2月26日 スリ事件

7時に目が覚め、いつもの朝食のあと、町に出かける。服や生活用品などの価格を見て回るとだいたいの物価が把握できた。まあ、日本と変わらないな、という感じだ。
タオルを1マルク、旅行用ソーイングキットを5マルクで買う。

昼頃にいったんユースに帰る。途中のディスカウントスーパーで買いだし。飾り気のない店内で、確かに少し値段は安い。

ユースで昼ご飯のあと、本を読んで過ごした。そとはまだまだ寒いが、ユースは暖房が効いてぽかぽかだ。

夕方、新入りの日本人と出会う。肥後さんという、茨城県から来た男性だ。わたしから誘い、リンゴ酒をのみに出かけることになった。肥後さんはエッベルバイ(リンゴ酒）を飲むのが初めてだったが、気に入ってくれたようだ。

21時頃まで楽しみ、ユースに戻った。同室にもう一人日本人が来ていたので3人で話をする。そこでショッキングな話を聞くことになった。彼は別のユースでスリに遭い、財布からお金を取られたらしい。

そのときの状況だが、次の通りだ。寝るとき、ジャンパーの内ポケットに財布を入れ、そこの部分が内側になるようにたたんで、さらに枕の下にジャンパーをしいて寝たそうだ。朝起きてみると、ジャンパーも何もかも元の通りなので、何もなかったと思って安心していたらしい。そのあと買い物か何かでお金を出そうと財布を開けたら中身が消えていたそうである。

「全く気がつかなかった。すごいテクニックだと思い身震いした」と、言い、我々にも是非気をつけたほうがいいよとアドバイスしてくれた。しかし、そんなじゃあどうやっても盗られちゃいそうだ。

そこで、首から提げる貴重品袋を作ることにした。良い具合に今日裁縫セットをかったばかりである。古いシーツの切れ端をもらい、袋状に縫ってひもを付ける。約30分でできあがり。パスポート、トラベラーズチェック、クレジットカード、大きめのお札現金などを入れ、早速首からぶら下げてみた。ずいぶんかさばるが致し方ない。

今日からこの袋を片時も離さないで寝よう。しかしそんな話を聞いた後なので、なかなか寝付けない。消灯したあとのユースの静けさが、今日は何となく不気味に思えてしまう。就寝。