民主党の岡田克也氏が代表に就任して、今日で1年にな
る。今回は、民主党のこの1年を振り返ってみる。
思えば1年前、国会は年金未納問題で揺れていた。閣僚
にも飛び火し、福田康夫官房長官(当時)の辞任にまで
発展した。民主党も大きなダメージを受けた。中川昭一・
麻生太郎・石破茂の3議員を「未納三兄弟」と揶揄してい
た菅直人代表(当時)自身の未納が発覚する。「菅、お前
もか」という空気が流れる中、進退問題で突っぱねた。結
局、退いたものの後味の悪さが残った。その「火中の栗」
を拾ったのが岡田氏だった。
最初に、手腕を試されたのが7月の参院選だった。自民
党を上回る50議席を獲得し、比例区では第1党となった。
上々の滑り出しである。小泉純一郎首相の「人生いろいろ」
発言があった頃だ。岡田代表の生真面目さが新鮮に映った
のかもしれない。だが、それも長続きはしなかった。小沢
一郎氏を副代表に据えるなど、党内融和をはかるもうまく
いかない。最近は公然と党首批判が聞かれるようになった。
なぜか。
岡田代表のリーダーシップが欠如している点に尽きる
のではないか。「私は日本をこうしたいんだ」という姿が
見えない。いい悪いはべつとして小泉首相には郵政民営化
という「改革の本丸」がある。岡田代表にはそれがない。
ある時の党首討論でのことだ。岡田氏は「自民党内の問題
だから」との理由で郵政民営化問題をとりあげなかった。
ところが、党内から反発の声が出た。すると一転、次の回
では攻勢に出た。攻めるのか無視するのか。方針も決めら
れないのが民主党の現状なのだ。もともと、郵政民営化論
者だった岡田代表は、小泉政権との「色」の違いを出すた
めに反対に回るというのは納得できないのではないか。自
分を殺してでも党をまとめていくのか、自分の主張を出し
て党を引っ張っていくのか。小泉首相は後者だが、岡田代
表はどうか。どっちつかずでは民主党は沈没する。「政権
準備党」(岡田氏)の資格などないだろう。
現在、民主党が国会で蚊帳の外に置かれているようにみ
えるのはなぜか。小泉首相の「演出」にはまっているから
だと思う。郵政政局で「小泉VS.郵政族」の対立構図を国民
に示し、「小泉は四面楚歌の中で闘っている」とのイメー
ジを植えつける。それは、最近になって再び上昇し始めた
支持率にも表れている。まだ、この手は通用するのだ。で
は、岡田代表は次の衆院選まで何をすべきか。
原点に戻り、徹底的に小泉首相との違いを出すべきでは
ないか。実直で生真面目という点を前面に出す。「政治は
パフォーマンスじゃない」ということを国民に真摯に訴え
る。小泉政権が米国にベッタリなら、民主党はアジア重視
政策をとる。こちらに政権がくれば必ず、日中・日韓関係
は良好になる。こうした大胆さが必要ではないか。もしか
したらやっているのかもしれないが、私には自民、民主の
カラーの違いが見えてこない。とにかく、国民に対立軸を
示し、「選択してもらう」選挙にすることが不可欠だ。
それができなければ、次回も、国民の半数近くが投票に行
かない“国政選挙”が実施されるだろう。民主党がどこまで
やれるのか。岡田代表のリーダーシップに期待したい。
≪参考≫
・『読売新聞』2005年5月17日朝刊
・『朝日新聞』2005年5月18日朝刊
・『毎日新聞』2005年5月18日朝刊
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