保証、担保が十分であること。会員相互の情報がオープンで密であること。
最低でもこれらを十分吟味して選択すべきことと自分自身、肝に銘じたいと思います。
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