Let'us cling together

駆け出し経済学者のブログです
専門はネットワーク効果のある産業です

Connect Mailを使ってみました

2008年05月21日 | 研究活動
予想通り(?)講義が終わってからすっかりとBlogの更新をしなかったのですが、
学会発表とかあれこれの準備が一段落したので一つ小ネタを。

総務省のモバイルビジネス活性化プランや戦略的競争評価「プラットフォーム機能が競争に及ぼす影響に関する分析」等でしばしば出てくる携帯電話プラットフォームのオープン化についての議論がなされています。
そんな中、かねてからドコモへの接続を要求し、総務大臣裁定によってサービスインした日本通信のConnect Mailが無料トライアルで利用できるようなので、試しに利用をしてみました。
Connect Mailは基本的には携帯電話端末からPC用のメールアドレスを利用可能にするサービスです。
http://www.connectmail.jp/

細かい仕様についてはわからないのですが、どうもこれはISPをドコモのiモードから日本通信に切り替えることでサービスを実現しているもののようで、端末の接続先設定をiモードから日本通信に切り替える必要があります。
日頃はあまり意識されないのですが、携帯電話はインターネット接続で言うISPにあたる部分を携帯電話事業者が提供しており、iモードやEZWebの公式メニューサイトもiモードなどのISPを経由してインターネットに接続し、各サービスプロバイダのサーバに接続することになっています。
ここのiモードを日本通信に置き換えることでPCのメールを利用可能にするのがConnect Mailなのですが、このサービスを利用することでいくつかの弊害が生じます。

ISPを日本通信にしていくつかの代表的サービスを利用してみたところ、
・mixiモバイル:iモードブラウザでmixiモバイルにログインしようとしたところ、ブラウザが携帯ブラウザと認識されず、PCサイトにリダイレクトされ、ログインすることができない(greeも同様)
・モバゲータウン:ISPがiモードでないせいか、パケット節約サービスなどを利用して利用することはできません、というページが表示される
・Yahooモバイル:携帯用ログインページが表示され、SIM情報を送信しますかのダイヤログまでは出てくるのですが、SIM情報を送信した後の処理がうまく行かないらしく、スクリプトが画面に表示されてログインできない。
・JIGブラウザ:JIGブラウザはiモード専用のIDなどを使用しているらしく(サポートデスク回答)、接続先を日本通信にしている状態では通信を行うことができない。
・ANAサイト:プロキシーエラーが出てログインできず
・clubDAM、プリインストールのFMラジオ番組情報取得アプリ、NAVITIME等のiアプリ:起動後ハングアップ、もしくは通信機能を利用できず
となり、利用できないサービスが非常に多く、頻繁に接続先を切り替える必要がありました。

利用可能だったサービスは、
・googleモバイル
・乗り換え案内
位でしょうか。

情報通信産業におけるアクセス事業者の垂直的な取引制限には、管路差別(サービスを提供する側がアクセスに対して行う差別)とコンテンツ差別(アクセスを提供する側がコンテンツに対して行う差別)の2種類があります。
情報通信産業には通信の秘密の条項があるためにコンテンツ差別はネットワークを害しない限り原則的に禁止されていますが、管路差別は禁じられていないためにこのような結果が生じたことと想定されます。
固定インターネットでは管路差別はあまり行われていないのですが、携帯では広範に行われているのは何故か、検討してみる価値がありそうです。

Connect Mail自体は良いサービスなのですが、これだけ頻繁に接続先を切り替えなければいけないことや、結局他アプリなどを利用するためにiモードを解約できない事を考えると、年額4,800円の追加支出を行おうと思う人は少なそうです。
端末にiアプリ起動時に利用するISPを自動で切り替えるような機能でもあればずいぶんと楽になるのでしょうが。
日本通信からのサービス事業者への働きかけに期待したいところです。

ソフトバンクは価格低下をもたらしたか?

2007年12月10日 | 研究活動
/.の「次世代高速無線通信向け2.5GHz帯割り当てで、ソフトバンクとウィルコムが大舌戦中」と言うストーリーにコメントをつけていたところ、「ソフトバンクの参入によって価格低下が生じたというのは幻想だ」という論調が強かったので、計算をしてみました。
あまり目立たないところに捨て置くのは勿体ないので、ここにも記載しておきます。

2006年□□□□Q1□□□□Q2□□□□Q3□□□□Q4
ARPU□□□4,230□□4,320□□4,230□□3,830
MOU□□□□□140□□□144□□□□148□□□145
単位支出額□□□30.2□□30□□□□28.6□□26.4
ソフトバンクアニュアルレポート2007より計算)
(HTMLで表を書くのってどうするんだったっけ。)
Q1~Q4の間で13%の低下、特にゴールドプラン・ホワイトプランの導入されたQ3,Q4の動きが大きいですね。
端末奨励金/割賦販売の影響なども考えるともう少し複雑になりますが、安くなったと言っていいのではないでしょうか。