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駆け出し経済学者のブログです
専門はネットワーク効果のある産業です

ISFJ中間報告会

2007年10月27日 | 教育活動
今日はISFJの第二回中間報告会でのコメンテータをしてきました。
ISFJは学生による政策提言を行うことを目的として設立された非営利政策シンクタンクで、政策シンポジウムや政策フォーラムによって社会に政策提言を行っていく活動をしているそうです。
自分が学部生の時には直接の関与はなかったのですが、自分も別の団体の似たような活動に参加していた事や、近い人が参加しているのでコメンテーター役を引き受けることにしました。

私の担当は産業競争政策部会Aの担当で、報告論文は前回より1本少ない
京都大学 吉田研究会 遠山班:「インターネットインフラのコスト負担のあり方について」
神戸大学 菊池研究会 湯川班:「テクノロジーはいかに音楽産業を作り変えるか」
関西大学 鵜飼研究会 安宅班:「インタラクティブ広告の経済分析と政策提案」
の3本です。

どの論文も面白いテーマを選定しており、現状把握は概ねOK、分析手法は遠山班、鵜飼班は回帰分析を、菊池班はDixit-stiglitzモデルによる比較静学を用いた分析を行っており、学部学生のレベルとしては合格点でしょう。
しかし、記述的な分析と経済モデルの関連性についてはいささか弱い傾向がありました。
前回は神戸大学忽那研究会の学生チームによるIPO時の株価形成に関するロックアップ契約の影響に関する計量分析を行う予定の論文があり、そのまま論文雑誌に投稿できそうな感じでした。
しかし、分析自体は良いのですが、分析への入り方と分析結果からの政策提言のアピール力は弱いように感じました。(金融資産の価格形成分析自体がそういうものなのかもしれませんが)

やはりそれなりのレベルの大学に通う標準的な能力を持った学生であっても、経済理論を用いて現実問題にアプローチするためには6年間の教育が必要なのでしょう。