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赤松敏弘Vibraphone Connection・談話室

妙なサブスク

「妙なサブスク」
美容室で流れるBGM。有線のところもあれば独自にオーナーの好みが反映されているところもある。まぁ、そういう場所はリラックスするところだから何が流れていてもそう気にすることはないし、そういうものが流されている。
 
 
飲食店で誰も聞いていないジャズが流れっぱなしになっているよりは、まだ音楽というものが空間の演出の一つとして役立っているからいいと思う。
喫茶店でもカフェでもそれは同じで無音よりは何かがそこで活かされている音楽の存在価値を発揮している。
 
さて、先日美容室に行った時、普段と何か違うBGMに出会った。
どこにでもあるようなジャズのクァルテット。ピアノトリオ+ギターだったり、サックスだったり・・・・
まぁ、こんな職業だから音が流れてくると耳が自動的に品定めする。別に批判するのではなく、曲当てクイズみたいなもの。場合によってはプレーヤークイズみたいなもの。勝手に自分の中でね。
 
ところが、この日流れてくるものは、何か違う。
何がって、まず、曲がヘンテコなんだ。似た有名曲のメロディーが聞こえるのだけど何かがおかしい。文章にすれば「私の好きな歌」となるところが「私が好きな歌」。あるいは「私の好きな空」というところが「私の好きな下駄」。「君の瞳のなかの宇宙」なんて壮大な感じかと思ったら「豚の瞳の中の宇宙」。。。。
 
つまり、有名曲のコード進行をそのままに、メロディーの一部を変形させている紛い物。パクリだ。残念ながらコード進行には著作権がないから取り締まれない。で、ソロが聞こえてくるのだけど、初心者の頃に出くわすアマチュアのセッションでの上手な人レベル。一番上手なアマチュアと一番下手なプロの間にはとんでもなく開きがある、と昔から言われるが、まさにその通りの音源。
 
確かに器用に演奏しているのだけど、一聴してプロではないとわかる。なぜならコード進行しか頭の中にないタイプの演奏だから、ストーリーと関係なく見せ物が出てくる。速弾きが出てきたり、何かの曲の有名な部分引用が出てきたり、と本来の曲のテーマと無関係な内容の羅列。それが次の曲ではボサノヴァで展開され、その次の曲ではバラードで展開され、続いてスイングで・・・・と延々と流れてくるものだから、これは一体なんなのか? と思った。あまりのパクリなので冗談でやっているのかとも思った。
 
 
そんなBGM集が(よくありそうな著作権フリー集なんてもの)あるんだ!?
しかし、このお粗末な音源ってどこの誰がやっているのだろうと店の人に「この、今流れてるのってCD? もしもそうだったらジャケット見せてよ」と、で、その答えに驚いた。
 
これはCDでも有線でもなく、サブスクなんだって。
BGMとか著作権フリーとかでたまたまネットで個人がやっているサイトを見つけて登録したんだそうな。アクセス事にいくらかが相手に支払われる。まぁ、確かに形だけは立派なサブスクだ。
 
しかし、その実はパクリ。音楽家としては最低・・・・
 
公というものを通さないとこういうことになるんだね。
 
今夜もネット上の音楽を扱う会社の友達と飲んで話していたのだけど、せっかくネット上で音楽を配信してちゃんと利を得るシステムを何十年も時間を費やして構築するところまで来たのに、昭和な時代のパクリが堂々とサブスクでこんな「小遣い稼ぎ」をされたんじゃ、たまったもんじゃないよね。
 
昔からインターネット上で一番欠けているのは公正なジャッジ。
なんでもいいから、なんでもやっちゃう。
 
ただ、最初の頃のしょぼい音の配信やレーテンシーだらけの動画からすれば飛躍的に形だけはもうすぐテレビに引け目を感じさせないところまで来るでしょう。アプリを使えばもっともらしいプロフィール的なサイトも作れちゃう。でもね、見ただけではわからなくできるが、聞くと一瞬でバレてしまう。
ネットの上での遊びはそれはそれで面白いことがそこで生まれて行くのが当たり前だから、そこから次のカルチャーと呼べるものが出てくるのが楽しみ。
 
でも、ここで分岐点が生まれる兆候と思うのは、「見せる」文化のリーダーだったテレビを持たない一人暮らしの若者が僕の周りにもたくさんいる事。テレビ以外の「見せる」楽しみ=動画と思いがちなんだけど、そうじゃなくて、ここ最近「見る」のに疲れている人が増えている。そういえば、アナログと呼ばれる趣味の「本」や「レコード」はアンチ見せる文化の兆しかもしれない。皆が見るものが自分に必要かどうか? この疑問を持つ若者が増えている気がする。
 
そもそも自分だってジャズを聴き始めた小・中学生の頃なんてそんな音楽がテレビから流れてくる事など殆どなかったし、同級生にジャズを聴く友達なんて一人いるかどうかだった。
 
世の中をクレームとマスで見るとこの部分が完全に欠如してしまうのだけど、時代が変わっても多分同じ比率の人間が必ず存在している。しかもそれは意外と多い。
 
 
「見せる」音楽があってもいいし、それをエンターテインメントと思う音楽ファンがいるのであれば、「見ないで聴く」音楽ファンがいて当たり前。今、その当たり前が少しずつサブスクの周りに集まり始めているような気配を感じる。
 
そうなるとサブスクの内容がより選りすぐりのものになって行くことが次への橋渡しになるんじゃないかな、と。
 
妙なサブスクを聞いたおかげで、そのあり方が一つ見えてきた。
 
 
 
 
【期間限定公開/無料動画】
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最新の動画です。2022年11月に栃木県足利市のartspace&cafeで行われた彫刻家藤岡孝一氏の個展BLUEの中の「JAZZ in BLUE」での演奏からダイジェスト。
約27分間の動画です。
写真をクリックするとartspace&cafeのページに飛びます。最初にコマーシャルが入る場合がありますのでご注意ください。
➡︎
演奏:Toshihiro Akamatsu(vibraphone) Hakuei Kim(piano)
 
・Straight, No Chaser......Monk
・Violet Rays.....Toshihiro Akamatsu
・Synonym......Toshihiro Akamatsu
・White Forest......Hakuei Kim
・Beyond the Dream......Toshihiro Akamatsu
・Lake Sagami......Hakuei Kim
・The Gleaner......Toshihuro Akamatsu
enc
・Blue in Green......Miles
 
Nov/13/2022 artspace&cafe @ Ashikaga, Tochigi.
 
 
Coming Soon!
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2023年 2月11日(土)東京・成城学園 「Cafe Beulmans
13:00開場/13:30開演
第三回 望月慎一郎(p) 赤松敏弘(vib) DUO

MC 3300円 + 2 drinks od
問い・予約 03-3484-0047

世田谷区成城6-16-5 カサローザ成城2F

━━━━━━━━━━━━━━

【プロデュース情報】
 
2023年1月25日発売!
現在の東京のジャズシーンで既にライブでは人を振り向かせる存在となりつつある新人実力派ヴァイビスト・吉野智子。今回そんな彼女のデビュー作のプロデュースを担当しました。
スタンダードもオリジナルも一つ一つ吟味して揃えた瑞々しさに溢れた作品に仕上がっています。試聴された方からはとても新人とは思えない堂々としたプレイに驚きも寄せられています。
メンバーは現在の東京のジャズシーンの若手を代表する精鋭揃い。
是非是非応援宜しくお願い致します。
 
KALEIDOSCOPE / カレイドスコープ
Tomoko Yoshino / 吉野智子
3000円+税
2023年1月25日発売 (WISE RECORD/WR-202301)
 
全国のCDショップ及びネットショップからお手元に。
 
■演奏
Vibraphone : 吉野智子 Tomoko Yoshino
Piano : 雨宮彩葉 Ayaha Amamiya
Bass : 鉄井孝司 Koji Tetsui
Drums : 小田桐和寛 Kazuhiro Odagiri
 
他。
 
■吉野智子WEB
今回は新たな試みとしてCD発売と同時にサブスクでの配信もスタートしました。
 
詳しくはこちらのページから
■Tomoko Yoshino's subscription link
 
皆様、応援宜しくお願い致します!
 
━━━━━━━━━━━━━━

■赤松敏弘 official site VIBRAPHONE CONNECTION
発売中のCD、ライブ情報、電子書籍やインタビュー掲載誌等、ジャズ、ヴィブラフォン、演奏法、ジャズセオリーと、ジャズやビブラフォンの周りにある様々な疑問も解決するお役立ち情報も満載。
1997年開設以来のユーザーからの様々な質問や情報交換もアーカイブとして保存中。是非一度お立ち寄りください。
( http://www.vibstation.net )



■赤松敏弘 FaceBook ( https://www.facebook.com/akamatsu.toshihiro/ )




■赤松敏弘 Twitter




それでは今日も楽しい一日を!

 


【放送 / ラジオ、テレビ

今週のオンエア (2月6日~2月13日) 
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【テレビ】
東京MX2 (地デジ9ch + ▲up)

番組名『ヒーリングタイム&ヘッドライン・ニュース』

癒しの映像+最新のニュース+最良の音楽。

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■平日(月〜金) 12:10〜12:29 ■金曜 25:35 都知事定例会見終了後 〜27:00
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“路面電車のある風景 - 1”

『NEXT DOOR - NEW LIFE/赤松敏弘』(2020年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)市原ひかり(tp,flh)酒井麻生代(fl)須川崇志(b)小山太郎(ds)佐々木優樹(g)


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■土曜 17:30〜18:00 ■日曜 17:30〜17:38
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“ねこの足跡”

21年6月、7月、8月、10月ヴィブラフォン部門【Amazon's Choice】選出作品『NEXT DOOR - birth of the swift jazz/赤松敏弘』(2000年作)


演奏:赤松敏弘(vib)ユキ・アリマサ(p)養父貴(g)新澤健一郎(kb)平石カツミ(b)斉藤純(ds)相内勝雪(mnp)他。

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■土曜 5:00〜6:00 ■日曜 5:00〜6:00
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“東京点描 城南1”

『SPARKLING EYES/YUKARI』(2021年プロデュース作)


演奏:YUKARI(vib,mar)飯島瑠衣(p)中林董平(b)森永哲則(ds)guest:赤松敏弘(vib)

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■平日(月〜金) 27:00〜28:00 ■土曜 28:00〜29:00 / 18:00〜19:00 ■日曜 18:30〜19:00
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散歩の風景 夏から秋NEW!

『KALEIDOSCOPE/吉野智子』(2023年プロデュース作)


演奏:吉野智子(vib)雨宮彩葉(p)鉄井孝司(b)小田桐和寛(ds)



首都圏以外の方はこちらの「エムキャス」で全国からスマホやパソコンでリアルタイムにお楽しみいただけます。
★エムキャス→https://mcas.jp/c/mx2.html
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