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文学論

2014年06月17日 | word
 夏目漱石が1903年(明治36)9月から1905年6月まで、東京帝大英文科でおこなった講義を、加筆訂正したもの。1907年大倉書店刊。序文で講義のモティーフを、1900年からあしかけ3年にわたるロンドン留学で英文学と悪戦苦闘した経験から語っている。すぐれた語学力をもった日本人漱石が、英文学の了解不可能性という壁に突き当たったとき、この壁は、彼我の文明の発展経過と言葉がながい歴史の中で身につけた〝趣味〟tasteのちがいによることに気づいた。その歴史のちがいは偶然の要因である。その認識の上に、彼我の偶然の差異を越えた普遍的な文学の本質論を樹立しようとして、<文学的内容の形式>を<F+f>と定式化し、意識の焦点的印象(F)とそれに伴う感情(f)の多様な組み合わせを、豊富な実例を用いて展開した。