━随時、書き足しています。 ※文字数オーバーのため、前後編に分けることになりました。
■たまごひこーき ファントム 製作記 後編 ※熱血加筆中
トータル69作目。リアル系飛行機模型(プラモデル)としては、まだ3つ目です。そのことが、後々まで響くとは……。
◇経験の不足はどう出るか?
さて、まずこのKITについてですが、以前、書いていますので、そちらを参照いただければ。
■HOT気味のエアクラフトモデル(ファントムフォーエバー2020&F-5F)
まあ、これを読んだら解ります。既に少しだけイエローシグナル灯っていました。
そのほとんどが、『経験不足』に拠るもの。
もっとも、こればかりは数をこなすしかないので、粛々と作業するしかないですね。
あと、昨今は教本の類も豊富なので、超真面目に取り組むのなら購買するのも手かもしれません。
▲長谷川迷人の水性カラー・マスター DVD & MAGAZINE(モデルアート刊)
では、工程紹介を始めます。
◇追求癖は仇となる?
Nonスケールかつシンプルな構成なので、パーツ点数は少ないです。ただし、当たり前ですが、スナップフィットではありません。接着剤、必須です。(パーツ数 … 22、だとか)
全体の雰囲気を掴むため、ウルトラざっくり仮組み。
駐機状態にするつもりだったので、脚なども付けてみました。
う〜ん、戦闘機はどれとして実機を一度も見た事がないですし、ファントムについては加えて、まるで知識がありません。この感じが適正なのかどうか。
また、本KITは、百里基地(茨城)で最後の運用を終える F-4EJ改 と僅かに異なる部位があるため、それに類する資料をすこし集めました。
ところが、すると色々と出てくるわ。構成が違うだけでなく、模型メーカーにより、指定塗料の番数まで異なる箇所があります。
対象機が違うのか、取材時期にズレがあるのか。
おまけに、とにかく説明書がどこも割りかし解りにくい。
まあ、文句ばかり言ってても仕方がないので、進めます。
◇2020年内完成が目標だった
そんな状況でもありますが、時間押せ押せで、とうとう仕事机にまで一部作業スペースが侵食して来ました。
それというのも、不慣れなヒコーキ模型に重い腰を上げた理由のひとつに、『2020年内完成目標』というものがあったからです。
聞けば、この ファントム II シリーズは国内での運用が、ほぼほぼ 2020 年内で終了してしまう。
また、50年近くという老齢で、隊員たちにとっても感慨深いものがあるようだからです。(例によって知識薄ですが、偵察機はまだ飛ぶ?)
ですので、日本の防空を長く担っていただいた敬意で、年内に完成させてあげたい、という気持ちでした。
しかしまあ、このタイミングで製作記をUPしている訳ですから、その目論見は見事に崩れ落ちるのですが。
今にして思えば、各メーカーの資料を集めて眺めたり、不足の部分を補ってみようとしたり、挙げ句、正式な資料(本)を参照するに至ったことが最大の原因です。
その辺りは、冒頭の写真を見てもらえれば、薄っすらとは解ると思いますが……。
◇改造箇所の見立て甘さが痛手に
仕事机では大きな作業はできないので、不足補強箇所の確認と検討程度を。
▲赤いテープを貼ってあるのが該当部。
▲実はこの時点ではまだ微々たるものだった。
▲どんな改造をするにもボディの合わせ目が邪魔なので、それを消す。
▲不慣れなので、かなり凸モールドを削ってしまう。
▲急に始めた作業なので、基本色を慌てて購入。この2色だけは、各社共通であった。
▲合わせ目処理の確認で、一度サーフェイサーを吹く。
▲細かなところは目をつむる。追い込んでいると、永遠に終わらないので。
◇ここでいったんにらめっこ
このタイミングで一度、一息入れながら、各種仕様を追い込んでいくことにしました。
というのが、前述の通り、とにかくこの機体については知らないことが多過ぎます。個人的飛行機バイブルの、ミリタリー・イラストレイテッド(光文社文庫)でも読んだことないし、エリア88(漫画)でも特に印象ないので。
ということで、ひとつは、図書館で本を借りてきました。それほどつぶさに載っている訳ではないのと、フィルム時代の写真なので、どうしてもディティールが甘い。でも、巻末の線画は参考になりました。
もうひとつは、難解な取説にマーカーや書き込みをして情報の整理と、不足のディティール&追加工作の要を確認しました。
飛行機模型は、とにかくこの解り難い取説をまずなんとかした方がいいですね。ただでさえハードル高そうなのに、実際に始めてみると、かなりげんなりします。
ファインモールド社のは、解り易いそうですが。
なんとなくの整理を一区切りさせたら、サフ吹き後の再整形です。
▲結構雑に合わせ目を消したので傷などが残り、目立ちそうだったので数か所を再補修。
▲一部、熱狂者がいる光硬化パテを使用。
▲硬化時間の速さとヒケないことが魅了だが、個人的には割りかし削りやすいところに魅力を感じている。
▲初めてスポンジやすりも使ったが、今回はスケールやKITのテイストを考えて、ほどほどでSTOP。
ここまで終えたところで、やや加速。どうやっても2020年内に間に合わないのと、別件が湧いて出てしまったからです。
とにかく、一度、全体のシルエットを塗ってしまいたかったので、後で作業のできない箇所のディティール追加を。
▲レドームの避雷器というやつですか。お手軽に、追加。
▲整形時、削ってしまった凸モールドを凹で書いたが、まあ、このような曲面は超難しい。
▲垂直尾翼のモールドも削ってしまったので、粗いが修正。追加になっている筈のセンサー関連も、工作で対応。
▲水平尾翼には、特徴的な補強板が追加されている筈なので、工作を。主翼翼端にあるらしいアンテナも、追加。
ちなみに、この時点である失敗をしています。嗚呼……。
◇最大の難関、キャノピー塗装(マスキング)が顕わる
今回の製作でもっともハードルが高く、かつSNSでも多くの同意を得られた、キャノピー部の塗装。
基本、何からの手段でマスキングしてから塗ると思うのですが、この工程がとにかくたいへん。
ほとんどの初心者は、ここで砕けると思います。特に、今回のたまごひこーきは、モールドが浅くマスキングすべき境目がもの凄く解りにくい。色々な手法があるようですが、ぼくはマスキングゾルを工夫しながら作業しました。
メーカーによっては専用のマスキングシートが同梱されていたり、多く数が出る商品だとサードパーティ製で発売されるようですが、今回のようなそれほどメジャーではないKITだと、この問題はヘヴィだと感じました。もういっそ、キャノピーだけは『塗装済み』を当たり前にしてほしいぐらい。
この後、全体塗装に入るのですが、結局、キャノピー部のマスキングは失敗している箇所がやはりあり、リカバーには苦労しました。
▲いつもの青空塗装で、ブラック系サフをエアブラシで吹く。離す距離や一気に厚塗りするかどうかで、これだけ仕上がりが変わるのはおもしろい。
時間はないですが、サフは特にしっかりと定着させたほうが良いので、防湿庫に二晩突っ込んで次の工程に移りました。
▲本体と翼以外の部品を、ようやくランナーから切り出し。
▲これらは、ざっくりとゲート処理だけしてサフ処理。
▲本体の方は、いよいよ真面目本塗装。ファントム II は、暗め明るめが上面下面で分かれているので、先に明るめ吹いて、次に暗めを。
▲相変わらずダマになるトラブルなどで、苦戦。せっかくベースを黒くして、そこから薄っすら立ち上げをしてみたかったのに、見事、失敗。
▲塗装資料と比較。下面が 308 の グレー FS36375 色、上面が 307 の グレー FS36320 色となるのは、各社共通だった。
▲ちなみに、個人的にはこの 2 色の僅かな差異は、目視でもほとんど解らなかった。
▲キャノピー部の塗料漏れは皆無。ある一箇所を、2㍉程度しか仮接着してなかったのだが、かなり弱めに吹いたので。
▲キャノピー部のマスキングゾル剥がしは、リカバーもあり苦労。
▲人生初のキャノピー部マスキング塗装とはいえ、惨憺たる結果に。
▲腐ってばかりもいられないので、コックピット内の塗装に移行。
▲ここは初期のイメージもあったので、それほど時間も取られず。キャノピー前面のブルー塗装は、無難にこなせた。
▲上と比較して、実は一度 HUD(ヘッドアップディスプレイ)ちっくの工作に失敗して、2度目の作業で枠のようなものを入れてみた。
当初からこの HUD ちっくの案はあったので、ここの作業は思いの外、スムーズにいきました。ただ、期待していたホログラフィー テイストの素材がこの時期、手に入らず、風合いだけが不満です。
◇見落としていた尾部の耐熱板部にはじまるトラブルの連発
さて、此処から先どうしようか? と、各資料を眺めていたところ、大きな失敗に気が付きました。ファントム II の尾部には鉄色がむき出し(?)のような部分があり、そこをエアブラシで塗るには、マスキング作業で先に固定した水平尾翼が邪魔になるのです。
接着しちゃったよ……。
片側はなんとか取り付けダボを残したまま外せましたが、もう片方はダメでした。これは、再接着時の角度決めに苦労しそうです。
さらに、金属系塗装は一貫してエナメル塗料を好んで使っているのですが、なんとプラモデル用ではここの指定色である『61 焼鉄色』の用意がない(海外製はあるのかな?)。
調べたところ、
- XF-7 フラットレッド
- XF-56 メタリックグレイ
を調色するとそれっぽくなるようなので、何度か混ぜてテスト。
乾くと風合いが変わるので、何パターンか試して、1色作りました。
でも、資料のような金属感を出すのは難しそうですね。結果的に、ここの塗装はコケます⤵
塗装エリアは、大幅に本体を省きテール部分だけなので、際だけ丁寧にマスキングテープで処理して、その他はティッシュペーパーでざっくりです。小型ポンプの圧程度では、貫通しませんからね。
なお、先述のファインモールド社製では、次のPRがありました。
★尾部の耐熱板部は別パーツ化。塗装後の組み付けが可能。
やはり、この機体を塗装する時にネックになる部分のようですね。ハセガワも、先に取説に書いておいて欲しかった。とにかく、飛行機模型はこの「不親切」が随所にあり、初心者は挫けるシーンが多いと思います。
改善して欲しい。巣ごもり需要でも、いつまでもガンプラしか伸びませんよ?
そして、恒例の青空塗装。
しか〜し、ここでまたもトラブル。しかも、大型系。
再三に渡りだましだまし修理をしながら使っていたハンドピースが、いよいよ本格クラッシュの憂き目に。
この落陽のシチュエーションもあり、気持ちはゲッソリ落ち込みます。予算も納期も相当に厳しく、途方に暮れ。
かつ、重なる時は重なりますね。他のことでも経験ありますが。
お次は、当初から翼下に付けてイメージを掴んでいたパイロンの脱脂時に勃発。
普段はフィルターを付けている洗面台の排水口が取れていて、手からポロッたパイロンが片方、飲み込まれて行ってしまいました😰
このタイミングで……。
でも、作業納期に余裕がなかったことから、気持ちをサッと切り替えて、プラ板から新造。
なんとか、それっぽく拵(こさ)えました。
その後は、ややこしい塗り分けを間違えないよう、情報整理。
あまりの不幸〜続きに、息抜きがてら出た先で、情報誌を一冊買いました。
がっちり、ファントム II のことだけの雑誌ではありませんでしたが、そんなに高くなかったので。気持ちも塞いでいましたし。
◇(やや)大判デカール類をどう攻略するか
元々、デカールを貼るのは上手く、家でも「まったく下地と差異がない」「手描きかと思った」と言われる程、馴染ませられます。
ただし、今回のKITではキャノピー周辺を囲むようにやや大きめの(繋がりある)デカールがあったり、翼全面を覆うような貼り方が多く、経験値的にも不安があります。
そこで行ったのが、『テスト貼り』でのイメージ掴み。
写真のようにまず、デカールの用紙ごとカラーコピーします。
こういうのが自宅で出来るのですから、良い時代になりましたよね。
そしてこれを本番と同じレベルで、ギリギリに切り出します。
そうして大まかな位置や関係性、ズレ感などを把握。
▲やはり、グッとイメージが変わる。イイね。
▲この時点で、キャノピー周りを囲むデカールは、ボディとキャノピーの合い部分に難がありそうなことが判明。
▲おそらく、デカールを貼った後でのキャノピー取り外しは難しいと思われる。
▲一部、例の焼鉄色が存在する水平尾翼の塗装結果を見たかったので、垂直尾翼のテストデカールを剥がして雰囲気チェック。
▲耐熱板部、本来はある『パネル感』皆無なのが酷く悪目立ちする。
以下、ブーストで。
▲テストデカールを剥がし、残った塗装を。
▲レドーム部を、際だけ精細マスキングして、後ろはすべてティッシュペーパーで処理。
▲大まかの塗装が終わり、イメージを掴むため、仮組み。こちら側の水平尾翼が、剥がすのに失敗した。
▲基部が荒れてしまったが、右側の水平尾翼はなんとか取付けダボを残したまま外せた。
▲調色に時間掛けた耐熱板部は、限りなくクォリティの低い結果に。スケールがもっと大きいKITのような、『パネル感下処理』が必要だった。最後まで不満の箇所に。
▲このタイミングまでに、キャノピーはかなりリカバーしてある。
▲追加工作してある HUD は、撮影の仕方によっては存在を少し強調できる。
▲こちらの追加工作、3つ付くバックミラーと、今では珍しいアナログの予備磁気コンパスは、キャノピー取り付け後はまったく解らくなってしまった。
◇第2目標納期は月刊モデルアート2021年4月号
当初の目標納期は、2020年内の完成。しかし、それが早くも崩れ落ちたのは冒頭でも白状しています。ところが、そうこうしている内に、新たな目標納期が発生しました。
それが、
【 月刊モデルアート2021年4月号にて「F-4ファントムⅡ誌上展示会」を開催します。 】
というお知らせ。
設定日は、2021年1月20日水曜午前7時(メール着信時間)必着。
そして、以下の状態が1月19日火曜19時20分……。
掲載用カットを撮影したのが、1月20日水曜6時28分。
▲これが雑誌掲載用データ。実はタネを明かすと、左側しか出来上がっていない。かつ、歴代部隊マークのデカールが再馴染ませ時に曲がり、リカバー不可でそのまま。
▲こちのボツカットの撮影データは、同日6時30分。仮止め部も大量。接着してない。
結果、メール送信時間は、『1月20日(水) 6:52』という愚かぶり。よく間に合ったな、と思いました。どうもこの癖は抜けないようで😥
ちなみに、胴体のエンジンが「ここまであります」赤いラインも一気に貼るのが難しい、という見立てで、事前にカラーコピーデータで位置を合わせ、3分割貼りをしました。
ただし、案外、繋ぎ目のごまかしが難しいので、適材適所という印象を持ちました。
その後は、多くの資料を眺めたり調べたりしている内に色々と不満や不足を感じていた部分の、補強作業に入ることとしました。
この時点で、雑誌掲載が OK かどうかは、まだ不明です。
◇なるべく『F-4EJ改』に近づける努力
ここからは、この『たまごひこーき F-4 ファントム II 301SQ ファントムフォーエバー2020』を極力、F-4EJ改 に近づけるべく工夫を凝らしていきたいと思います。
その前に、本来の状態が未完だと気分が悪いので、やり残した作業を。
▲足回りの端折っていた追加処理を。
▲応募時、ブッちした右側のデカール貼り。
▲下面のデカール貼りや塗り分けも仕上げる。駐機状態なのだから、脚周りは内部が見えてないとおかしい筈。
▲KITにない前脚収納扉や F-4EJ改 独自のアンテナも作った。
ここで、文字数オーバーしちゃったんで、後編に続きます。ごめんちゃい。
■たまごひこーき ファントム 製作記 後編 ※熱血加筆中