船田戦闘機の「"学び"の現在形」

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DEFCON

2006年12月28日 | Weblog
年末だし、ゲームネタいっちゃっていいかな。

今年の秋口からかなり長期間ハマッていたのは『DEFCON』という名のPCゲーム。イギリスのIntroversion社の作品です。ハマッていた、と過去形なのは、没頭しすぎて他のことをする時間がない状況に危機感を持ったので、心を鬼にしてアンインストールしてしまったからです。毎晩5時間くらいやってたからなー。

そんなに面白いの? ときかれたら返答に窮します。たぶん、ほとんどの方にはつまらないはず。ていうか、受け入れられない気がする。でも、ハマる人はハマるでしょうな。ぼくはハマッた。カンタンに内容を説明しましょう。

テーマは世界熱核戦争。最大6人のプレイヤーがインターネットを介して対戦します。地球は6つのテリトリーに分割され、プレイヤーはそのひとつを受け持って、自領土を守り、他国を攻撃します。分割のされかたはちょっと強引で、アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、アジア、アフリカの6つ。日本はアジアに組み込まれてます。人口や戦力はどのテリトリーも同じですが、現実の地形と国境線をもとにしているので地政学的な特徴は異なります。このあたりがゲーム性のキモですな。

各プレイヤーはICBM、戦闘機、爆撃機、空母、戦艦、潜水艦といったユニットをコントロールします。各ユニットの機能は単純化されていて、プレイヤーは移動先と攻撃目標の設定のみできます。あとは勝手に動いてくれる。数百のユニットが画面上をリアルタイムに飛び交う姿は壮観ですが、その無機的な描写は薄ら寒さも感じさせます。全般的に薄ら寒いゲームなんですけど、それが意図されたデザイン。貴重なテイスト。

まずは通常兵力で相手の力を減じ、機を見て核兵器を投入します。サイロから放ったICBMは地球の裏側まで飛んでいきます。潜水艦と爆撃機から発射するミサイルは射程が短いので、目標に接近してからの発射となります。弧を描いて飛ぶミサイルが目標の都市に達すると白い球が生じ、その都市の人口の半数程度が失われます。

得点は減った人口をもとに計算します。デフォルトのルールでは、「敵国の損害×2-自国の損害=得点(単位百万)」。たとえば1億KILLして、5000万KILLされると、150ポイントとなります。実力が伯仲したプレイでは1位のプレイヤーの点数がそのくらいになることが多い。200ポイントくらい行くと、「うまくできた」と感じます。

ここまで読んで、ドン引きしてる方もいるでしょうね。ワタクシも「ヤバイよなー、これ」と思いながら書いてます。でもね、真剣にやると勉強になるゲームなんです。それは間違いない。なんの勉強? 国際政治と人間心理かな。骨身に染みる感じ。

DEFCONはひとりでプレイしても退屈で、実質的には人間との対戦が前提のゲームといっていいでしょう。インターネットで相手を見つけ、最大6人でプレイします。イギリスのメーカーの作品だからか、参加者は欧州人が多い。チャットで「どこから来てるの?」みたいな会話が生じると、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアといった答えをよく目にします。日本人はごく少数と思われます。

共通言語は英語ですが、たまに英語以外の言語でチャットしてる人がいます。そういうときは「英語でやれ!」とチェックが入ったりする。たしかに、わからない言語でなにやら相談してるのを聞くと、不安になります。そういった「人間の怖さ」みたいなものが表面化するゲームです。

DEFCONには同盟(alliance)という概念があります。プレイ中に同盟関係を結ぶと、情報が共有され同盟国の行動も見えるようになります(潜水艦を除く)。当然、同盟国同士は相手を攻撃できなくなります。6人プレイの場合、3対3や2対2対2の同盟関係が自然に生じることが多いようです。

同盟は2正面作戦を避けるために重要で、これは実際の歴史にもよく出てくるパターンです(たとえば独ソ不可侵条約)。そして、この手の同盟がカンタンに破棄されることがあるのも史実どおり。

ワタクシがDEFCON初心者の頃、同盟を結んだ相手が、突然、無警戒な我が国に向かってミサイルを撃ってきたことがあります。当然、コテンパにやられました。仲間だと思った相手がシラッと攻めてきたわけです。あれはショックだった。強烈に学習しました。国際社会においては口先だけの同盟なんて無意味だ、と。やつらは平気で背中を撃ってくる、と。

その後、ワタクシも同盟破りを適宜利用するようになりました。タイミングを掴むとすこぶる効果的な手段です。そして、同盟相手の裏切りに備えて行動することも覚えました。味方との国境に、多すぎず少なすぎない量の兵器を配置しておく。抑止力ですな。それと、国際関係の維持にはコミュニケーションが大事です。チャットで「次は○○を攻めるよ」とか「○○方面で困ってるなら艦隊送ろうか?」とかやるんですね。意味のある会話をしている間は裏切りも起きにくい。もちろん、仲良くやっていた相手が最後の最後に撃ってくることもあるので、鵜呑みにしちゃいけません。とくに饒舌なヤツは要注意。不穏な行動を隠すためにしゃべりまくってる場合があります。いろんな人間がいます。社会勉強になる。

ただ、このように疑心暗鬼なプレイをしてると、ゲームを楽しんでるって感覚は薄くなってきます。冷たいスリルを味わうためにプレイする感じ。そして、人間のダークサイドをのぞき見ることが目的になってくる。それが安全かつ低コストにできるのがこのゲームの最大の長所といえるでしょうが、同時にこのゲームをオススメできない理由でもあります。

DEFCONは久しぶりの「語れる」ゲームでした。ちょうどハマりはじめの頃、北朝鮮の核実験騒動があったんですけど、DEFCONから得た知見をもとに極東の核戦略について一説ぶつことも可能だな、と思ったりしました。ここに書くのはやめておきますけどネ。

DEFCONオフィシャルサイト= http://everybody-dies.com/ (ドメイン名からしてヤバイ!)

日本版Office Liveを使ってみた

2006年12月21日 | Weblog
日本版Office Live(beta)をいじってます。ドメイン取得が無料という点がかなり話題になってますな。ワタクシも人並みに無料が好きですからひとつ取りました。ghzc.netという名前(.netや.orgなら、いまでも4文字のドメイン名が取れるんですね)。ギガヘルツ・コミュニケーションズの略です。GHzCって表記するとドイツの会社みたいでしょ。どこにも存在しない架空の会社ですけどね。新しいドメインを作るとワクワクするのは、初めて登録したときから変わらないな。しかもそれがタダなんだから嬉しくないわけがない。

とはいっても、ドメイン無料はOffice Liveにおいてさほど重要なポイントではないのかも。独自ドメインの取得・運用にかかるコストはピンキリですが、安さを追求すれば月額数百円のサービスもあるので、この部分の値段だけ論じてもあまり意味がないでしょう。とりあえず「独自のドメイン名でホームページとメールアドレスがもてる。しかもタダで」という分かりやすい入り口があって、その先にはかなり広い世界が待っている雰囲気です。

以下、ファースト・インプレッション的なことをつらつら書きます。

Office Liveはスモールビジネス向けのASP型CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)というまとめ方で話を始めていいと思います。ユーザー・インターフェイスは自由度よりカンタンさが重視されていて、専任のWebサイト担当者がいない小企業やお店でも導入できそう。ブラウザ上で動作するページエディタはワープロ感覚でページを作ることができます。ページを追加すると自動的にサイトマップにも反映されるなど、省力化が図られています。ブログのカスタマイズが好きな人ならけっこう楽しく作業できちゃうのではないでしょうか。

既に「beta」の文字が取れた米国版では、ショッピングカートや決済などのeコマース系のページも作成できるようになっているらしい。このあたり日本ではどのように展開されるのか、とても気になる部分。サーチエンジン広告やCRM的な機能も順次投入されるようです。すごい品揃え。

今後Office Liveが今くらいのカンタンさを維持しながら機能を増やしていったら、小規模な企業サイトを作ろうとする人々にとって、かなり有力な選択肢になるでしょうな。そうすると気になってくるのが、これまでそうした仕事を請け負っていた、いわゆるWeb制作業の人々に対してどういう影響が出るか、という点。これはワタクシの食い扶持にも部分的に関係してくる部分。

ネガティブに考えると、「仕事がなくなる」って話になるでしょう。「これなら自分でできるわ」「これでじゅうぶんだよ」と考える人が増えれば、それだけ外注される案件が減るのは確か。ポジティブに考えれば、より付加価値の高い領域で勝負するチャンスととれます。基礎的なサイト構築作業はサクッと済ませて、その上で何をするか、という部分に注力できれば単価もあがるでしょう。ここはぜひポジティブ路線でいきたいところですな。

実はこのあたりはマイクロソフトもケアしている部分。Office Live Marketplaceという、一種のパートナー・プログラムが準備されていて、サードパーティーが自社のサービスやアプリケーションを登録できる場になるようです。ユーザーはそこから自分のビジネスに必要な商品を探して導入できる。技術的な仕組みについてはまだ理解してないのですが、Office Liveは既存のWeb屋さんにも参加の道筋を用意しているということです。

最後にOffice Liveのばくっとした印象を言うと、「広い!」のひとこと。今回は企業の外側に向けたCMS的な機能についてだけ触れましたが、企業内のコラボレーションを促進するツールもOffice Liveの範疇です。ほんと広い。際限はどのあたりにあるんでしょうか。全体像が見えてくるにはもうしばらくかかりそうですな。

ウェブ時代のショート・ムービー

2006年12月14日 | Weblog
 ヒルマン・カーティス著『ウェブ時代のショート・ムービー』という本を読んだ。共感できる部分が多々あった。

 ワタクシはこの本を読むまで知らなかったのですが、著者のカーティスさんはウェブデザインの分野では有名人物みたい。AdobeやYahoo!、MTVなどのサイトを手がけ、Flashをうまく使った動きのあるぺージ作りで高い評価を得ているようです。しかし、この人、40歳を目前にしてどういうわけか燃え尽きちゃったんですな。さらに、9月11日のテロの影響もあって経済的にも苦しい状況に陥ったようです。

 悩んだ末に著者がとった方針は原点回帰。「いつか映画を作りたいと思い続けてきた」著者はFlashからムービーに創作の重心を移します。それがカンタンにできるとは本人も思っていなくて、「四十過ぎのオヤジで家のローンも家族も抱えている身なのに、収入源のウェブデザインの仕事を削って短編映画を撮る時間にあてようとしている」ことのリスクも自覚しています。

 著者はムービー作りのテクニックを、実践を通じて一から学んでいきます。誰かに習うのではなく、ひとつひとつ小作品を作りながらの自習。本業での蓄積があるので、まったくの素人という感じではないのですが、失敗の事例もいくつか。この本はその過程の記録ですな。本を書くことで体験を整理している。読者はそれを追体験する感じです。

 概要はそんなところ。続いて、ワタクシが共感できた部分についてもう少し。

 まず、40歳を過ぎてから新しい仕事に挑戦するのは心配もあるだろうけど楽しそうです。著者はあくまでも仕事として映画作りをしようとしています。たぶん、仕事と趣味を分離しないタイプの人なんでしょうな。仕事ですから、予算とか締め切りとか取引先とのしがらみとかで不満が生じることもあるわけですけど、そのあたりも含めて「良い経験」として総括できる余裕が著者にはありますな。見習いたいですな。

 それから、テクノロジーの進歩を素直にチャンスと捉える前向きさが気持ちいい。ビデオカメラ、編集機材、配信手段といった映画作りの各要素がじゅうぶん低コストで高品質で使いやすいものになりました。カーティスさんは、こうした技術面での敷居の低さが映画に対する夢を蘇らせた、といったようなことを冒頭で書いてます。こういう話、好きだな。

 カーティスさんの作品は、本で取り上げられていたものも含めて、彼の会社のサイトで観ることができます。「ウェブ時代のショート・ムービー」ならでは利点ですな。

未来の学校

2006年12月06日 | Weblog
今週はまずリンクから。山田祥平さんの『Microsoftが考える未来の学校』という記事が興味深かった。
(学校の概略に関するフィラデルフィア市のプレスリリースはこちら

"School of the Future"は今年9月フィラデルフィア市で開校しました。紙の本を置かない完全にIT化された高校で、生徒は全員ラップトップかタブレットPCを支給され、校内では全員同時に無線LAN経由でインターネットに接続することが可能です。ほかにも重要な特徴はあるんですが、ちかごろ気になってた事柄に関係するので、この部分に絞ってちょっと書いてみます。

なにが気になっていたのかというと、先日U君から聞いた大学のIT環境のこと。彼らの学部の授業ではコンピュータが不可欠で、U君も毎日ノートPCを担いで通学しているんですが、PCを持っていない同級生が多数派だというんです。PCのかわりにUSBメモリを持ち歩いていて、学校のPCを使うらしい。そこまで聞いて「なるほど今風だね」と思いました。「では、学校のPCはどんなやつなのかしらん」と、学部のパソコンルームを見せてもらおうとしたら、入り口に「CLOSED」の札。使える時間帯は決まっていて(たしか午後5時まで)、夕方の授業が終わったあとでは使えないみたいでした。不便ですな。

自分のPCがあったほうがいいのは明らかなのに持っていないのは「お金がないから」というのが主たる理由のようです。学生さんはお金がないのが自然な状態。ただね、携帯電話はみんな持ってるんですよね。いま、日本の携帯電話のARPUは7000円弱だったと思います。U君の大学の学生もそうだとすると、自宅にADSLを敷いてパソコンを月賦で買ったときのコストと大差ないはず。つまり、お金がどこにもないわけじゃなくて、優先順位がそうなってるということ。まあ、今の大学生が「ケータイを取るかパソコンを取るか」の選択を迫られたら、ケータイを取るのは当然でしょうな。

このあたりはカンタンには語り尽くせない領域なんですけど、そんなことが気になっていたところでSchool of the Futureの記事を読んで、「ほーらやっぱりパーソナルコンピュータは必要なんですヨ、鉛筆とノートの代わりなんだから自分のがなきゃ困るでしょ、ケータイよりパソコンですヨ」、と思った。それと同時に、インフラの問題ってことなのかな、とも思った。

要は学内にしっかり無線LANが敷設してあってジャブジャブ使える状態になっていれば、携帯電話の必要性は弱まるんじゃないか、ということです。ノートPCでメール、IM、そしてSkype的なサービスを駆使することで、コミュニケーション系のニーズもおおむね満たされるのでは? 家でADSL、学校で無線LANが使えるとしたら、ケータイがなくて困るのは街で待ち合わせするときくらいじゃないかな。そして、携帯電話がないことの不便を、パーソナルコンピュータを持つことのメリットが上回るのではないか、と言いたいわけです。

でも、確信はないです。PCは校内の設備としてしかるべき数が存在していて、学生はUSBメモリとネット上のアカウントだけを持ち歩いてそれらを利用し、コミュニケーション系の用事は各自の携帯電話で済ます、というスタイルのほうが合理的である可能性もありますな。

教育機関におけるIT環境のあり方に、ひとつの解答を示そうとしているSchool of the Futureの今後の展開が気になります。何年か後の新入生もPCを配ってもらえるんでしょうか。もらえたらいいね、と思いつつ、また来週。

Liveガジェット

2006年11月28日 | Weblog
 画像は本日のワタクシのWindows Liveのホームページ(っていうのかな?)の状態。自分のサイトのフィードが先頭にあるのはサーバーが生きていることを確認するため。webメールはLiveメールに一本化しました。もともとあまりweb経由でメールを送受するほうではない、ということもあって、移行はすんなり。あとは技術系サイトのフィードが数本。

 右側にかわいい数字が散らばってますが、これはいま気に入っているLiveガジェットのひとつで、『Live Math』というAleksei Vassiljevさんの作品。

 数字と記号をドラッグして並べ替え、「3+2=」のように式を作ります。そして、「=」をダブルクリックすると解答が表示される。かわいい! WYSIWYG! 「3+2=5×4=」のように、答えに続けて式を書くこともできます。ただ、実用性はご想像のとおり高くありません。あきらかに電卓のキーを打ったほうが速いし、数字も記号も2個ずつしかないので難しい計算ができません。でも、楽しいからいいのだ。

 Liveガジェットは、ブラウザの上で動く小さなアプリケーションを開発・配布・利用するための枠組みですな。Vistaにもガジェットという概念があるらしいですが、いまのところ別モノみたい。(詳しくはこことか→「Live戦略の柱“ガジェット”開発はVistaを目指す」)

 Liveガジェットを自分のページにはめ込むときは、live.comの「コンテンツの追加」から行います。未知のガジェットを探したい人は、Microsoft Gadgetsというサイトからスタートするといいかも。

 Liveガジェットの正体は、JavaScriptプログラムとCSSファイル、そしてXMLファイルです。つまりwebページを組む感覚で、クライアント上で動くアプリケーションが作れちゃう。配布はweb経由なのでとてもカンタン。MacOSXのDashboardや、FireFoxのXULと同種の手法。ちょっとしたアプリなら、こういうのでいいんじゃない? という流れが太くなりつつある昨今ですな。

 ただし、ワタクシ的にはまだ少し引いた位置から見守っている感じです。ときどきいじって遊ぶ程度。ちゃんとしたパソコンの上でこうしたツールを並べて使う意味がまだあまり感じられない。不勉強から来る勝手な思いこみかもしれませんが、必要なツールはもっといいものを既に持ってる、という感覚があるんですよね。マッシュアップの対象(素材)がさらに増えたら、全然違う様相になるのかな、という気はしてます。あと、携帯電話でも同じガジェットが動くようになると便利かも、とか。どうですかね。