
ストンと落ちるオチの数々
『死体ばんざい』星新一 理論社 2008年 1300円
星新一は中学生の頃読んだが、それ以来くらい久々である。最相葉月の本で星新一の人となりが描かれていたが、オチがかぶらないストーリーを数多く書けるだけあって、かなりユニークな人のようだった。本書も似た話やオチがない。予想がついた話はほんの1つ2つ。スゴイ。
「影絵」、影絵が趣味の若者と老人。あるときお互いの影絵を見せ合っていたはずが、老人の息子が現れ・・・。
「ある日の午後」、偶然が偶然を呼び、今の過不足ない生活を送っていられる男性が、これまでの偶然を思い出していると知らない人から電話が来て・・・。
「来訪者たち」、とある王国を様々な人が通って旅していた。国境の番人がこの人は、と思う旅人を呼びとめ、国王の前に連れていった。予言者の予言通りに、その後魔術師が現れ、彼の言うまま国王が行動すると・・・。
「才能」、自分の会社が倒産した男が、知り合いに紹介され、とある会社に再就職を果たす。ただその仕事というのは・・・。
「こころよい人生」、借金を抱え人生に行き詰った天邪鬼な男が占い師に見てもらった。将来が良いと言われたので、そうは思わなかった彼の人生は予想以上に素晴らしかったのだが・・・。
「想像のなか」、超能力を持った男が情報部から指令を受けたのだが・・・。
「なにかの縁」、郷士の長男が武者修行の旅に出かけた。様々な体験をしていると旅姿の若者がやって来た。話をすると・・・。
「あれ」、あれを見たせいで人生が変わった男。知り合いに「あれ」を見たと嘘をつかせたのだが・・・。
「ひとつのタブー」、飛行機が不時着した男と女。何の因果か・・・。
「品種改良」、改良のため、人体実験をする男。その品種とは・・・。
「勝負」、コンピューターの奴隷から人間は解放されたはずだったが・・・。
「死体ばんざい」、ある1つの死体を巡る話。映画『ハリーの災難』のもじりのようであって、どんでん返しに唖然。