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面白い本が読みたくて

『プリティが多すぎる』大崎梢


             それでも人生は続いていくから

『プリティが多すぎる』大崎梢 文藝春秋 2012年 1400円
 身近な生活の中でのミステリを描いた作品がある著者なので、前回の『魔女は~』の強烈な印象を和らげようと手に取ったけれど、そのギャップがあまりに大きかった・・・。

 しかも本書はミステリではなく、とある出版社のティーン向け女性雑誌の編集部に配属された佳孝の戸惑いを描くことで、少女たちの華やかで熾烈な競争や奮闘を浮き彫りにしている。

 当初は文芸誌にしか興味が無かった佳孝(26歳)としては、10代の少女たちの好みも流行も何も分からない。腰かけの気分でいるため、一通りの仕事は覚えても、そこから工夫をしたり企画を打ち出したりすることはない。それが徐々に変わっていったのは、モデルの少女たちと接触するようになっていってから。どこの世界も競争があり、新機軸を打ち出さないと生き残れないというのはあるけれど、これほど短期間にはっきり勝負がつく(時には敗者復活もあるけれど、それはレアケース)世界はそうないだろう。それと連動するように、現場で働く編集以外の人々も海千山千(?)、それなりに生き残ってきている人たちだ。それでも『魔女~』に出てきたおぞましい悪意に比べると、なんと良き、真っ当な世界だろう・・・。

 佳孝本人はさして大きなミスではないと思う失敗が、実は大きな波紋を呼んだりしつつ、徐々にプロとしての自覚を持っていく、一種の成長物語でもあった。
★★★
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