▼ 本屋は接客業ではない？

某本屋さんでの話。

その本屋さんは自動ドアではなく
押したり引いたりして開ける
大きくて重いガラスのドアです。
まー、フツウなら特に不自由なく
開けられるんだけどもねぇ・・・

自分がその本屋さんに向かったとき
その扉と格闘中の、両手を杖で支えた
よぼよぼのじぃさまがいました。

よぼよぼのじぃさまなんて
表現が悪いんだけど
そうとしか言い表せられないんデス

じぃさまは店内に入ろうと
一生懸命ドアを押しているんだけど
何しろ両手で杖を持っているし
足もガクガクブルブルなので
チカラを入れられない様子。
慌てて駆け寄って

「オイラが扉を支えるから
それでじぃさまは中にお入りくだされ」

と、後ろからドアを押し開けました。
が、前にじぃさまがいると
大きく開けることが出来ず
じぃさまも店内に入ることが出来ませんで。

「よし、オイラが先に中に入って扉を開けるから
じぃさまはそれで中に入ってくだされ」

今度はうまくいきました。
じぃさまは

『ありがとう、すまないねぇ』

と何度も繰り返しお礼を言って
よぼよぼした足取りで店内に入っていったのです。
歩くことすらおぼつかなそうなのに
このじぃさま、よくがんばってるなぁ
えらいなぁと感心しました。


感心出来ないのはここの店員さんデス！


お会計のカウンタは、
じぃさまが格闘してた扉の
すぐ隣にあるんです。
扉を開けながら、中の様子を見てたのですが
真横！にいた店員の兄ちゃんたら
ぼけーっとつまらなそうな顔で
下を向いて突っ立ってやんの。

じぃさまが、一生懸命
扉を押し開けるんだけど
その重さですぐに閉まっちゃう ---
そう格闘している姿を見た直後なんで

なんで気づかないんだゴルァ！

と腹立っちゃいましたYO
じぃさまが中に入ったとき
sakiにお礼を言ってくれたり
それからよろよろと店の奥に
よろよろと歩いていったので
ちょっと人目を引いたんです。
店員はその時になって初めて
じぃさまの存在に気がついたんですよ。
せめてそこでじぃさまに

『何かお探しですか？』

と声を掛けるならまだしも
する～っと顔を背けたんです。
あああむかつく！
自分が「何かお探し・・・」と
じぃさまに手助けすればよかったよヽ(`Д´)ノ


さて、この本屋さんには

万引きは犯罪です。見つけ次第
警察・学校・勤務先に通報します。

と張り紙がちょこちょこ貼られています。
本屋さんにとって、万引きにおける被害は
死活問題でして年間売り上げの
３割に相当する部分が
万引きでヤられちゃってるんだとか。
例えるなら12ヶ月働いて
でも給与が出るのは９ヵ月分だけってこと。
ただでさえ薄利多売で苦しいのに
万引きのせいで売り上げの３割が
ぱーになっちゃうんなら
どんな温厚な人だって怒りますよねぇ。
だから、そうした本屋さんの実情を考えれば
張り紙自体は納得はしますけど、でも
学校・勤務先にちくるぞ！
ってゆー脅し文句には
ずっと疑問に感じてたんですよ。

でも、今回のことで納得。
張り紙で脅しをかければ
万引き対策が出来たとでも
思っているみたいですから。

たまたま、今回のその店員さんが
気の抜けた人過ぎたって可能性もあるけど
それは従業員教育が足りなかった
その本屋さんにも原因がありまする。

だから店内や出入り口の動向をチェックする
という基本的なことをすることも出来ず
当然、接客なんてことも出来ないんぢゃ。

よく周りを見渡していれば
困っているお客さんがいたら手助けし
ヤヴァそうなお客さんがいたら
声をかけて未然に防ぐ、なーんてのは
基本中の基本だと思っているんですが。
自分はそもそもデパ勤務なので
見る目がちょっと厳しいかも知れないけども。


しっか---し！
もし、自分があのじぃさまくらい
足腰が不自由になったら
多分、出歩けないだろうな。
じぃさま、凄いです！！
とても大変そうだけど
気概を分けて貰ったカンジで
ちょっと嬉しかったのでした。